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12月18日(日) エメラーダ

 お前、物件管理人に騙されたんだろう。素直に言えよ。


 ああ、最悪だ! 怪しいと思うべきだった、そんな安くで仮押さえ出来るなんてさ!! なんてクソ悪徳業者だ、悲しい!!

 カモられたこともムカつくけど、来年からあったかいところに行けるって思って頑張ってたから本気でがっかりだ!! 期待を裏切られることは本当に辛い!! それなのにお前はまだ、もう少し待てとかフェイクニュースだとか、忍耐が美徳だとかって偉そうに! グズグズして現実から目を逸らしてるだけじゃないか!!

 お前と一緒にいると、面白いことと同じくらい、腹が立つことも一杯ある!! 昔、泥酔したお前がステーキを食いたいってネブラスカで牛泥棒して、俺だけ縛り首にされそうになった時みたいなのは絶対嫌だぞ!! 


 もう仕事なんか、ちっともやる気が出ない。それなのに、やらなきゃならないことが山積みだ。南の島へ行くどころか、明日の飯が食えないんだもの。


 ミセス・ラ・プレイスになんか、魔法瓶に入れたお湯で湿布をしてやったし、脚まで揉んでやった。彼女はやっぱり元気がない。ミセス・コロンブスにはテキストを送信して、手紙まで送ったらしいのに、スマートフォンは解約されているし、手紙の返事も一向に来ないそうだ。まだまだ長生きするんだし、他にもお友達を作ったらどうですかって言ったんだけど、「こんなバケモンばかりの場所で友達なんか出来るもんですか」と頑なだ。親族からお金を送金してもらったそうで、チップは40ドルくれた。


 ブランディングの準備で、ミスター・モナコのところに医者が来た。今後も毎晩、儀式の当日まで訪問してくる。名前はドクター・ラクウェル。ソノラ・モルナールの眷属で、あの透析治療を考案した研究者らしい。

 ミスター・モナコは治療を嫌がっているけど、チェリーがついて励ましている。そうじゃない時は、トーピードが無理やり押さえつけているか。彼女も珍しく難儀しているらしい。ゾンビの肉体は壊れやすいから、あまり力任せに扱えない。特に預かり物となればな。

 お前にもテキストが飛んできたろけど、定期的に210号室を覗いてくれとトーピードからの依頼だ。


 あと、スティンガー・モルナールが部屋をチェックしに来た。トーピードの助手として。彼は兄のソノラ・モルナール同様儀式の立会人も務める。1315号室は客の控え室、兄妹は1316号室、1317号室で儀式の予定だ。

 ミスター・スティンガーは、210号室前でトーピードと話し込んでる。知らなかった! トーピードが一番弟子だって誉めてたのは、彼のことだったんだ! 彼がトーピードと知己を得ているのは知っていたけど……確かにガタイは良いね。でもあんなスカした感じの優男が一番弟子だなんて、ちょっと悔しいな。タイマン張ったら勝てそうな気がするよ。今度挑んでみようかな、全部カタがついた後にね。いっそ今からでもいいかな。


 さっきレッドスナッパーで飯を食ってたら、シャーリーに「そんなしらけたかおして、まいにちちゃんと顔へスクラブしてるのに、もったいないでしょ」って眉間の皺をつつかれたし、マティにも呆れられるし……こんな恥ずかしいこと、彼女達にとても言えやしない。マティにあげるって約束したコーヒーとハチミツと、レース刺繍のワンピース、シャーリーにはチョコレートを送ってくれって頼まれてるのに、どうしよう……



 もういいよ、そんなに言うならミスター・ギャツビーに頼んだら。お前、これまで散々、あんな探偵とんだ間抜けだって馬鹿にしてたくせに。

 着手金1000ドル? 成功後報酬が2000ドル? あの管理人にガメられたのと同じ額じゃないか。なら取り返しても……その分、和解金ももらえばいいのか。

 腹は立つけど……ネブラスカだって結局、お前が千鳥足のままトランスして戻ってきて、あの牧童達は泡を食って逃げていったし、アンガス・ビーフも食えたんだから。


$649.54

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