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省エネ聖女のわたしが隣国の王太子に溺愛されるだなんて信じられません!  作者: 慧依琉:えいる


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第12話:下働きだって正当な働きだもの






神官長の言葉にまわりの聖女候補たちがリラを見てヒソヒソ言っている。クスクスと笑う者もいる。




リラは両足に添えるようにしていた手をギュッツと強く握った。


〝聖女としての力の使い方〟を学ばないともし「聖力」があっても使いこなせない。それなのに近くで学んで仕えるべき存在がいない上に、〝下働きとして〟と神官長に言われたのだ。流石のリラも悔しいのだろう。



遠くから一連の流れを見ていたミレイアもリラを見る瞳が険しくなる。


「さあ、ミレイアさま。お食事の準備が出来ております。どうぞ、ご着席ください。」


ミレイア付の聖女候補が言った。




ミレイアは彼女をキッツと睨むかのように見た。なぜなら彼女はリラを責め立てたあの「ララ」だったからだ。


「あなた…。そんなに私に媚びをうるようなことをしなくて結構よ。」


「え…。あの、私そんなつもりじゃ…。」


「これくらいのことでしたら私、自分でも出来ますの。あなたもご自分のことをなさってはいかがかしら。」



そう言ってミレイアは席に着いた。



ララは顔を真っ赤にして俯いている。


ミレイアは更に追い打ちをかける。



「そこに立っていては時間の無駄でしてよ。早く着席なさってはいかがかしら。」


ララは顔を上げて席に着いた。




みんなはララが顔を上げた途端、視線を逸らす。



〝どうして私がそこまで言われないといけないの?上位ランクが何なのよ?貴族だからって…!〟


ララは悔しそうにナイフとフォークを握った。




ララも施設育ちだ。貴族のような食事のマナーはついてない。こういう意味でも覚えるためにそば仕えとしているのだった。




神殿の食事は孤児たちにとってはご馳走だ。施設ではパンも一切れ、おかずは一週間に一度、あとは大概スープとの組み合わせだ。



リラも目の前の豪華なご馳走にドキドキしていた。


ここではサラダが出ていた。パンも一人2種類用意されている。




みんな静かに食事を始めた。

そばにいる貴族や上位ランクの聖女候補たちのナイフとフォークの使い方を真似していた。



最初から上手くいかず、床に転がしてしまう者もいた。

拾って食べようとしたら神官見習いたちに止められた。



「だめです。もったいないですが、行儀が悪いのです。」



リラも落としてしまったので、神官見習いにそう言われてシュンとなってしまった。


「あなたの気持ちはよくわかりますよ。私も昔、同じでしたから。でも、立派な聖女となったとき、マナーが身についていなければいけませんから、慣れて下さい。」



リラは〝ハッツ〟とした。





〝このひとはわたしを差別しない…。〟




リラは久しぶりに自分に対して温かく接してくれたことに感動した。だから素直に返事もすぐに返せたのだった。



「はい。神官見習いさま。」


そう返事をしたら彼女は穏やかにニッコリと笑った。




リラは自分に対して微笑んでくれた彼女のことがとても気に入った。



「あ、あの…。神官見習いさまのお名前を伺っても?」



「わたしですか?わたしはここではリアーナと呼ばれています。」


「呼ばれている?」


「ふふっ、おしゃべりはここまでです。さあ、食事が終わったら神官長の言いつけ通り、下働きに出ましょうか。」



〝─────あれは免れないのね。〟



だが、リアーナに言われるとそんなにショックでもなかった。ひとは現金な生き物だとリラは自分のことなのに思った。




リアーナに付いてリラは神殿の中を歩いて行く。




箒と塵取り、バケツに雑巾を持たされて、上位クラスの部屋から順番に掃除をするように言われた。




「え…。もしかして、私一人で全員の部屋をするのでしょうか…。」


「そうよ、みんなが礼拝に行ったあとに神殿で祈祷し、そのあと聖女訓練を終えて戻ってくるまでに仕上げてね。」


「……え。」




リラは戸惑った。流石に一人で全員の部屋をとなると時間が足りない。慌てて声を出そうとしてリアーナを見上げた。だが、リアーナはニッコリと笑うだけ。それだけで〝圧〟が凄くてリラは言葉を飲み込んでしまった。



〝このひと、親切だと思ったらそうでもない…?〟


リラは人を見る目を養わなければならないと思った。



リアーナが無言の圧をかけてすぐに自分の持ち場へと戻って行った。



リラは思わず大きな息を吐いた。



「本当に私一人なの…?」



戸惑っていたが、やらなければきっとあとで〝おしおき〟が待っているだろう。

ここでは施設のような厳しいお仕置きはないだろうが、やはり痛い思いはしたくない。

リラは思わず〝ぶるっ〟と身震いし、唇をギュッツと噛んで




「よし!やるぞ!」



と、気合を入れた。




要は考え方の違いだ。



〝今なら誰にも邪魔されない!〟



つまり、今まではミレイアと一緒でない時は他の人からの邪魔が入り、リラはそのせいで罰を受けていたのだ。



することが多いのは確かだが、邪魔されないと思うとリラは気持ちがすぐに切り替わった。



挿絵(By みてみん)


ご覧下さりありがとうございます。

次週火曜日更新します。

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