表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/104

4月30日(土) アコーダンス

 案の定、テキストは未読のままになっているので、ガチで電波が届いていないんだろう。こういう時、自分がすっかり現代のテクノロジーへ依存しているとつくづく感じる。その点お前は昔から、CP族の泰然、というか無責任さがあるから、今頃何も考えてないに違いない。

 お前がその行き当たりばったりな性格なりに貯金をして、日程調整にも努めていたのは知っているから、休暇を楽しめていればいいと思う。土産はいらない。メイン州なんかいつでも行ける。


 これを読む頃にはテキストへ目を通していると思うが、メガ・ミリオンズに当選した。総額1,200ドルだ。4億ドルには程遠いが、千里の道も一歩からと言う。お前も同意していた通り、これはピサンへ入れておく。

 しかし、本当に当たるとはな。アルクディアに教えたら「俺が渡した奴だから1割くらい手数料くれてもいいだろう」などと馬鹿なことを抜かしていた。頭を殴ってある。

 しかし、微々たる金額とは言え、まさか本当に当選するとは思わなかったし、実際換金すると嬉しいものだな。思い返してみれば、100年近く生きてきて、ロッテリーでこれだけ当たったのは今まで何回もない。


 良いことがあったから、613号室の処理をするのも多少は、寛大な気分で当たれる。

 さっきやっと、業者が屍を回収していった。結局肉と灰が半分の状態でくたばった吸血鬼に、伴侶の方は取り縋って、引き離すのに苦労した。葬儀屋が来るまで、ずっとSRで泣き咽びながら、屍にくっついてるんだからな。

 部屋は硫黄臭くて堪らんから、窓の換気を終えたらオゾンの予定だ。お前が戻ってきても、まだ匂いが取れていないかもしれない。


 チェリーは念の為入院するよう勧められたらしいが、すぐに戻ってきた。レントゲンやCTなど一通り検査は受けて、特に異常もなかったらしい。さっきキャンティを届けてある。雨降って地固まるということか、散々ミスター・スプリッツァーと愉しんだらしい。彼女は全くクレイジーだ。さすが魔女の末裔だな。 


 お前は考えなしにその場のノリで行動して、しかもその後の責任の所在なんか一切考えないからいけない。そんなだから楽しく酔ってるのが一瞬にして修羅場になるんだ。

 803号室の年長の妖精達が、子供達を遊びに連れていってくれてありがとうございますと、ゴディバのチョコレートを3粒運んできた。ロッカーに入れてある。ちゃんと全員を、無事に連れ帰れよ。

 ドロレスも、この旅で文字通り失恋の傷が癒えたら良いんだが。当然の帰結といえ、女の子を悲しませるのは良い気がしないからな。


 816号室へ新規で宿泊しているヤク中だが、どうやらプッシャーもやってる。パープル・デルマーは取り扱っていないらしい、恐らくヘロ辺りだ。また荒れるぞ。

 ヤクといえば、ミス・ウィング・ハートがカードキーを使えなくなったとのことで、予備を渡している。大方、粉を吸うのに使って、キーが馬鹿になったんだろう。次回からは宿泊料金に弁償代金を上乗せすると伝えてある。  


 ホイストは新人のマルキが気に入らないらしく、些細なことで嫌味をぶつけている。これまであいつが潰した新人は1人や2人じゃない。俺が睨みを効かせたら口を噤む腰抜けと言え。

 それにしても、マルキもマルキだ。これはまあ、もう少しオーキッドがマシな指導しないからというのもあるが。若い女の子相手だって言うので、腰が引けてるんだろう。客へ接するのと同じでいいって言ってもまだ赤面してる。

 碌でもないホテルには客も従業員も、まともな奴は集まらない。


 お前、またカエルの卵がどうとか抜かしたな。想像しちまっただろ(ちなみにあの魔法使いと眷属の子供達は、少なくとも半分は無事だと聞いている)

 俺はこれまで何度も警告したぞ。帰ってきたら、洗面器一杯のタピオカを頭からぶっかけてやるから覚悟しておけ。


$4,008.29

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ