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お菓子の王女は魔王討伐の旅に出る  作者: 冬桜 美狐
第三章 相対する正義と思惑

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57.相手の弱点

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感想,レビュー等大歓迎です。

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「じゃあ,その作戦で行くよ!」

 その後も軽く話し合ってから,ベリー達は視線を前方に戻す。

 数分経っているのだが,リリーナはずっと防ぎ続けていた。

「じゃ,行ってきまーす」

 そう言った瞬間,リオンの姿が消える。

 それを見届けて,キャサリンが杖を構えた。

「よっと」

 軽い掛け声と共に,六つの雷が落ちる。

「あー」

 だが,全ての雷が槍によって防がれた。

「槍って防具じゃないんですよ? 何で高速で回転させて円形の盾にしてるんでしょうね」

 防御については専門家なリリーナが呆れたように呟く。

 全く同じ動きをする六体の相手を見据えて,キャサリンが小さく笑った。

「芸達者でも,意識は共有っぽいね」

「はぇ?」

 何故か作戦を聞いていた筈のベリーが疑問符を浮かべている。

 それには答えず,次にミーシアが動いた。

「【暗転の祝辞(フォンセラール)】」

 静かに告げて,杖を相手に方に振る。

 杖の上についた魔石から,黒一色の魔力が打ち出された。

 シャディル達の方を直撃するが,ダメージは無いように見える。

 だが,ミーシアが得意とする魔法は“闇魔法”だ。

「……!」

 相手六人から,混乱を感じる。

 先程の魔法を受けた相手は,視界を闇で奪われるのだ。

 闇の中でキャサリンの雷が無数に落ち,シャディル達はそちらに気を取られる。

 だから,背後から静かに迫る気配に気付かない。


「よいせっ」

 リオンの軽い声が響く。

 シャディル其の一の頭上で,銀の刃が閃いた。

 完全に雷に気を取られていたシ(・)ャ(・)デ(・)ィ(・)ル(・)は(・),対応が遅れる。

 リオンの鎌を受けたシャディル其の一が,霧のように消滅した。

「……思った通りだね」

 一連の流れを見ていたキャサリンが,笑みを浮かべる。


「えっ……もしかしてなんだけど」

 不意に,ベリーが小さく呟いた。

「……あっちは六人がいるけど,全員同じ人だから,考えることとかも一緒なの?」

「そゆこと」

 作戦を立てている時から,キャサリン達が考えていたことである。

 相手が使用しているのは,“分身を作る魔法”だ。

 だが,それについてベリー一行は詳細な説明をされていない。

 つまり,あまり喋り過ぎると自分にとって不利ということだ。

「だから,何か言いたく無い弱点があるんじゃないかなって」

「きゃさりんすごい! かしこーい!」

 ゆめがパチパチと手を叩く。

 それに対して満更でも無さそう,というか凄く嬉しそうに笑ってからキャサリンが続けた。

「で,考えられる弱点ってあんまり無くて。本体以外は凄く弱いとか? って思ったんだけどー……」

「最初に彼は『本体と同じ強さを持っている』と言っていたんですよね」

 前方を向いたまま,リリーナが言葉を引き継ぐ。

 ちなみにリリーナは,五人になった相手と戦うリオンに,遠隔で防御魔法を付与するという器用なことをしていた。

「そ。だから,何だろって考えたの。そして思いついたのが“思考回路は分裂して無くて,全員の動きは自分の脳一つで考えてる”んじゃないかなって」

「えー……!? それ,めっちゃ弱点じゃん!?」

「ですよね」

 要するに,六人__今は五人__のシャディルの動きは,全て本体が考えているということ。

 なので,ずっと全員動きが似ていたのだ。

 そして恐らく,分身は本体と感覚を共有している。

「あ,だから暗いのをえいってやったの?」

 ベリーがポンと手を打った。

 先程ミーシアが放った闇魔法のことを言っているのだろう。

 本体の視界を奪えば,分身の視界も自動的に奪われる。

 それを見越しての攻撃だったのだ。

「何となく動きに違和感があったので,取り敢えず投げておこうかと!」

 ミーシアが小さく笑って杖を構え直す。

「取り敢えず,で成功するのは充分化け物なんですけどね……」

「別に此処そういう系の集まりだし,問題ないでしょ」

 リリーナが呆れたように呟くが,キャサリンが何とも言えない表情で答えた。

 その代表格であるベリーは,呑気にリオンを応援している。

「ん? 何かやった方が良い?」

 二人から視線を感じて,驚いたように振り返った。

「あー……じゃあ,相手の倒し方も上手いこと決めれたし,本腰入れよっか」

「倒し方?」

 ずっと大人しくしていたゆめが首を傾げる。

「えっとね。さっき話した通り,相手は全員本体が動かしているわけじゃん? だから,手っ取り早く全員を倒す方法があるの。分かる?」

 キャサリンが問うと,ベリーが得意気に口を開いた。

「流石に分かるよ! 本体を倒すんでしょ?」

「正解。でも,一寸問題があって」

 軽く拍手してから,キャサリンが声を潜める。

 それから,五人の相手の方を指差した。

「……どれが本体か,分からなくない?」

「確かに!?」

 相手は絶えず移動している上,見た目に全く差が無い。

 直接戦っているリオンなら分かるかもしれないが,遠くから見守っているベリー達には区別がつかなかった。

「多分そこまで計算に入れていたんでしょうね……」

「戦闘慣れしてる感じがあります」

 リリーナが眉を顰(ひそ)め,ミーシアが冷静に分析する。

「……まぁ,この辺で一番偉い家なんでしょ? ちゃんと戦える人も居ないと駄目だろうしね」

 珍しくベリーがまともなことを言っていた。

 本来王女なので,その思考回路は当然なのだが。

「確かに……さいふぁさんとか,賢そうだけどあんまり強くなさそう」

 話を聞いていたゆめが,サイファ達が居る方に視線を向ける。

 いつの間にか長椅子を用意して,ソルトーダと並んで座っていた。

 確(しっか)り飲み物と茶菓子も用意されている。

「……めちゃ楽しそうに観戦してる」

「良いな〜」

 観戦している二人__の手元にある茶菓子を見て,ゆめが頬を膨らませた。

「あー……。勝ったら,貰えるかもよ?」

「「ほんと!?」」

 キャサリンが何となくそう言ってみると,ベリーとゆめが目を輝かせる。

「多分! だから,皆で頑張ろ__」

 突然轟音が響き,キャサリンの声が遮られた。

 轟音の発生源は,リオンとシャディル達が戦っている方向である。



最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:戦って……は無いですね。

   取り敢えずキャサリンが凄い頑張っています。

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