表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/39

3月25日(金) アコーダンス

 朝一で呼び出して悪かった。あとクロックを言いくるめてくれたのも。


 お前の調書を取った奴と違って、俺が当たったデカは外れだった。やたらと高圧的で、最初から夜歩く者たち全般に偏見を持ってるど田舎のレッドネックタイプ。「見て見ぬふりしてたってことはお前も共犯同然だ、彼らの誘拐に手を貸して、赤ん坊の腕の一本でも分けてもらうつもりだったんだろう」だと?

 あのエクソシストが飛び込んで来さえしなけりゃ、もう少しお仕置きして、世の道理と、種族における人間の序列ってものを徹底的に教え込んでやれたんだが。

 罰金に関しては給料が出たら返す。取り敢えずはピサンから立て替えといてくれ。


 シフトを一回休んだせいで、60時間勤務になった。やっと19時間が経過した、げんなりする。


 これもホイストが入院したからだ。このホテルに傷病休暇なんて概念はない。また新人が入るだろう。クロックが作っていたアルバイトの募集要項を見たが、俺達の初任給よりも4ドル高い。つまり計算したら、俺達が社員になってからの月給とそんなに変わらない。いくら急激な物価高だと言っても、そんな不平等あってたまるか。人間の職場だったら暴動の一つや二つ起こっていても不思議じゃない。クソッタレめ。


 オーキッドがやたらと神経質になってるのは、お前のせいじゃないな? 来週に来る新人のせいか。よくもまあ、あんなノミの心臓で生きていて、楽しいのかと思うよ。別にハーフ・ドワーフは噛み付いてきたりなんざしないのに。


 チェリーのネオスポリンは、賭場の顔役に金槌で手を殴られたミスター・スプリッツァーの為に購入したものかも知れない。借金はどんどん膨らんでいるそうだ。彼女は怯えている。俺も嫌な予感しかしない。あの長耳野郎は全くクソ男だから、彼女を道で立たせて体を売らせる位は平気でやりかねないぞ。いい加減、彼女も見切りをつけるべきだが、あの手のタイプは深情けが過ぎるから、言い聞かせても無駄そうだ。残念な話だが。


 エルフは悠久の時を生きるから、人間なんざ玩具としか思ってない。連中や吸血鬼、長命種なんてみんなそうだ。俺達とは常識が違う。性格が歪むんだよ。そんなにご立派なら、自分達だけで洞窟なり森の中なりに引きこもって暮らしてりゃいい。


 お前、803号室の妖精達に何を言った。「こんどのショー、がんばるから、たのしみにしててね」って一番小さい女の子が、はにかみながら、マーガレットの花と楓の葉で作った手作りの招待状を渡してきたぞ(お前の分も預かってある。と言うか、恐らく本命はお前だ)

 彼女はかつてお前が、モグリで滞在していた自分達と同じような妖精達をネズミ捕りで捕まえちゃ、洗面器に漬けて殺してたなんて、知りもしないんだろう。

 俺を巻き込むなとあれほど言ったぞ……チケットの日付はいつだ。仕方ない。予定を空けとけ。


 309号室で死体処理の依頼があったが、今日はSRも満員で難儀していたところ、折よく719号室のミス・プルシア・ポムから、飼ってる食人植物へ食わせる餌を分けてくれないかと言われたので引き渡した。本当は先に入っていた、ホテルの裏口近くで行き倒れていたゾンビの方を処理したかったんだが、そんなものは食べないと断られてる。草ですら"ウォーキング・デッド"はそっぽを向くんだと。そんな連中を、俺達がどうこうして何が悪いって言うんだ。

 1219号室はハリウッドを解除した後オゾンを焚くこと。消臭機は今5台全て出払ってる。恐らく1007号室がもう大丈夫なはずだ。頃合いを見て持っていけ。


 サンドイッチはさっき食った。今後もギブソンは原価高騰に挫けることなく、店を続けて欲しいものだ。


 アルクディアはただの変態だ。真に受けるな。

 

$2,772.51

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ