表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/122

12月17日(土) アコーダンス

 スペイン風邸宅の物件管理人に電話したが回線が混み合ってるようだ。根気強く掛け続ける。

 あと、SNSはフェイクニュースも多いから、あまり真に受ないほうがいい。とにかく、今は騒ぐな。俺が何とかする。


 全く、今日は萎えることばかりだ。10日前から1320号室へ泊まっているギルレス・マーマン、ずっと掃除を断ってたからまさかと思ったが、魔法を解いてやがった。持ち込んだ折り畳みポータブルジャグジーをダブルベッドの上に置き、しかもバスルームの水道管を引っこ抜いて湯を溢れさせてる、頭がおかしいのか。

 おかげで元々腐ってた床が抜けて、ベッドが半分階下に突き出している。チェックアウトしようとしていた1220号室のイエティはさぞ恐ろしかったことだろう。今にも頭上から自分を押し潰さんばかりのベッドと、滝のような熱湯を頭から浴びたときの心情は察して余りある。恐慌を来してフロントへ飛び込んできたから、さすがにクロックが宿泊料金を返金した。

 1320号室の客は弁護士の元へ突き出したものの、水道管の修理が来ない。俺とオーキッドもダクトテープやら色々試したがお手上げだ。1220号室は今も土砂降りみたいな有様。30分ほど前には1120号室にまで天井の雨漏りが発見された。この3室は当然ながら、事態が収束するまでアサイン禁止だ。


 それと、1201号室の客にはロベルタとマルキを宛てるな。やれ空調の使い方が分からない、ヘアケア用品を持ってこいと、つまり女性スタッフが来ないかワンチャン狙ってる。


 あんな軽いダンベル、トレーニングになるか。アルクディアは婚約したことを機に、オーロラから色々なものを処分しろと言われているらしい。すっかりケツに敷かれてるらしいな、情けない奴め。


 チェリーにミスター・モナコが気に入ったのかと聞いてみたら「私より可哀想な人に会ったのは初めてだから」だと。可哀想と言えばミスター・スプリッツァーはバーで毎日飲んだくれて、全く惨めな有様だ。今日はスツールからずり落ちて床で大の字になり泣いていたので、担いで部屋へ放り込んである。俺がチェリーとやっていても、バスルームでひたすらメソメソ、もうどうしようもない。賭場でも門前払いを喰らわせられることが増えたそうだしな。金をせびる場所だけはあるから、追い出されることはないが、だからこそ一層厄介だ。


 吸血鬼の眷属になりたい奴なんていない。そんなことを考える人狼は、自分が弱いと自覚してる甘ったれか、連中にぶら下がって美味い汁を吸いたいと思っている太鼓持ちだけさ。今でもそういう寄生虫が根絶されていないのは、全く嘆かわしい話だ。


 これはあくまで人狼の考え方で、ゾンビは知らん。今回のブランディングは、話題になってるようだ。例のウォーキング・デッド協会の連中が押しかけてくる可能性はあるな。さっきチェリーが報告してくれたが、219号室の客はスパイじゃないかと。これに関しては、単に彼女がナーバスになっていただけだが……別にシュプレヒコールを唱えていた訳じゃない。まだウイルスに感染したてで、薬の副反応のせいか具合の悪いゾンビだ。ホイストが行くのを嫌がってたから、我儘言うなとクロックが担当につけている。

 

 シャーリーは括れが好きか。ドロレスは相変わらず俺を追いかけ回してる。新しいレビュー用の衣装を見せてくれたが、どうやら楽屋から勝手に持ち出したようで、お姉さんに叱られていた。

 マンハッタンが死体を2体作ったから1体持って帰ってある。来週辺りは初雪が降るそうだから、益々回収に手間が掛かりそうだ。アルクディアもオーロラの指導で人肉を禁止されたそうだしな(彼女は人魚だが、人間はコレステロールが多いから食わんらしい)


 事務所のストーブがいよいよ点火装置が壊れた。マッチを置いてあるから使え。これもクロックが蹴飛ばすからだ。最近はロベルタまで蹴って消火している。


$1,599.79

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ