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省エネ聖女のわたしが隣国の王太子に溺愛されるだなんて信じられません!  作者: 慧依琉:えいる


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18/20

第18話:風だけが知っている


リラがミレイアを抱きしめたとき、ミレイアは心の中がふぅっと軽くなるのを覚えた。



“ぽかぽか…心の中が春の陽射しのように温かく和らいでいく…。この感覚はなんだろう…。”



ミレイアは初めて感じる感覚に恐れはあったが、それ以上に安らぐ気持ちが心だけでなく、身体中に広がっていくのを感じていた。




“そっか…。もしかしたら、これがリラのちからなのかもしれない…。”



リラを抱きしめる腕が少しだけギュッと、強くなった…。


心の優しいリラに、いつまでもずっとこのままでいてほしい。そして今のままのふたりの関係でいられればいいなと思った。







一方、リラの方はというと、


“ミレイア、少し元気になったのかな?なら、良かった!やっぱり抱擁が一番不安な気持ちを解消出来るんだわ。”



それはリラ自身がいつもミレイアにしてもらってきたことだった。

なんてことのない日常のひとこま。


いつだってミレイアは自分に対して“愛情を持って接してきてくれたんだ”ということを理解したリラだからこそ、今度はミレイアの為に何かしたいと考えた。



二人はしばらく抱きしめあっていたが、ふと、ミレイアがリラから離れる。



「ちょ、ちょっとリラ!誤魔化してもダメよ!ほら、ちゃんと“集中力”の訓練しなくちゃ!」



そう言い放つミレイアに、リラは驚きつつも


クスクスッと、笑った。



「ちょ、な、何、笑ってるのよ?!」



リラは知っている。






「だって…。」



そう言いながら笑い続けるリラ。





─────そう、



これはミレイアが恥ずかしいことを隠すための行動だということを、もうリラはわかっている。



当然、この夜は“集中力の訓練”どころではなかった。







翌日、リラは他の聖女候補たちの部屋の掃除をしていた。

その間、聖女候補たちは神官見習いのリアーナについて聖力の使い方について学んでいた。実践もあるようだ。



今日は神殿の中での訓練なのでリラは出してもらえない。



リラは部屋の窓から神殿の方向を見つめていた。




そよそよ…



風が優しくリラの頬を撫でていった。



「風さん…。慰めてくれたの?」



リラは気にしないようにしてはいるが、やはり自分の微妙な立場に対して不安を抱いていた。


「ふふっ、ありがとう。」



リラは風にそう言って微笑んだ。




すると今度は ふわりと

風が通り過ぎた。




「………!!」



「お返事ありがとう!」



リラは今度は自然と笑顔になっていた。




風はそんなリラが好きなのだろう。くるくるとその場で回ってみせた。




リラは不思議そうな顔をしながらも、彼女の瞳はキラキラと輝いていた。



彼女の中では普通のことなのだが、目の前でそれを実際に見ることが出来て嬉しいのだ。



「ふふっ、これは私たちだけの秘密ね!」



リラが笑いながらそういうと、ふと、脳裏にミレイアの顔が浮かんだ。




“……………、そっか、風さんとの秘密ってことはミレイアにも秘密になるんだ…。”



リラはミレイアに対して裏切るかのような気持ちになって今までの楽しかった気持ちがまるで太陽の陽射しを遮る雲のように影を落とした。




それでもふわっとリラに寄り添うように風がふいた。



“そうだね。だれでも言えないことのひとつくらい、あるよね。”




“ミレイアならきっと信じてくれる。でも、今と同じように風さんが応えてくれるかはわからない…。期待させた分、きっとミレイアは私が落ち込むと思って気にするかもしれないものね…。”




リラはミレイアに初めて“秘密”を持ったことに対して罪悪感を抱いたがすぐに考えを改めた。




そして残っていた掃除を済ませる。







そうしてリラは今日も命じられた聖女候補たちの部屋の掃除を終わらせた。



「ふぅーっ、やっと終わった。………!もうみんなが帰ってくる時間だわ。」



リラは慌てて道具を片付けて自分の部屋へと戻って行った。





ゾロゾロと訓練を終えた聖女候補たちが自分の部屋へと帰ってきた。


「今日の訓練も大変だったわね。」


「本当に…。全然休む間もなくて、もうクタクタよ。」


「私もですわ。身体が脱力感でしてよ。」


聖女候補たちは各々そう言って訓練の過酷さを語っていた。


ミレイアはそんな彼女たちを横目に見ながら


“だけどみんな自分の部屋に帰ると気付かないうちに回復してるのでは?”


そう思っていた





ガチャッ…。



ミレイアは部屋の扉を開けた。




ふわり…





“やっぱり…。この感覚は間違いないわ。”



ミレイアだけが気付いた。

リラには人を癒す何かがある気がする…………。





“リラ…。あなた自身もきっと気付いていないはず…。あなたのためには黙ったままのほうがいいのか、明らかにした方がいいのか…。”



ミレイアは悩んだ。




過酷な聖女候補の訓練。

誰もが疲れ切って部屋へと戻る。


だけどリラが掃除をした部屋は違う。疲れが嘘のように軽くなる。



ーーこれは偶然なんかじゃない。




リラはきと、自分でも知らないうちに癒している。


「リラ……………。」



ミレイアは小さくその名を呟いた。



〝この秘密は、まだ、誰にも知られない方がいい。〟


ミレイアはそんな気がした。




申し訳ございません。設定ミスしておりました。

次週より、気をつけます。

毎週火曜日18:50公開

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