表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/103

10月23日(日) エメラーダ

 アルクディアがまた仮眠室へ泊まってる。一体何があったんだろう。「実際に婚約するに当たっての試験的な別居」とか、訳の分からないことを言ってるけど。


 お前、どう考えても風邪だろ。この前、ロベルタのお勧めで連れてってもらった韓国料理屋に行こうよ。辛いものが苦手なオーキッドはイマイチって顔してたけど、お前は酢豚にタバスコかけて食うような奴だから、絶対に気にいると思う。それか、ファンランド通りのコスタリカ料理でもいいな。あそこのエンチラーダのソースは火が吹きそうなほどだから。

 汗を掻いたら風邪なんかすぐ治るって、お前がいっつも言ってるのに。女と寝るのも、そりゃ汗だくになるだろうけど、相手に伝染したら怒られるだろう。


 1217号室の女性がひどいくしゃみをしていたのって、お前のせいじゃないか。それとチェリーも鼻声だったし。

 いや、彼女は単に飲み過ぎか。俺が部屋にキャンティを運んで行った時は、ずっとベッドの中にいて、ボトルの栓も俺に抜かせるほどだった。で、ワインを飲みながらずっと「あなたとなら寝てもいいかも」って。死にたいのかって聞いたら「かもね」だって。すっかりヤケクソみたいだ。ミスター・スプリッツアーは大きな勝負に誘われて、今晩からマンダリン・ホテルのペントハウスに行ってるらしい。主催はブラック・パール・ファミリーだ。本気でヤバいかも。


 リゾート賃貸のサイト、一通り見たよ。ちょっと全部追っていたら目が滑りそうなくらい、物件が売りに出されてるんだね。俺達が思ってる以上に、あの島の情勢は混乱しているみたいだ。

 俺はさっきも言ったけど、やっぱりあの、モダンな平屋の、壁に日干しレンガを貼った別荘がいいな。肩肘張らずに、居心地良く過ごせそうだ。お前が推してたスペイン風の白い邸宅も確かにゴージャスで格好いい。でもちょっと派手過ぎないかな。

 もちろん、コンドミニアムでも全然素敵だ。でもお前が力説するから、何となく戸建ての方が良さそうに思えてきた。ただし、家賃は相応だけどね。2万ドルで足りるかどうか……


 俺がホームページで品定めをしていたら、ホイストがいかにも馬鹿にした風で「お前らに金なんか貯められるもんか」って言う。失礼な奴だよな、あいつも。俺達はガッツリ稼いでガッツリ使うんだ。そりゃあ、ゾンビを怖がってる腰抜けのところには、そもそも金が入ってこないだろう、って言ってやったら、あいつも黙りこくって、

それっきりになった。


 ホイストは弱いから、俺達を羨んでるんだ。あいつがこのホテルでセコセコ働いている間に、俺は海岸でキューバ・リブレを飲んで、可愛い女の子と一晩中踊るよ。砂浜に松明を突き刺して、大きな月を仰ぎながら。酔いが回っていい気分になったら、潮風にゆらゆら揺れるハンモックで、2匹抱き合って眠るんだ。最高じゃないか。


 そんな幸せな夢想していたのに、513号室から呼び出された。雨漏りしてるんだって。ああ! 最悪だ!

 単なる偶然だろうけど、今日は5階からよく電話が掛かってくる。お前が血液ボトルを持って行った506号室の吸血鬼カップルとか……男の方は、昨日歯の整形手術を受けたばっかりで人に噛みつけないんだって。奥歯と牙を砕いて歯に隙間を作って、大きな牙を作るそうだ。想像するだけでおっかない。

 CPの間でも80年代に、ペニスの棘を取る美容整形が流行ったけど、俺はあの当時でもおっかなくてしょうがなかった。実際、マイアミの整形外科医はヤブも多くて、後遺症で根腐れしちゃった奴もいるって聞くし。そんな手術をするくらいなら、分厚いコンドームを嵌めた方がよっぽどマシだよ。


 どっちにしろ、トランスせず女の子とヤる前提の話だからね……やっぱり俺も、トランス抑制剤を使った方がいいのかなあ。昔数回使ったことがあるけど、何だか変な感じだったよ。


$5,008.33


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ