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4月21日(木) エメラーダ

 ここのところ、やっと暖かくなって身体も動かしやすいし、息も出来る心地だ。春はいい。


 昨日酒場で食った鳥手羽の煮込み料理、すごくおいしかった。あれの為に、もう一回あそこへ行ってもいい。お前はオレンジか酸っぱ過ぎるってあんまり食ってなかったね。


 マルキが706号室でサイレント・サード爺さんの洗礼を受けていた。扱いには気をつけろと事前に皆が忠告してたのに、

 やっぱり新人には難しかったみたいだ。今日の爺さんの不機嫌の種は、恐らく獲物の血が好みの味じゃなかったとかだろうか。ベッドの中の死体を回収している間、あることないこと1時間近く、マシンガンみたくずっと捲し立てられて、目に涙を浮かべてる。適当に聞き流しておけばいいのにと言ったけれど、真面目そうな子だ。それともまだ、仕事を始めて間もないし、気を張ってるんだろうか。

 ロベルタなんか女の子同士気を遣って、新人には優しくするよう、俺に爺さんへ注意してきたらって言うけれど。自分で何とか出来ないなら今後も望み薄だ。


 爺さんは季節の変わり目でヒステリーを起こしてるけど、他の客は比較的穏やかに過ごしてる。つまり、トラブルも少ない。


 307号室で南京虫が出たから、客を311号室に移動させた。シルキー達に清掃と殺虫をお願いしたけれど、どうかな。取り敢えず今日から3日は様子見でアサインは無しだって。

 ちなみにこのルームチェンジした客だけど、明らかにシュガー・ダディとベイビーって感じ。男のヴァンピール(結婚指輪をしていた)の方がすごい怒ってた。そりゃファックしてる最中に虫へ噛まれたら最悪だけど、こんなホテルに愛人を連れ込むのがそもそも間違いだ。若いギルレス・マーメイドの男の子(指輪はしてない)、彼氏が喚いてる間、ずっと恥ずかしそうに俯いてた。こいつらは23時にチェックアウト済み。


 今ノートを調べたら、この部屋って2月に死体遺棄があったところだ。血のついたマットレスを干した後、ひっくり返して使ってたけど、まだ乾いてなかったのかもしれない。


 908号室で人間がODしてたから、昼前にジェイコブス通りへ置いてきた。恐らくもう、死んでるんじゃないかな。パープル・デルマーと、他にもヘロインや色々なものを混ぜて使ってたみたいだから。

 今月に入って、ホテルでパープル・デルマーを使ってる奴を見るのは、俺の把握している限りで4人目だ。ここにはミス・ウィング・ハートは含まない。

 ミス・ウィング・ハートは鋼鉄の肝臓を持ってるのか、それとも透明人間だから毒も通り抜けちゃうのか、一向にくたばる気配がなくて感心する。一昨日、廊下を裸で徘徊していた(709号室のダーク・エルフと出会い頭に衝突したらしくて、苦情が来て部屋へ連れ戻した)くらいで、大人しいものだよ。他のヤク漬けのクズ達にも見習ってほしい。


 ミスター・スプリッツァーが宿代のツケを返して、更に一ヶ月分の前払いだ。相当ついてたらしい。チェリーに新しい服を買いに行くんだと、さっき2人で出かけて行った。

 アルクディアは彼女にクラミジアをうつされたと信じきっていて、これ見よがしに小馬鹿にした顔で鼻を鳴らしてた。あいつ、よくもまあ、彼女さんと仲直り出来たものだ。天使みたいな人魚だ。


 それで、奴からメガ・ミリオンズのくじ札を5枚もらった。この前、3日続けてアリバイ電話に出て彼女さんと話をしたお礼だって。偽造品じゃないかな。見かけは本物っぽく見えるけど。

 ググって確認したら、現時点で最高当選額が4億1000万ドルだって。旅行どころじゃない、一生南の島で暮らせる。

 もしもジャックポットしたらどうする? 俺はプライベート・ビーチが付いた素敵な別荘を買って、毎日海岸で日向ぼっこするよ。食事は3食シーフード・コンボが出てくる。毎回違うメニューでね。

 一応ノートに挟んでおくから、いらなかったら捨ててくれ。

 

$2,781.26

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