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6月20日(月) エメラーダ

 お前が絶賛してたNetflixのジェイク・ポールvsコナー・マクレガー、見逃し配信を観たけれど、全然面白くなかった。2人とも体が重そうで動きも鈍くて。ウェイトを増やしても、寧ろそれに比例して、殴り合うための筋肉じゃなくなってきてる。

 ボクシングでも、俺はヘビー級が好きじゃないんだ。昔のボクシング酒場でやっていたような、今のラテン系の奴らがよくやっているような、軽いフットワークと鋭いパンチの、あっという間に血まみれになるような試合がいい。


 マルキもそれなりに仕事ができるようになったし、新しい奴、コザックも頑張ってる。

 あいつ、根性があるね、偉いと思うよ。巨人に放り投げられ壁に頭をぶつけて痙攣を起こしても、1時間休んだらしっかり戻ってきたんだから。いや、気が強すぎるのも問題かな。俺は後ろに下がってろって言ったのに、うろちょろしてるのが悪い。

 肋を2、3本やられた気がするけれど、多分来週くらいにはちゃんと治ってるだろう。奥歯はもう固まったから大丈夫、固い干し肉だって噛めるよ。ただ、首の筋を違えたせいか、夜寝づらいのが面倒かも。

 お前が利き腕を傷めるなんて珍しい。膝の方はもう平気そうなみたいだけど、さっき歩いてるのを見た限りじゃ。


 何にせよ、結果良ければ全て良しだ。金は回収した。あいつにもみっちり思い知らせた。

 お前が止めなきゃ、この世からチェックアウトさせたのにな。そうさせてもよかったのに……でも、一応礼を言っておくべきなんだろう。お前はやっぱり、俺よりずうっと利口なんだと思うよ。


 クロックも今回ばかりは、全額弁償しなくてもいいって。当たり前だ、俺達はホテルの為に働いたんだから、そもそも本来は、統括本部長のあいつがしなきゃいけないんだ、こんな仕事。


 803号室の妖精の女の子の服が一枚、中庭のダリアの花壇に落ちていた。雨に降られたせいか、月の光を紡いで作ったみたいな綺麗な衣装も踏んだ花弁みたいに酷い有様だった。シャーリー(あの一番小さい子)に渡したら、これは洗った後、お姉さん達に解いてリメイクしてもらうと言ってた。もう流行遅れなんだってさ。


 気持ちのいい季節はあっという間に終わってしまった。しばらくは雨が続く。この前寝ている間にトランスしたら、朝起きた時にやっぱり毛皮が湿ってるように思えたのが気になって、ずっとベッドで舐めていた。うっかり仕事へ遅れるところだった。

 部屋がジメジメしてたって言えば、お前がこの前酔い潰れて人のベッドで勝手に寝たときも、シーツがクタってなってた。人狼はトランスしたら余計に体温が上がって暑苦しいんだから、次からバスルームで寝ろよ。マットレスもお前が乗るたびに、くぼんで来てる気がする。このテンピュア、積載重量は何ポンドまでなんだろう?


 311号室はずっと暖房が止まらなくなってるせいで、マットレスにカビが生えた。ひっくり返しておいた後、シルキー達に対応を任せたけど、彼女達もお手上げだって顔をしてる。

 1016号室に一泊する半魚人は季節のせいか、それとも元々の体臭か知らないけれど……いや、絶対にあいつ自身が悪い。傷んでじゅくじゅくになったレタスと、腋臭が混ざったような臭いをさせてる。悪いけど俺は行かない。尻尾が飛び出しちゃったら困る、相手の為にもね。

 605号室、避妊具のオーダー、XLとMサイズの2種類。薬局で買ってきて渡してある。3時間の予定だったけど宿泊に変更だ。


 812号室のミスター・パルファムのところに、従姉のミス・アンシャンテが来てる。ミスター・パルファムの抑鬱状態があんまりひどいから、心配して様子を見にきたらしい。彼女は最高に魅力的なサキュバスだ。オーダーされた洗面器とタオルを持って行ったとき、すっごく色っぽい流し目で、グッときちゃった。同じ濡れるっていうにしても、ああいう眼差しだったら悪くない。


$2,341.25

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