第18話:自白と王都特使
アーゼンベルフ王国の最下層、スラム街の暗黒要塞『踊る豚亭』。
王都からの特使が、狂信的な部下たち(特務大将直轄・独立遊撃部隊)の放つ異様な殺気と、全裸で土下座する暗殺者という地獄の光景に耐えきれず、泡を吹いて気絶してから数分後のことである。
「皆の者! 出陣の準備を急げ! スミス将軍の『王都への教育』のための遅参の時間は、十分に稼いだ! これより我々は、絶望のどん底にある王都の甘え切った連中の前に神のごとく降臨し、圧倒的な力で魔王軍を蹂躙する!」
レオンの血に飢えた狂気的な号令が、鋼鉄で密閉された酒場のフロアに木霊した。
百名のならず者たちは、武器の刃をギラギラと輝かせ、猛獣のように雄叫びを上げている。
全裸の魔法暗殺者ヴェインは、シルヴィママから情けで投げ渡された『空のワイン樽』をスポッと被り、樽から手足だけを出した滑稽な姿で「わ、私も将軍の奴隷として末席に加えてくださいませェェ!」と泣きながら床にすがりついていた。
その凄まじい熱狂の中心で。
(やめて! 本当に出陣する気なの!? 四天王クラスのバケモノが三体もいる戦場なんて、体力3の俺が行ったら一瞬で消し炭になるに決まってるだろ! しかもあの般若王女がいるんだぞ! お願いだから誰か冗談だと言ってくれ!)
サトーは三十キロの錆びついた全身甲冑の中で、激しい過呼吸を起こし、心臓が肋骨を突き破りそうなほどの危険なビートを刻んでいた。
全身の血の気が完全に引き、神経という神経がヤスリで削られるような極限のストレスに晒されている。
だが、彼が恐怖のあまりガタガタと小刻みに震え、一歩も動けずにいるその姿は、狂信者たちの目には『出陣を前に、静かに闘気を極限まで練り上げている軍神のオーラ』として完璧に自動翻訳されてしまっていた。
「見ろ、バルタ……。将軍のあの震え。これから屠る数万の魔王軍の血を思い、武者震いが止まらないご様子だ」
「ヒャハハ! 大将の背中から立ち昇る死のプレッシャーで、俺まで息が詰まりそうぜ! 全員、将軍に遅れをとるんじゃねえぞ!」
(違う! ビビって腰が抜けてるだけだよ! 闘気じゃなくてただの冷や汗だよ! 誰か俺の甲冑を脱がせて脈を測ってくれ、間違いなくショック死寸前だから!)
サトーが心の中で血の涙を流して絶叫した、その時だった。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!
突如として、鋼鉄の要塞全体が、直下型の大地震に見舞われたかのように激しく揺れ始めた。
酒場の床の大理石がメキメキと音を立ててひび割れ、地下貯蔵庫に続く階段の方向から、圧倒的な質量を持つ『何か』が、凄まじい地鳴りとともに這い上がってくる。
『グルルルルルルル……!』
「な、なんだ!? 地下から何かが来るぞ!」
ならず者たちが一斉に武器を構え、後ずさりした。
ドバキィィィィィィッ!!
分厚い鋼鉄の床板を内側から紙屑のように突き破り、酒場のフロアに姿を現したもの。
それは、黒曜石の鱗に覆われ、全身から超高熱のマグマの息を吐き出す、神話の時代の災厄――『古代地竜』であった。
地下の底でサトーにテイム(※プロテインの悪臭による偶然の服従)されて以来、大人しくしていたはずのバケモノが、地上の騒がしさとサトーの異常な心拍数の変化を察知し、「ボスの危機だ」と勝手に勘違いして床をぶち破って現れたのである。
「ヒィィィィッ!?」
サトーは悲鳴を上げそうになり、両手で必死に兜の口元を押さえた。
古代地竜は、家ほどもある巨大な頭をサトーの足元にすり寄せると、「キューン、キューン」と、その凶悪な外見からは想像もつかないほど情けない、子犬のような甘えた声を出した。
(熱い熱い熱い! 鼻息が完全に火炎放射器! 甲冑の表面が赤熱し始めてるから! 頼むからすり寄ってこないでくれ!)
サトーは兜の中で、熱中症と恐怖で視界を明滅させながら、ガタガタと痙攣した。
しかし、その光景を見たレオンは、雷に打たれたように目をカッと見開いた。
「……おおおおおっ! なんという事だ!」
レオンが、銀の剣を天に突き上げ、感涙に咽び泣きながら絶叫した。
「将軍は! 王都までの数キロの道のりを一瞬で駆け抜けるため、自ら服従させたこの神話の竜を『軍馬』として地上へ喚び出されたのだ! 見よ、この古代地竜の、将軍に対する絶対的な忠誠の姿を!」
「す、すげえ……! 魔将どもを相手にするには、自分の足で歩くより、コイツに乗った方が早いって計算か! さすがは大将だ、スケールが人間じゃねえ!」
バルタが狂ったように笑い声を上げる。
(違う! 勝手に出てきただけだよ! 乗るわけないだろ、こんなマグマの塊みたいなバケモノに! 落ちたら死ぬし、乗ってるだけでも熱で焼け死ぬわ!)
サトーが必死に首を横に振ろうとした瞬間。
「さあ、スミス将軍! ご出陣の時です! 我らも死に物狂いで将軍の竜の後を追います!」
レオンとバルタが、サトーの両脇をガシッと掴むと、三十キロの甲冑ごと軽々と持ち上げ、古代地竜の巨大な背中の上――ゴツゴツとした黒曜石の鱗の間に、ドスン!と乱暴に鎮座させたのだ。
「あばばばばばっ!?」
サトーの口から、奇妙な悲鳴が漏れる。
背中から伝わってくるのは、鉄板の上で焼肉にされる牛の気持ちが痛いほどわかる、絶望的な超高熱。
さらに古代地竜は、「ボスが背中に乗ってくれた!」と歓喜に打ち震え、嬉しそうに巨大な翼をバサァッ!と広げた。
『グォォォォォォォォォォッ!!』
神話の竜の咆哮が、鋼鉄の要塞の壁をビリビリと震わせる。
「開門ォォォ! 将軍の御出陣だァァァァ!」
レオンの号令とともに、酒場の正面の分厚い鋼鉄のバリケードが左右に大きく開け放たれた。
次の瞬間。
古代地竜は、凄まじい脚力で酒場の床を粉砕し、背中にサトーを(そして尻尾の先に、樽を被った全裸のヴェインが勝手にしがみついている状態のまま)、弾丸のような恐るべき速度で、王都の中心部へと向かって夜の闇の中を猛ダッシュで駆け抜けていった。
「将軍に続けェェェェッ!」
百名の狂信者たちが、土煙を上げてその後を狂ったように追走していく。
(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬゥゥゥッ!)
サトーは、振り落とされないように古代地竜の背中のトゲに必死にしがみつきながら、音速に近いスピードで顔面に叩きつけられる凄まじい風圧と、下から焼き尽くしてくる超高熱のマグマに、完全に意識を遠のけさせていた。
ジェットコースターの最前列で、シートベルトなしで火炙りにされているような、究極の拷問である。
(誰か……助けて……定時退社させて……)
最弱の社畜を乗せた暴走特急は、数万の魔王軍が包囲する絶望の最前線へと、一直線に突き進んでいった。
◆ ◆ ◆
その頃、王都の正門前。
アーゼンベルフ王国の防衛戦は、文字通り『崩壊』の二文字を突きつけられていた。
「ひぃぃっ! ば、化け物だ! 結界が、王都の第一結界が破られたぞ!」
「逃げろ! 魔将の炎だ!」
燃え盛る城壁。
阿鼻叫喚の悲鳴を上げて逃げ惑う王国軍の兵士たち。
彼らを無慈悲に蹂躙しているのは、魔王軍が誇る数万の軍勢、そしてその先頭に立つ、三体の恐るべき『魔将』たちであった。
全身を灼熱の炎で包み、周囲の空間ごとすべてを灰に変える『炎将イグニス』。
触れるものすべてを絶対零度で凍てつかせる『氷将グラキエス』。
そして、雷を纏い、音速で戦場を駆け抜けて兵士を切り刻む『雷将トニトルス』。
かつて建国の勇者によって封印されたはずの、四天王クラスの災厄が三体同時に現れたのだ。王国軍の剣や魔法など、彼らの前では子供のおもちゃにも等しかった。
「……ここまで、ですか」
燃え落ちる王都の正門の前に立ち、絶望的な光景を見つめている一人の少女がいた。
黄金色の縦ロールヘアを血と泥で汚し、純白のドレスの上からミスリル製の美しい軽鎧を纏った、アーゼンベルフ王国第一王女――セレスティアである。
彼女の手には、王族に代々伝わる聖剣が握られていたが、その刃はすでにボロボロに刃こぼれし、彼女自身の体力も魔力も完全に底を突いていた。
周囲を守っていたはずの近衛騎士たちは、三魔将の圧倒的な力の前に次々と倒れ、もはや立っているのは彼女一人となっていた。
(ああ……最悪。本当に最悪だわ)
セレスティアは、迫り来る魔将たちを睨みつけながら、心の中でどす黒い悪態をついていた。
(なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの? 私の完璧な人生計画は? 次期女王として、贅沢三昧で毎日エステとティータイムを楽しむはずだったのに! なんでこんな泥臭い最前線で、無能な兵士たちの尻拭いをして死ななきゃいけないのよ!)
表向きは「民を守るために最前線に立つ慈愛の王女」を演じているが、彼女の本性は、サトーをゴミ捨て場に不法投棄したあの日の『般若』のままである。
(だいたい、あの日召喚した勇者が、体力3のゴミだったのがすべての間違いなのよ! あいつのせいだ! どこの誰かも知らない佐藤とかいうドブネズミのせいで、私の人生はめちゃくちゃよ!)
自らの八つ当たりと責任転嫁を極限までブーストさせながら、セレスティアは奥歯をギリッと噛み締めた。
そんな彼女の前に、三体の魔将が悠然と歩み寄ってくる。
『ククク……哀れな人間の王族よ。貴様のその美しい顔が絶望に歪む瞬間を、我が炎で焼き尽くしてくれるわ』
炎将イグニスが、掌に巨大な火球を生み出しながら、残酷な笑みを浮かべた。
「……ふざけないで。私を誰だと思っているの。私はアーゼンベルフの次期女王、セレスティアよ!」
セレスティアは虚勢を張り、最後の力を振り絞って聖剣を構えた。
だが、震える腕では剣の切っ先すら満足に上がらない。
(死ぬ……! 本当に死ぬ! 誰か、誰でもいいから助けなさいよ! 給料の無駄飯食らいの兵士ども! それに……そうだ、あの噂の『スミス将軍』とかいうバケモノはまだ来ないの!? 使者を出したはずでしょ! 使えないわね、全員クビにしてやる!)
王女の心の中のヒステリーが最高潮に達した、まさにその瞬間だった。
『死ね、人間の小娘!』
炎将イグニスが、王都の城壁すら一撃で溶かすほどの巨大な業火を、セレスティアに向けて放とうと右腕を振り上げた。
セレスティアは、迫り来る死の熱風に、思わず目を固く閉じた。
――ドゴォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
鼓膜が破裂するかと思うほどの、天を裂くような凄まじい轟音が、戦場のど真ん中で弾け飛んだ。
「……えっ?」
セレスティアが恐る恐る目を開けると。
目の前にいたはずの炎将イグニスの姿が、跡形もなく消滅していた。
代わりに、彼女の目の前の地面には、巨大な隕石が落下したかのような、すり鉢状のクレーターが穿たれていた。
そして、そのクレーターの中心。
完全にペシャンコに圧縮され、ピクピクと痙攣している炎将イグニスの頭の上に。
三十キロの赤錆びた全身甲冑が、ガシャンッ!と重々しい音を立てて、両膝を突いた姿勢のまま鎮座していたのである。
『なっ……!? イグニスが、上空からの謎の一撃で、一瞬で潰されただと!?』
『ば、馬鹿な! いったい何が起きたのだ!?』
残された氷将と雷将が、驚愕に目を見開き、数歩後ずさりした。
そして、その直後。
戦場の上空を、太陽を覆い隠すほどの巨大な影が通り過ぎた。
『グォォォォォォォォォォォォォッ!!!』
神話の時代から蘇りし災厄、古代地竜である。
地竜は上空でホバリングしながら、眼下の魔王軍に向かって、すべてを灰にする超高熱のマグマの息を一斉に吐き散らした。
『ぎゃあああああっ!』
『熱い! 逃げろ! なぜ神話のドラゴンが人間側に味方しているのだ!?』
数万の魔王軍の陣形が、たった一体のドラゴンのブレスによって、一瞬にして崩壊し、阿鼻叫喚の地獄絵図へと変わっていく。
その圧倒的な破壊と混乱の中心で。
クレーターの底に鎮座する、錆びついた全身甲冑の男。
彼こそは。
(痛えええええええええええええっ!!! なんだこれ!? なんで空から落ちたの俺!?)
サトーである。
彼は、古代地竜の背中に必死にしがみついていたのだが、あまりの速度と恐怖に完全に気を失いかけ、手が滑ってしまったのだ。
そして、地竜が王都の戦場へ向けて上空へ大きくジャンプ(飛翔)した瞬間、三十キロの甲冑の重さに耐えきれず、上空数十メートルの高さから、真っ逆さまに自由落下してしまったのである。
そして、重力加速度を味方につけた『三十キロの鉄の塊の落下エネルギー』は。
運悪く(サトーにとっては運良く)、セレスティアを殺そうとしていた炎将イグニスの脳天に、物理法則の暴力としてクリティカルヒットした。
魔法の防御結界など、純粋な質量兵器(落下する甲冑)の前では紙クズ同然であり、魔将は一瞬にしてペシャンコに潰されてしまったのだ。
「い、痛い……腰打った。足も痛い。……ここ、どこだ……?」
サトーはクレーターの底で、全身の骨が軋む痛みに涙を流しながら、フラフラとカシャン、と立ち上がった。
そして、兜のスリット越しに目の前を見た瞬間。
彼の心臓は、落下した時の十倍の速度で、限界突破のバクバクという警鐘を打ち鳴らした。
(は、般若王女ォォォォォォォッ!?!?)
目の前。わずか数メートルの距離。
泥だらけになりながらも、その圧倒的な美しさを保っているセレスティア王女が、信じられないものを見るような、大きく見開かれた目でサトーを見つめていたのだ。
(終わった! バレる! 俺があの日の「ゴミ」だってバレる! 逃げなきゃ! 今すぐこのクレーターから這い上がって、一秒でも早く逃げなきゃ処刑される!)
サトーはパニックになり、三十キロの甲冑をガシャンガシャンと鳴らしながら、必死に後ろへ後ずさりしようとした。
しかし、そのサトーの『無言のまま、ゆっくりと立ち上がり、冷徹な視線を周囲に向ける(※パニックで首を振っているだけ)』という行動は。
セレスティアの目には、どのように映ったか。
「あ、貴方様は……まさか」
セレスティアは、震える手で胸を押さえ、その美しい瞳から大粒の涙を溢れさせた。
「はるか上空から、神話の竜を駆って戦場へ飛び降り……その自らの肉体という圧倒的な質量のみで、あの魔将を一撃で粉砕した……。そして、私を一瞥することもなく、残る二体の魔将へと静かに殺気を向けている……」
セレスティアの心の中で、かつてないほどの激しい感動と、ある種の『トキメキ』が爆発した。
(なんて……なんてストイックで、恐ろしく、そして頼もしいお方なの……! 王都の貴族どもみたいに私に媚びへつらうこともなく、ただ無言で背中で語る本物の戦士! 間違いないわ、この錆びついた異様な甲冑……彼こそが、噂に聞く王国の救世主!)
「スミス将軍……! スミス将軍ですね! ああ、よくぞ……よくぞ間に合ってくださいました!」
セレスティアは、完全に『悲劇のヒロインを救い出した白馬の騎士』を見るような、うっとりとした乙女の表情で、両手を胸の前で組んで祈るように叫んだ。
(ち、ちげえええええええ! 逃げたいだけだよ! 俺はお前が捨てた佐藤だよ! なんでそんなキラキラした目で俺を見てるんだよ、怖いよ!)
サトーは心の中で滝のような冷や汗を流し、今すぐ「違います、人違いです」と言って走り去りたかった。
しかし、そんなサトーの背後に。
『……貴様。よくもイグニスを。人間の分際で、我ら魔将の誇りを泥で汚したな……!』
氷将グラキエスと、雷将トニトルスが、かつてないほどの激しい怒気と殺気を放ちながら、サトーの背後に立ち塞がっていた。
彼らの放つ魔力のプレッシャーだけで、周囲の空気が凍りつき、紫電がバチバチと弾けている。
(ヒィィィィィッ!? 前には般若王女! 後ろにはバケモノ二体! 挟まれた! 完全に挟まれた! 逃げ場がどこにもねえ!)
サトーが絶体絶命の絶望に白目を剥きかけた、まさにその時である。
「将軍をお守りしろォォォォォッ!!」
王都の城壁の向こう側から、凄まじい土煙を上げて、百名の狂信的なならず者たち(遊撃部隊)が、狂ったような雄叫びを上げて戦場へと雪崩れ込んできた。
さらに、上空からは古代地竜が「ボスをいじめるな!」と言わんばかりに、二体の魔将に向けて超高熱のマグマブレスの追撃態勢に入っている。
そして、その大混乱の戦場に、謎の奇妙な音が響き渡った。
「す、スミス将軍の歩む道に、このヴェインの魔法も捧げますぞォォォ!」
樽から手足だけを出した全裸の老人が、なぜか古代地竜の尻尾から振り落とされて戦場のど真ん中に着地し、謎のポーズを取りながら空間魔法の残滓を周囲にばら撒き始めたのである。
『な、なんだあの樽を被った全裸の狂人は!? まさか、あれもスミスの配下か!?』
『上空には神話の竜! そして、我々の攻撃を全く意に介さない、底知れぬ無言の鉄仮面……! こ、これが人間の力だというのか!?』
魔将たちは、完全に想定外の、あまりにもカオスすぎる状況に思考が追いつかず、完全に戦意を喪失して後ずさりし始めていた。
一方のサトーは。
(もうヤダ……帰りたい。ママさんの泥水スープ飲んで、硬いベッドで寝たい。誰か、俺を定時退社させてくれェェ……)
王女からの熱烈な崇拝の眼差し。
魔将たちからの圧倒的な恐怖の視線。
狂信的な部下たちとドラゴンの大暴れ。
そして、全裸の老人の謎の舞い。
すべてが極限状態に達した戦場のド真ん中で、最弱の社畜・佐藤一郎は、誰にも見えない兜の奥で、ただひたすらに神経をすり減らし、魂の形を崩壊させながら、無言のまま立ち尽くし(※気絶寸前)続けることしかできなかった。
王都を巻き込む、スミス将軍の超大迷惑で壮大な勘違い無双伝説は、ついに国家の頂点(王女)すらも巻き込み、後戻り不可能な絶対的英雄の道へと、完全に固定されてしまったのである。




