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ハーリーバーリー・ハイツの人でなしども──狼男と豹男の業務日誌から  作者: 車海老 鯛焼
5月 ヴァンパイア・ウォンツ・トゥ・パーティー・オール・ザ・タイム
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5月7日(土) エメラーダ

 お前が女と長続きしないのは古風だからでも一徹だからでもない。単純に、性格が悪いからだよ。


 ベトナムはジメジメしてたけど、面白かったなあ。何せ生まれて初めて行った海外なんだから(小学校の頃にナイアガラの滝を見に行った時、カナダの方には行かなかったよな?)

 SOGのCP部隊は、ストリッパーを噛み殺してバーを片っ端から出禁になったんだ。仕方なくビア・バーバーの缶に氷を入れてコチコチ言わせながら、真夜中のサイゴン動物園に忍び込んでうろうろしてた。濃い色をした藻と葉物みたいな草で薄汚れた四角い池のところに、独裁者のゴ・ディン・ジェムが飼ってたオウムがいたんだ。夜中でも目をぱっちり開けて、辺りを偉そうに睥睨してるんだけど、そいつがやたらデブチンだったことがすごく記憶に残ってる。焼いて食ったらうまいかな、なんて言い合って。実際、その気になれば簡単に捕まえられたと思う。あんな身体じゃまともに飛べなかっただろうから。


 索敵もベトコンの待ち伏せ任務も性に合ってたし(だって"スカウト"なんて、デイビー・クロケットみたいだ!)あっちに残っても良かったんだけど、お前がどうしても帰るって言い張って聞かないから、帰国した。結果的に、それで良かったんだろう。なんて言ったって、ベトナムはジメジメし過ぎてるんだから。


 モルナール兄弟が御成だ。1303と1304号室にそれぞれチェックインしてるけど、実質13階は貸切だ。荷物を運んだだけで50ドル! 事務所の皆は、先を争ってサービスの機会を虎視眈々と狙ってる。具合が悪いって愚痴ばかり溢しているホイストですら、事務所に張り付いてる始末だ。


 弟のミスター・スティンガーの方はSPKで見かけたことがあるけど、兄のミスター・ソノラは初めて会った。去勢されてるって噂は本当かな? 確かに中性的な雰囲気だ。弟と全然似てない。

 早速憂さ晴らしのパーティーをするってことで、グリーンドア・エスコート・サービスからコンパニオンが10人来る。これが20時。DJが来るのは18時半で、仕出し屋はその30分後。アルコールや熟成血液のボトルについては、事前に渡されたリストの分をバーテンダーのコモドールが用意してくれてるから、順次運び込む。

 ゲストについては、合言葉を知ってる奴は全員上げていい。「喪服を着たヴィクセンはいますか?」まだ日も暮れていないけれど、既に5人くらいは来てる。

 ただ、ゾンビだけは合言葉を言っても入れるなってお達しだ。もしかしたらパーティーの噂を聞きつけて、わざと嫌がらせに来るかもしれないってミスター・オーレ(彼は1111号室にチェックイン済)が心配していた。実際ありえる話だし……やっぱりモルナール一族ともなればお高くとまって、平気でゾンビを爪弾きにするんだな。自分の店には入店を許可してるのに、はっきり言って欺瞞だって分かってるのか、ちょっと面白い。


 乱痴気のおかげで、さっきミセス・ラ・プレイスが、このやかましいのは一体何事だって憤慨していた(ざわめきは微かと言え、7階の空気を間違いなく震わせてる)宥める為に10分肩を揉んであげて、それから滑りの悪いタンスの引き出しに蝋を塗ってやった。30分くらいいて50ドル。

 彼女が年金を切り崩して俺にくれる50ドルと、モルナール兄弟がばら撒く50ドル、色々考える。


 彼女だけでなく、他の客もうるさがるだろうけど、我慢してもらう。中には楽しんでる奴もいるしね……ミス・ウィング・ハートも、チェリーとミスター・スプリッツァーも、会場へ顔を出すと聞いてる。一種の謁見だ。803号室の妖精達も、ソワレさえなければ行くのにって残念がってた。


 ドンチャン騒ぎは好きだ。あの賑やかな空気が。俺もちょっと、時間を見つけて混ざっても許されるよな。シフト外の時間なら……

 

$2,437.15

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