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11月18日(金) アコーダンス

 何が徘徊だ、ぶん殴るぞ。

 俺はお前の方が遥かにボケる可能性が高いと思うがな。今まで生きてきて、一体何度気絶した。お前は衝動的にトラブルへ飛び込みがちだから、その分怪我も多いだろう。お前がトランスしたら、今度こそ自然公園へ放り出すぞ。安心しろ、週に一回はお前の好きなレッドスナッパーの片面焼きフライドエッグを食わせてやる。


 怪我と言えば、歯医者へ行けと何度行ったら分かる。そんな飯を食うたび大袈裟に顔を顰めて周囲の同情を買おうとしても無駄だ。今日出勤してきたら、俺の目の前で予約しろ。そうじゃないと、それこそ首輪をつけて引っ張ってくからな。


 行方不明の妖精達については、関わると厄介だぞ。それでもやるんだな?

 怪しい宿泊客をリストアップしたが、それでも37部屋か。いくらここが場末のホテルとは言え、これを虱潰しにするのは時間も手間も余りに掛かり過ぎる。

 マンハッタンに頼んだら、他の階の幽霊にも協力を要請してくれるとのことだ。とりあえず、6階と11階、それに8階は連中に任せておける。それ以外は、留守にしている部屋から調べていこう。

 もし最悪の結果になったとして、どうせ無駄だったと何もしなかったことをしたり顔で納得できるほど俺は落ちぶれちゃいない。それに、今ならまだ、1匹くらいは助かるかもしれん。

 

 余計な仕事さえなけりゃ、捜索も少しは捗るんだが。


 フリッパーはお姉さんが迎えにきた。ヒューストンに住んでいる伯父が、つまり大金を持っている伯父の具合が良くないとのことだ。

 ミスター・イムホテップは這々の体でチェックアウト。サウナマシンは破棄してくれとのことで、処理代金を宿泊費に上乗せしている。


 1216号室はベビーベッドとエキストラベッドを希望だったが、エキストラのみで、ハリウッドにして壁寄せとサークル対応。1012号室もハリウッド。306号室は例のシリアル・キラーの影響か、シャワーから茶色い水が出てる。部屋が空いてなかったので、やむを得ず213号室へルームチェンジしてある。

 挙げ句の果て、こんな時に限って311号室が冷房になっている。CPの親子連れだったが、子供が寝冷えして体調を崩したとのことで、診療所を紹介した。


 トーピードは(妖精の捜索について頼んでみたが、忙しいと断られた。それに「あいつらは都会向きに出来てない、放っておいてもすぐ排気ガスで肺を病んだだのネズミに襲われただの、夢見て飛び出してくるのが悪い、森に戻りゃいいんだ。大体、妖精の標本が残酷だなんて言われるようになったのなんざ、ここ150年くらいの話だろう」だと)ミスター・モナコが良いならチェリーと会わせるのは止めないと言ってる。ただ、話している雰囲気だと、トーピードがチェリーを食っちまうんじゃないかと少し懸念があるが。


 プーキーはここのところ、オーキッドにも食傷気味らしい。イく時に「お母さん」って叫ぶとか。そりゃドン引きだな。孝行息子の意味も変わってくる。

 俺も誘われたが、彼女と寝るとヴェルジーネが妬くからな。俺は809号室へ、薬局で買ったラベンダー・オイルを届けただけなのに、ヴェルジーネは鼻をひくつかせて顰めっ面だ。おまけに尻へ思いきり噛みつかれた。


 ロベルタがここのところハマってると言ってたサスティナブル・ローカーボのパスタ・スナックを二袋もらったから、一袋お前のロッカーに放り込んである。ナポリタン味とあるが、もっと塩気のある方がいいように俺は思う。ダイエット用だからこんなものなのだろう。

 礼にアズールのレシピをいくつか送ったら、真顔で「これ、外であんまり教えて回らない方がいいんじゃない」と言われた。あいつはそこまで狭量じゃないさ。



 たった今、ミスター・ベラーノのところのスコッティがフロントに走り込んできて、何事か訴えてくる。訛りが強すぎて何言ってるか分からん。お前のところに連れていくから通訳してくれ。


$1,444.56


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