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10月26日(水) アコーダンス

 色々と忙しないふりをしてみたり、弁を弄してごまかそうとしてみたり試みているつもりだろうが、無駄だ。お前が209号室の窓を割ったことは、とっくにクロックから話が回っている。


 暴れるゾンビからロベルタを庇うためだろう。やむを得まい。大体、そんな狂うほどウイルス感染が進行しているゾンビの癖に、窓ガラスへ叩きつけられて骨が潰れなかったとはな。とんだ石頭野郎だ。


 修理代の300ドルはピサンから出していい。仕方ないさ。金はまた貯めればいい。

 ついでに俺がへこませたフロントの修理費500ドルも、まとめてクロックへ払ってある。

 ホイストめ、あいつこそ石頭野郎だ。あまりにマルキをいびるもんだから、少しお仕置きしてやったんが、元々ベニヤで補修してあったところがとうとうやられた。

 ホイストの野郎が何と言おうと知ったことか。時短だなんだとシフトを減らしてるあいつが辞めるより、マルキが退職する方が、業務へ大いに支障が出る。クロックも壁へ穴を開けたことには苦言を呈していたが、ホイストへの仕打ち自体は「喧嘩は程々にしておけ」で終いだったしな。


 パッシモーニはよい人魚だ。噂じゃソノラ・モルナールとも懇意らしい。そもそもあのバルの共同出資者がソノラと聞いている。

 サンジェルマンモーニ曰く「野心の強い女だけどね」だそうだが、今度俺からもまた連絡しておくつもりだ。


 マンハッタンの作った死体について、処理の仕方が分からない、毎日焼いて食うばかりで、掛ける調味料のレパートリーもいい加減なくなり閉口してるとアズールに相談したら、レシピを20種類ほど送ってきた。デトロイトで絶対に行くべきレストラン20『ヴァージン・ムーン』のオーナーシェフが考案したレシピだぞ。お前にもまたメールを転送しておいてやる。


 同情を買って金をせびって回っていた癖、このまま交渉が並行線を辿れば、ピクシー達は週明けからストライキに入る。その間、衣服はコンクル通りのキョンシーの店に。客のも自分の制服も忘れずに領収書を貰っておくこと。その他リネン類は複数のクリーニング屋へ分散して発注するが、現在引受先は未定だ。

 スト破りは気が進まないが、そもそもの発端は連中が詐欺へ引っかかったことだからな。上手く折り合いがつくことを願ってる。


 ミスター・スプリッツァーが、少なくとも両手と右脚を複雑骨折した状態でホテルの玄関前へ放り出された。ウーバーを手配したから、チェリーが病院へ同伴している。

 内臓は損傷しているかもしれんが、少なくとも切除された形跡はない。まあ、予想していたよりはマシと言ってもいいんじゃないか。

 2人が今後の宿泊費用を払えるか、クロックは懸念している。あいつの心配なんざ知ったこっちゃないが、恐らく借金はまた嵩んだに違いない。退院してホテルへ戻り次第、弁護士を呼んでくれとのミスター・スプリッツァーから伝言だ。

 これを機にチェリーは、あの雑種エルフを見限るべきだと心底思うが、今回も無理なのだろう。こうなると、誰が因果な性質なのか分かったもんじゃないな。


 さっき14時の精算をしていたが、506号室の血液ボトルを台帳へつけ忘れた奴がいる。日に6、7本はオーダーが出ているから注意しろ。

 406号室は人魚と半魚人のカップルで、バケツ程の孵卵器一杯に卵を持ち込んでいる。部屋には加湿器を3台搬入済みだ。あと孵った時の為にベビーフードを売っている店はないかと聞かれたから、SRの死体を提供することで話がついている。3泊の予定だが、今後も細々とオーダーがありそうだ。何にせよややこしいから、何も起こらなければいいが。この前の卵でバスタブを詰まらせた蛙の使い魔の二の舞はごめんだぞ。あれはシルキー達が文句を言うから、2時間もかけて吸引用のゴムカップで片付けをさせられたんだからな。


$4,222.58

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