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第12話:芋剥きと頭突き

古びた木材の隙間から、冷たく湿った夜風が容赦なく吹き込んでくる。


王都のスラム街の片隅にある酒場『踊る豚亭』。その厨房の真上に位置する、ホコリっぽく狭い屋根裏部屋の硬いベッドの上で、サトーは暗い天井を見つめたまま、ピクリとも動かずに横たわっていた。


(百億。……百億。暗黒金貨、百億枚)


サトーの脳内で、先ほどレオンから告げられた絶望的な数字が、呪いの呪文のように何度も何度もリフレインしていた。

魔王軍の最高司令部が、自分――『特務大将スミス』の首に懸けたという、歴史上最大の懸賞金額。

その途方もない数字の魔力に釣られて、今この瞬間にも、世界中のありとあらゆる裏社会の殺し屋、残虐な暗殺ギルド、血に飢えた賞金稼ぎたちが、自分の命を狙ってこの王都へと集結しつつあるのだ。


サトーの心臓が、まるで非常事態を告げる警鐘のように、ドクン、ドクンと早鐘を打ち続けている。

神経という神経が荒いヤスリで削り取られるような極限のストレスで、呼吸はひどく浅く、全身の毛穴からは冷や汗が滝のように流れ落ちていた。


(ダメだ。ここにいたら、絶対に殺される。あの「影の刃」とかいう凄腕の暗殺者は、たまたま俺が背伸びをして丸椅子から落ちたから倒せた、いや、勝手に自滅してくれただけだ。あんな奇跡が二度も三度も連続して起きるわけがない。次に本物のプロの暗殺者が来たら、俺は確実に、痛みを感じる間もなく喉を掻き切られて死ぬ)


サトーは、三十キロの錆びた甲冑の中で、ガチガチと鳴る歯の根を必死に食いしばった。


自分の命が惜しいのは当然だが、それ以上に恐ろしいことがあった。


もし、このまま自分がこの『踊る豚亭』に居座り続ければどうなるか。


世界中から押し寄せる凶悪な暗殺者たちの波状攻撃に、シルヴィママや、ミアや、常連客たちが巻き込まれてしまうのは目に見えている。


彼らは、見知らぬ異世界で唯一、この最弱の自分を「ただの不器用なサトー」として拾い上げ、温かく迎え入れてくれた恩人たちである。彼らを血みどろの抗争に巻き込むことだけは、どうしても避けたかった。


(逃げよう。今すぐ、この酒場から逃げ出すんだ。王都からも離れて、誰も俺の顔も名前も知らない遠くの山奥か、深い森の洞窟に隠れ住んで、戦争が完全に終わるまで絶対に外に出ない野生のモブ生活をするんだ。……それしか、俺もママさんたちも助かる道はない)


サトーは、かつてないほどの強い決意とともに、カシャン……と極力音を殺しながら、ベッドから重い身体を起こした。


時間は、草木も眠る深夜の二時。


酒場の営業はとうに終わり、一階からはシルヴィママの地響きのような豪快なイビキが微かに聞こえてくる。


外にはレオンやバルタたち『独立遊撃部隊』の百名が警備のキャンプを張っているはずだが、今の時間帯なら、いくら彼らでも見張りの数は減っているはずだ。


サトーは、三十キロの甲冑が歩くたびに立てる金属音を極限まで殺すために、部屋にあったボロボロの毛布やシーツを細く引き裂き、鎧の関節部分や鉄靴の裏に、ぐるぐると何重にも巻き付けて固く縛り上げた。


さらに、荷物をまとめるための麻袋に、厨房からくすねておいた『特製・超濃縮液状プロテイン』の入った木製の水筒を三本だけ詰め込む。


あれほど不味いと忌み嫌っていた泥水のような液体だが、今となってはこれがないと体力が持たない身体になってしまっている自分が少し悲しかった。


(よし……。音を立てるな。足音を消せ。息を殺せ。絶対に誰にも気づかれずに、このスラムを抜け出すんだ)


サトーは、三十キロの鉄の塊を纏っているとは思えないほどの極限の集中力で、抜き足差し足、忍び足で屋根裏部屋の急な階段を下り始めた。


ギシッ。……カシャン。


(ひぃっ!)


床板が微かに鳴るたびに、心臓が口から飛び出しそうになる。


神経が千切れそうなほどの緊張感の中、サトーはたった十数段の階段を下りるのに三十分もの時間をかけ、ようやく酒場の裏口の木扉へと到達した。



そっと扉を押し開き、外の暗い路地裏へと滑り出る。


幸いなことに、レオンたちの部隊は酒場の正面と大通り側を中心に警備を固めており、この狭く入り組んだ裏路地には、見張りの兵士の姿はなかった。


(いける……! このままスラムの複雑な迷路を抜けて、王都の城壁の排水溝か崩れた穴から外へ脱出すれば、俺の完全な逃亡生活が始まる! さようなら、特務大将の地位! さようなら、百億の懸賞金!)


サトーは、冷や汗で顔をぐちゃぐちゃにしながら、真っ暗なスラムの路地裏を、ガニ股の不格好な姿勢で小走りに進み始めた。


◆ ◆ ◆


スラム街の最も奥深く、王都の光が一切届かない完全な廃墟エリア。


サトーが王都からの脱出ルートを探して、迷路のような路地を右往左往し始めてから、すでに一時間以上の時間が経過していた。


(ハァ……ハァ……迷った。完全に道に迷った。ここどこだよ……。同じ場所をぐるぐる回ってる気がする……)


サトーは、苔むした古いレンガの壁に背中を預け、ぜえぜえと荒い息を吐いた。

甲冑の関節に布を巻き付けたせいで動きが極端に制限され、ただでさえ体力値3の貧弱な肉体は、すでに限界をとうに超えて悲鳴を上げていた。


空を見上げても、禍々しい赤い月は分厚い雨雲に完全に隠れ、方角すらもわからない。


その時だった。


『……ほう。まさか、我々が動く前に、貴様の方からこのような人気のない死地へとのこのこ歩いてくるとはな』


不意に、周囲の闇そのものが声を発したかのように、低く、氷のように冷たい声が響いた。


「えっ……?」


サトーが息を呑んで顔を上げた瞬間。


周囲の廃墟の屋根、崩れかけたレンガ壁の上、そして路地の前後。


あらゆる退路を完全に塞ぐように、一切の足音を立てず、漆黒の装束に身を包んだ『数十人の影』が、フワリと亡霊のように降り立った。


その手には、月明かりを一切反射しないように黒塗りされた短剣や、猛毒の塗られた吹き矢が握られている。


『我々は、大陸最大の暗殺ギルド【黒き牙】。……アーゼンベルフ王国の特務大将、スミス将軍。貴様の百億の首、我々が一番槍で頂戴する』


(ヒィィィィィィィィッ!!)


サトーの全身の血液が、一瞬にして完全に凍りついた。


呼吸が止まり、頭からサーッと血の気が引き、視界の端がチカチカと点滅し始める。


出た。


出てしまった。


懸賞金に釣られた、本物の、プロの暗殺者集団である。


しかも相手は一人ではない。ざっと見ただけでも、路地を埋め尽くすように三十人以上はいる。


『あの「踊る豚亭」というスラムの酒場は、貴様の狂信的な部下どもがアリの這い出る隙間もないほどに警備を固めており、我々も手出しができずにいた。……だが、まさか百名の護衛をすべて置き去りにし、単騎でこの廃墟におびき出されるとはな。英雄の自惚れか、それともただの愚か者か』


リーダー格と思われる、一際長身の暗殺者が、黒い刃をチャキリと鳴らして一歩前に出た。


『魔将ザルバを倒したという噂が本当かどうかは知らんが……この【黒き牙】の完全包囲陣から生きて帰った者は、歴史上ただの一人もいない。貴様はここで、音もなく切り刻まれて肉片となるのだ』


(殺される! 絶対に殺される! 逃げたのが完全に裏目に出た! 誰か! 誰か助けて! レオォォォンッ! バルタァァァッ! 頼むからいつものように壁をぶち破って助けに来てくれェェ!)


サトーは兜の中で、涙と鼻水を撒き散らしながら心の中で絶叫した。


しかし、声に出して助けを呼ぼうにも、極限の恐怖で喉の筋肉が完全にひきつり、声帯が空回りして「ヒュッ、ヒュッ」という微かな過呼吸の音しか出ない。


足は完全にすくみ上がり、一歩も動くことができなかった。


だが、その『完全包囲を受けながらも微動だにせず、沈黙を貫く鉄仮面』の姿は、歴戦の暗殺者たちの目に、異様なプレッシャーとして映っていた。


『……なんだ、あの不気味なほどの落ち着きは』


リーダーの暗殺者が、微かに冷や汗を流して構えを低くした。


『我々の完全包囲を受けているというのに、呼吸一つ乱さず、武器を抜く素振りすら見せない。……まさか、我々の気配などとうに察知しており、あえてこの廃墟に我々全員を誘い込んだというのか?』


『リーダー! 奴の鎧の関節を見てください! ボロボロの布が何重にも巻かれています!』


部下の一人が、サトーの不格好な細工に気づいて叫んだ。


『な、なんだと!? 甲冑の金属音を完全に消すための、実戦的な布の細工……? 馬鹿な、特務大将ともあろう軍のトップが、自ら隠密行動をとっていたというのか! まるで我々暗殺者と、同じ闇の土俵で戦うとでも言うように!』


暗殺者たちに、じわじわと得体の知れない恐怖が伝染していく。


相手は、強大な魔将を単騎で討ち取ったバケモノなのだ。そのバケモノが、わざわざ音を殺して自分たちの前に現れた意味を、彼らは最悪の方向に深読みし始めていた。


(違う! ただ誰にも見つからずに逃げたかっただけだよ! 布はそのためだよ! お願いだから勝手に深読みして警戒しないで、そのまま見逃してくれェェ!)


サトーは恐怖のあまり、無意識のうちに一歩後ずさりしようとした。

しかし、甲冑の重量と、足の震えが限界を超えていたため、足元が大きくもつれてしまった。


「あわっ……!」


サトーの右足の鉄靴が、廃墟の地面に転がっていた『苔むした巨大な瓦礫の塊』に思い切り乗り上げ、ツルンッ!と激しく滑った。


そのまま、三十キロの鉄の塊は、背後にそびえ立っていた『巨大な古い給水塔(スラムの住人が違法建築で木材と鉄くずを組み上げて作った、高さ二十メートルの塔)』の、最も太いメインの支柱に向かって、背面から凄まじい勢いで倒れ込んだ。


『なっ……!? 奴が動いたぞ! 構えろッ!』


暗殺者たちが一斉に毒矢を放とうとした、まさにその瞬間だった。


ドッッッゴォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!


サトーの背中が、給水塔の支柱に激突した瞬間。


長年の腐敗とシロアリの浸食によって、内部が完全にスカスカのボロボロになっていたその違法建築の塔は、三十キロの鉄の塊による一点集中の質量衝撃に耐えきれず、根本から『バキィィィィッ!』と凄まじい音を立ててへし折れたのだ。


『な、なんだ!? 塔が!?』


暗殺者たちが上を見上げた時には、すでにあらゆる回避行動が手遅れだった。


高さ二十メートルを超える巨大な給水塔が、上部に設置されていた何百トンもの泥水の入った貯水タンクと、無数の鋭い鉄骨を巻き込みながら、暗殺者たちが密集している路地の中央に向かって、真っ逆さまに倒壊してきたのである。


『ば、馬鹿な! 奴の真の狙いはこれかァァァァッ!?』


ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!


鼓膜が完全に破裂するような、文字通りの轟音とともに。


巨大な給水塔が路地を完全に押し潰し、内部に溜まっていた何百トンもの泥水が、凄まじい勢いの鉄砲水となって、廃墟一帯を一瞬にして飲み込んだ。


逃げる暇など、一秒たりともなかった。


大陸最大の暗殺ギルド【黒き牙】の精鋭数十名は、誰一人として自慢の武器を振るうこともできず、巨大な瓦礫の下敷きとなり、あるいは凄まじい水圧によってレンガの壁に叩きつけられ、一瞬にして全員が完全に全滅した。


そして、その惨状の中心で。


「ゴボババババッ!! 溺れる! 死ぬ! 息ができないィィ!」


給水塔の支柱の根元に仰向けに倒れ込んでいたサトーは、鉄砲水の直撃をモロに受け、三十キロの甲冑ごと泥水の中に完全に沈んでいた。


しかし、サトーの兜は『サビで完全に密閉されてロックされており、絶対に脱げない』という最悪の欠陥が、ここに来て奇跡的な『防水機能(簡易的な潜水服状態)』として働き、辛うじて内部への泥水の侵入を防いでいたのである。


(苦しい! でも死んでない! なんだこれ!? なんで突然、塔が倒れてきたんだ!? 俺の運命はどんだけ殺意が高いんだよ!)


サトーが濁流の中でグルグルと洗濯機のように回転しながら、パニックで意識を失いかけた、その時だった。


◆ ◆ ◆


「将軍ゥゥゥゥゥッ!!」


廃墟の入り口から、濁った泥水を切り裂くようにして飛び込んできたのは、銀の剣を高く掲げたレオンと、巨大な戦斧を振り回すバルタ、そして百名の独立遊撃部隊のならず者たちだった。


彼らは、巨大な倒壊音と水音を聞きつけ、血相を変えてキャンプから駆けつけてきたのだ。


「水が引いていくぞ! 瓦礫の山を捜索しろ! 将軍のお姿を何としてでも探し出すのだ!」


部下たちが必死に巨大な瓦礫をどかし、泥水の中を泥だらけになって探索する。

そして。


「……ここだ! 将軍がおられたぞ!」


巨大な貯水タンクの残骸の影。


引き始めた泥水の中から、ガシャン……と鈍い音を立てて、泥と水草にまみれたサトーの甲冑がゆっくりと立ち上がった。


「おおおお……! スミス将軍!」

レオンが泥水の中に崩れるように膝を突き、号泣しながらサトーの無事を確認した。


「ご無事だったのですね! ああ、なんという……なんという恐ろしい光景だ……!」


レオンとバルタは、周囲の惨状を見渡して、絶句して言葉を失った。


そこには、大陸の裏社会で死神と恐れられていた【黒き牙】の暗殺者たちの死体が、巨大な鉄骨の下敷きになり、あるいは水圧で全身の骨を砕かれて、無残に散乱していたのだ。


「レオン。こいつらの死体の装束……見覚えがあるぜ」


バルタが、泥にまみれた暗殺者の黒い仮面を拾い上げ、顔を激しく引き攣らせた。


「間違いない。大陸最大の暗殺ギルド【黒き牙】の精鋭部隊だ。はるか昔、隣国の国王の暗殺すらやってのけたっていう、伝説の殺し屋集団だぞ。……それが、たった一晩で、一太刀も浴びせることなく、文字通り全滅させられてやがる」


「……そうだ。スミス将軍が、たったお一人で、この最強の暗殺者集団を完全に壊滅させたのだ」


レオンが、震える声で、しかし圧倒的な確信を持って叫んだ。


「将軍は、夜中に敵の尋常ならざる気配を察知されたのだ! そして、もし酒場周辺で戦いになれば、我々部下や、酒場の女将たちが無傷では済まないと判断した! だからこそ、あえて将軍は護衛をすべて置き去りにし、ご自身の命を囮にして、この廃墟へと暗殺者たちを誘導されたのだ!」


「なっ……! じゃあ、大将の鎧に巻かれているこのボロ布は……!」


「そうだ! 相手が世界最高峰の暗殺者であることを考慮し、自らの足音を完全に消すための隠密の細工! すべては、敵をこの『給水塔倒壊トラップ』が仕掛けられた絶好のキルポイントまで、完璧に誘導するための計算し尽くされた伏線だったのだ!」


「「「おおおおおおおおおおっ!!」」」


百名のならず者たちが、サトーの底知れぬ恐るべき軍略と、部下や市民を守るための自己犠牲の精神に、狂ったような感嘆の雄叫びを上げた。


(違う! ただ王都から逃げようとして、足が滑って給水塔にぶつかっただけだよ! トラップなんて仕掛けてないし、俺が一番水に溺れて死にかけてたんだよォォ!)


サトーは兜の中で、寒さと恐怖でガチガチと歯を鳴らしながら、必死に誤解を解こうとした。


しかし、彼の極限の震え(痙攣)は、またしても彼らの目には『すべての策を完遂し、静かに闘気を収めている達人の姿』として映っていた。


「将軍……! 貴方様というお方は、どこまで我々を庇護し、己の命を削って一人で戦い続けるのですか!」


レオンが、サトーの泥まみれの鉄靴に額を擦りつけて泣き崩れた。


「わかりました! 将軍のその深き御心、このレオンが痛いほどに理解いたしました! 将軍が我々を危険から遠ざけようと単独行動を取られたのは、我々の『酒場周辺の警備』が未熟であったため! このままでは、将軍に二度三度と同じ自己犠牲を強いることになってしまう!」


(えっ? レオン、お前いきなり何を言って……)

サトーの心臓に、かつてないほど強烈な嫌な予感がよぎる。


レオンは立ち上がり、血走った目で百名のならず者たちを振り返った。


「皆の者! スミス将軍にこれ以上の単独行動をさせてはならん! 今日この瞬間より、我々『独立遊撃部隊』は、将軍の寝所である『踊る豚亭』を、軍の最前線基地と同等、いやそれ以上の【完全要塞】へと改築する!」


「おうよォォォッ!!」

バルタが巨大な戦斧を天に突き上げ、狂ったように咆哮した。


「酒場の周囲に鋼鉄のバリケードを築け! 屋根には見張りの櫓(やぐら)を建てて弓兵を配置しろ! スラムの住人にも武装させ、一帯を完全に我々の支配下に置くんだ! 大将の睡眠時間は、俺たちの命に代えても死守するぞォォ!」


「「「スミス将軍バンザイ! 完全要塞バンザイ!」」」


夜明け前のスラムの廃墟に、狂信者たちの熱狂的な大合唱が響き渡る。


(やめてええええええええええええええっ!!!)


サトーは兜の奥底で、完全に魂が崩壊する音を聞いた。


王都から逃亡して、平和な隠遁生活を送るという、サトーの切実なモブ計画。

それは、自らが引き起こした奇跡的な『給水塔倒壊トラップ』によって、最悪の形で裏目に出てしまった。


逃げるどころか、部下たちの警備体制をかつての百倍強固なものへとアップグレードさせてしまい、自分のアパート(酒場)を文字通り『難攻不落の最前線要塞』へと変貌させてしまったのである。


もはや、蟻一匹すらこの酒場から逃げ出すことは不可能。


そして、世界中の暗殺者たちは、この『要塞』に引きこもる特務大将の首を狙って、次々と波状攻撃を仕掛けてくることになるだろう。


―――つづく。

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