6月21日(火) アコーダンス
俺のアカウントを使って番組を見ておいて、つまらないだのと文句か。いい根性してやがる。
こんな怪我、蚊に喰われたほども堪えない。
もう何年の付き合いだと思ってる。お前がアホなことは百も承知だ。それにお前がリバース・フランケンシュタイナーのあと、三角飛びからのフロッグ・スプラッシュを決めた時点で止めたのは、お前をセーブしたいとか、あの巨人の命を救うためとか、そんな理由じゃない。弁償金額を少しでも減らしたかったからだ。せっかくのモルナール・バブルがこれでおじゃんになった……お前ばかりを責めてるんじゃない。従業員の給料から天引きするこのホテルが間違ってる。
マルキは小賢しいなりに心得てる。俺はコザックの方がはるかに危険だと思う。1人で勝手に燃え尽きるか、弱い癖にしゃしゃり出て痛い目を見るか……奴がどんな目に遭おうと俺の知ったこっちゃないが、尻拭いをさせられるのはごめんだ。
1016号室は除湿機を全力で稼働させているが、とりあえず一日様子見だ。あまりの湿気に壁のクロスがところどころ浮き上がっている。雨季における半魚人の宿泊も、ゾンビと同じく部屋の制限を行うべきだ。
仮眠室も黴臭い。だがオーキッドに使うなと言う訳にもいかん。それに奴よりも、あそこの湿度に関しては、アルクディアに原因があると俺は見てる。お前も匂いで勘付いてると思うが、あいつはチェリーをあそこに連れ込んでヤッてる、少なくとも数度は。
ミスター・スプリッツァーは益々むっつりと不機嫌を撒き散らし、かと言って正々堂々抗議してくる度胸もない。この前1105号室へ行ったら、チェリーは恐らく殴られた後だったんだろうが、はっきりと奴に言っていた。「もう無理。私にも自由に動ける2本の足が付いてるってこと、忘れないで!」
そんなことを口にしたからミスター・スプリッツァーに反撃されたのかと思ったが、彼女が左足首を挫いたのは、酔って自分で階段から足を踏み外したからだ。間違いない、冷却剤のオーダーを寄越してきた時、あの長耳は三日近く賭場へ篭ってたからな。あと数日は定期的に氷を持って行ってやってくれ。
502号室の客が朝の4時頃バーで飲んでいたが、スコッチのトリプルに髪の毛が入っていたといちゃもんを付けてた──そう断言するのは、そいつが部屋へ戻る時、立派な千鳥足だったからだ。
コモドールも臨戦態勢だったが、とりあえず俺が間に入ったら双方牙を引っ込めた。あいつの愚痴を聞いていたから退勤が遅れ、しかもクロックに捕まってホイストの代打だ。俺が不機嫌に見えたとしたら、それは俺の責任じゃない。
お前が出勤してきたら問答無用で手伝わせる。905号室の客、XLのコンドームを使ってた奴が、Mのコンドームを使ってた奴を殺して、そのままチェックアウトした。文字通りヤリ逃げだ。ラザニアみたいになった死体がすっぱだかで転がってるし、他にもセックス・トイやら大量の使用済コンドームやら……とにかく、現時点で出勤してるのはロベルタとマルキだけだし、シルキー達も清掃の前に不潔なものを何とかしろと言ってきてる。お高く止まりやがって。
そう言えば、この遺棄について知らせてくれたのはマンハッタンなんだが、メモ帳に事情を書いて丸めたのを、仕事をしてる俺の背中にぶつけてきた。振り返った時にはもういない。あくまで姿を見せないつもりか、ここまで来るとお互い我慢比べだな。
いいだろう、自慢じゃないが、これでも追跡と持久戦は俺の得意とするところだ。
ミス・アンシャンテか。間違いなく良い女だ。あの尻も最高だし胸の形も完璧の一言に尽きる。
彼女、SPKのオーナーのミスター・ペル・メルの紐付きと聞いてる。だが彼も、サキュバスが他所で男を漁ったところで怒りはしないだろう。
淫魔はCPとヤッても、相手をトランスさせずに楽しめるんだったか。誘ってみたらどうだ。程々に相手をしてもらえ。
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