第十二章 作戦会議
翌朝、カイが机に地図を広げた。
「聞け」
全員が集まった。
「七つの塔は今、主を失って暴走している。止めるには各塔のシナプスを切断して、ヴェルタの波動で上書きするしかない」
「ヴェルタとは」とゼンが言った。
「基底振動だ。余計な意志を持たない、空の波だ」
それだけだった。
「切断から再起動まで時間がある。その間に上書きする」
カイは地図を指した。
「内部はすでに半分落ちている。動いているのは殻だけだ」
「なんで残火は支配されてないんだ」
ゼンが言った。
「あいつらは、揃わない」
カイは地図に点を打った。
「四つは残火が内側から止める」
また点を打つ。
「集まるな」
もう一つ。
「離れろ」
また打つ。
「その位置で受けろ。近すぎると、潰し合う」
ダリが地図を見た。「全体は私が見る。各塔はそこで繋ぐ」
カイは頷かなかった。ただ続けた。
「二つはダリとレムで止める。ダリの凪でノイズを消して、レムが波動を流し込む」
「手帳を使え。記録じゃない。振動の型が残っている」
レムは手帳を見た。
「タウ」
カイはタウを見た。
「ヴェルタの中心に立って波動を送る。そこから全ての塔へ繋がっている。君でなければできない」
タウは何も言わなかった。少し間があって、頷いた。怖くないとは言わなかった。でも頷いた。その違いを、カイは見ていた。
「レムとタウには護衛がつく。道を作る。それだけでいい」
カイは最後に山の塔の一点を叩いた。
「山の塔だけ、構造が違う。シナプスが地中に沈んでいる」
「切断の有効箇所は二つだ。だが選択肢は一つだ」
一拍。
「ブラスが四本の支柱を断つ。その隙に俺が中央の柱に術式を叩き込む」
「守衛が最も多い」カイは続けた。「二人が動く前に、全部引きつけろ」
ゼンを見た。
「お前が囮になれ。それだけでいい」
ゼンは短く笑った。「囮なら得意だぜ」
それだけだった。
沈黙が落ちた。ランプの火が揺れた。
タウが静かに口を開いた。
「……みんなで、同じ歌を歌えばいいんですね」
カイは少し間を置いた。
「……そういうことだ」
六つの不揃いな鼓動が、同じリズムを刻み始めた。




