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お菓子の王女は魔王討伐の旅に出る  作者: 冬桜 美狐
第三章 相対する正義と思惑

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49.魔族との対峙

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感想,レビュー等大歓迎です。

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 闇に覆われた不毛の大地を,進み続けることしばらく。

 やがて,黒塗りの建物が並ぶ地域に近付いてきた。

「……ちょっとセイレーストに似てる」

 目を細めて街の方を見ていたリオンが,ぽつりと呟く。

 遠目でもわかる建物には,黒い瓦が使われていた。

 小さめの家が並ぶ中で,一際大きな建物がある。

「なんかあそこ,偉い人住んでそうだね」

 ベリーが指差すと,キャサリンが無言で杖を構えた。

「……ん? キャサリン?」

 一行が注視する中で,無言のまま杖を振る。

「あ」

 大きな建物に,一筋の雷が落ちた。

 だが,それは建物に当たる前に消滅する。

「え……?」

 ベリーが困惑を浮かべると,キャサリンが少し悔しそうな表情になった。

「私の魔法が防がれたってことは,それくらい強い防御魔法を使う人がいるってこと。あそこ,あの街で一番偉い魔族が居ると思う」

「あー,なるほど」

 考え無しの行動ではないと分かって,ベリー達が安堵を浮かべる。

「じゃあ,あそこに行くの?」

 不服そうな表情になったキャサリンを慰めつつ,ゆめが尋ねた。

「……行くべき,でしょうね。キャサリンの魔法を跳ね除ける強さを持つなら,魔族についての情報も沢山持っている筈です」

 リリーナが何とも言えない表情で頷く。

 キャサリンが雷を落としたことで,恐らく魔族側に気付かれた。

 戦闘は避けられないだろう。

 一行は顔を見合わせて,静かに頷き合った。

 いつの間にか,魔族の街はもう目の前にある。


「人,少ないねー」

「人じゃなくて魔族ね」

 街に入って少しした所で,ベリーが首を傾げた。

 それを訂正しつつ,キャサリンも疑問符を浮かべる。

「……他所(よそ)から攻撃を受けたと判断して,避難しているのかもしれませんね」

 生き物の影は無いが,生活感は微妙に残っていた。

「まぁとにかく,あの大きい所に行けば良いんだよね!」

 きょろきょろと周囲を見回していたベリーが,気を取り直したように前方を指差す。

 街の中の何処に居ても見えるくらい大きな屋敷には,明かりが灯っていた。

「……魔族の気配がする」

 不意に,周囲を見回していたリオンが呟く。

 油断無く鎌を構えて,前方を睨みつけた。

 キャサリンとリリーナ,そしてミーシアが戦闘態勢に入る。

 ベリーとゆめもハッとしたように気を引き締めた。


「__下がって!」

 突然,リリーナが叫ぶ。

 咄嗟に後ろに退いたベリー達の前に,半透明の障壁が現れた。

 それが,突然激しく抉られる。

「!?」

 ベリーが目を丸くする横で,リリーナは更に防御障壁を増やした。

 数秒経った所で,抉っていた何かが唐突に途切れる。


「__何だ,人間じゃないか」


 誰も居ない筈の正面から,嘲笑するような声が聞こえた。

 迷わずキャサリンが雷を落とすが,声は可笑(おか)しそうに笑う。

「雑魚がここに来て,帰れると思うなよ!」

 声の主がそう言った瞬間,ベリー達の前に旋風が現れた。

「わぁっ!?」

 ゆめが驚いたように目を丸くする。

 旋風はリリーナの防御魔法を削るような勢いで,ベリー一行の方に向かってきた。


「……魔族ですね。それもかなり高位の」

「話し合いで解決は無理そう」

 リリーナが冷静に分析すると,リオンが鎌を振って補足する。

 魔族と戦いたくないベリーは複雑な表情になったが,相手が攻撃してきているので仕方が無いと諦めた。

「……まず,相手が何処にいるか分からないんだよね」

 不意に,キャサリンが小さく呟く。

「え? さっき雷落としてなかった?」

 ベリーが首をぐるっと回転させて振り向くと,キャサリンは誤魔化すように笑った。

「あー……あれね。当たれば良いかなーってやったら,手応えがあったっていうか……」

「え」

 話を聞いていたベリー達が動きを止める。

「……きゃさりん,やばいね」

 ゆめが呟き,一行が同意するように頷いた。


 そうしている間にも,魔法によるものであろう旋風が防御を削っている。

 リリーナの障壁は砕ける瞬間に追加されているので,ベリー達に被害はまだ無い。

「……リリーナ確か,良い感じの魔法持ってなかった?」

「どれですか?」

 ふと思いついたように問うたベリーに,リリーナが真顔で返す。

 リリーナは使用魔法が多いので,良い感じの,と言われても心当たりが無かった。

「あのー……キャサリン探したやつ!」

「ん? あー」

 思い切り疑問符を浮かべてから,リリーナが思い出したように手を叩く。

「これですね」

 そう言った瞬間,リリーナの杖から強い光が伸びた。

「あ! あれでしょ。初めて会った時に暗闇から私を見つけ出した時の」

 キャサリンがハッとしたように声を上げる。

「そうです。探索の光(キャルツェ)と言って,照明の役割を持っている魔法ですね」

 照明,と言うには長すぎる光が,前方を探った。

「あ,いましたね」

 暗闇でも目が利くらしいミーシアが,直前に光が通り過ぎた辺りを指差す。

「うん。ちっちゃな声で『眩しっ』って聞こえたよ」

 ゆめが賛同するのを聞いて,リリーナが光の位置をずらした。


「……あぁもう! 眩しいって言ってるだろ!」

 不満気な声が響く。

 はっきりと聞き取れた声は妙に幼く,捉えられた姿は小さい。

「……子供?」

 ベリーの呟きに,相手の魔族が分かり易く慌てた。

「わ,悪いかよ!?」

 虚勢を張るように大声を出す魔族に,キャサリンが雷を打ち込む。

「うわっ……いや,オレには当たんねーし!」

 一瞬驚いたように飛び退いてから,思い出したように腕を振った。

 それだけで,雷が軌道を変えて消滅する。

「……私の魔法に干渉するとか,ただの悪餓鬼魔族ではなさそうだね」

 キャサリンが魔族を睨みながら,呟いた。

 それが聞こえたのか,少年の姿をした魔族は口の端を釣り上げる。

「人(・)間(・)如(・)き(・)が,このオレに勝てると思うなよ!」

 得意気に告げられた言葉が,魔王領の暗雲の下に響いた。



最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:また新キャラ……。

   しかも私的にかなり使いにくいキャラですね。

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