10月24日(月) エメラーダ
フィラデルフィアでのことはお前に感謝してる。けど、そんなに気を揉まなくても大丈夫だよ。お前はちょっと心配性すぎると思う。
それに俺、別にチェリーと寝たいなんて思ってないし……彼女は魅力的な女性だけど、何だか俺はピンと来ない。危ないような気もする。今のところ、危険を冒してまで一緒のベッドへ入りたいとは思わないかな。噛み殺したりなんかするもんか。
ミスター・スプリッツァーは現時点で臓器を摘出されたとかの悪い話は聞かないけれど、どうなんだろう。彼が死んじゃったら、チェリーもホテルを出ていくのかもしれない。
まあ、そんなのはどうでもいい。マティと、アワーグラス・リバーの中州にあるバルへ行ってきた。パッシモーニは窓際のすごくいい席を用意してくれて、申し訳ないな、今度お礼をしなきゃ。
マティはギブソンのオヤジがおかみさんと結婚する前にこしらえた子で、マティ自身はおかみさんとも仲良くやってるそうなんだけど、いつまでも世話をかける訳には行かないって悩んでる。ずっといたら良いのに、何なら店を継いだら、って俺は言ったんだけどね。彼女はオヤジと同じくらいに上手く、片面焼きのフライドエッグを焼くことが出来るんだから。それに店を継いでくれる子供がいたら、きっとオヤジさんも喜ぶと思う。
1115号室はベッドの壁寄せを完了してる。910号室はハンバーガー、506号室に血液ボトル。918号室の客のキャリーケースはオーキッドが病院へ持って行った。
614号室の2人連れ、様子が変だってチェックインの手続きをしていたマルキから報告があったんだけど、マンハッタンから報告があった。ノーム5匹が肩車して2人のふりをして予約してやがったんだ! おかしいと思ったんだよ、踏み台と、タオルを3枚追加で持ってきてくれってオーダーがあったからな。コートを脱いで寛いでいたところへ踏み込んで、しっかり絞ってある。もちろん3人分の料金も徴収した。それにしても今時こんな古典的な手段で、ごまかせると思ったんだろうか。
マンハッタンは近頃、お前ともよく話してるらしいね。ちょっとは進展してホッとしたよ。いつまで経っても伝書鳩役はごめんだ。
お前が死体は若い人間の方が良いって口癖みたく言うもんだから、明らかに家出少年っぽいティーンの子で、彼女がこしらえてくれた。SRに運び込んである。責任を取って持って帰れよ。
ここのところ彼女、対抗心があるのか知らないけど、若い女の子は絶対に死体へしようとしないね。以前はもっと、無作為だったような気がするけど。
もうハロウィンの季節か。妖精の子達って、ほんとミーハーだよな。彼女達が食べやすいような菓子でも買っておくよ。シャーリーはピーターパンの格好をするんだって。普通はティンカーベルなんじゃないのかと思うけど。それでドロレスは……いや、見てのお楽しみだな。お前にバラしたって知られたら、呪われるかもしれない。
ピクシー達が、サブプライム・ローンみたいなのに引っかかって、新しい集合住宅に引っ越す前から家を取り上げられたって。それなのにホテルの上層部は、彼らが元の住処へ戻ることを許さないらしい。もう壁も床も浸水のおかげでボロボロになって、あばらや同然だったのに。しかも幹部連中はダメ押しとばかりに住宅を建て壊してしまった。路頭に迷ったピクシー達は、リネン室で寝泊まりしてるよ。
カンパ用の缶が回ってきたから、取り敢えず俺も自腹で5ドル入れておいたけど、「ケチねえ」ってロベルタに言われちまったからもう5ドル追加した。お前も仮眠から帰ってきたらちゃんと、担当のオーキッドに渡しておけよ。
それにしても、彼らを騙した自称銀行家、もしかしたらホテルの連中の差金だったのかも……あいつらならやりかねない。
$5,019.08




