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お菓子の王女は魔王討伐の旅に出る  作者: 冬桜 美狐
第二章 一期一会の旅人達

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45.一瞬の休息は次の旅へ

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感想,レビュー等大歓迎です。

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 ベリー達が散歩から戻ると,村長の家は妙に騒がしい空気に包まれていた。

「どーしたの?」

 偶々通りかかった村人に,何の遠慮もない態度でベリーが問う。

 リリーナが思わず頭を抱えるが,ベリーは一国の王女なので仕方がない。

 声をかけられた村人は,一行を見て困ったような表情になった。

「……実は,ゼーデルさんの行方がわからなくなってるんです」

「ぜーでるさん……?」

 ゆめがコテンと首を傾げると,キャサリンが小さく苦笑する。

「村長のお孫さんですよね。魔族の気配を察知出来る」

 リリーナが尋ねると,彼の存在感の薄さを知っているらしい村人も苦笑して頷いた。

「先日から感じているという魔族の気配を探しに行ったそうです。その後,突然村から彼の気配が消えたそうで」

「気配とかわかるの?」

 今度はリオンが疑問符を浮かべる。

 答えを探すように,村人は一行から視線を外した。

「……長老様がそういうのを察知できる方なんです。これは能力とかではなく,身体が魔族に似ているから,らしいですね」

 やけに詳しいその村人の説明に,一行が各々(おののおの)頷く。

「突然消えた……というのはどういうことですか?」

 不意に,何かを考え込んでいたミーシアが挙手した。

 困惑を浮かべる村人に対して,言葉を重ねる。

「魔族に殺害された……とかではなく,気配が消えた,というのは……?」

 確かに,生存は確認できていないはずだ。

 何故,気配が消えたという表現を使うのか。

 同じように疑問に思っていたリリーナも返答を待つ。

 すると,村人は困ったように眉を下げた。

「……それは,長老に直接伺わなければわかりません。私は先を急いでいるので,失礼しても?」

「あ,ごめんなさい!」

 丁寧にお辞儀をして去っていく村人に謝ってから,ベリーは一行の方に視線を向ける。


「……どう思う?」

「そうですね……。魔族に殺されたのかと思いましたが」

「言ってること怖いよ!?」

 ゆめとまろんが震え上がった。

 だが,その可能性を否定しきれないことも事実である。


「探す……方が良いかな」

「でも,私達は早く魔王領に行った方が良くない?」

 四天王の言葉から察するに,ベリー達が向こうをかなり待たせていることは明白だ。

 ベリーの望む『魔族と戦わなくて良い道』を探すためにも,急いだ方が良いだろう。

「……でも,ゼーデルさんを見捨てていくの?」

 俯いたベリーが小さく呟き,一行が難しい表情になる。

「利他と利己,どちらを優先するかですよね」

 ミーシアが,そう告げると,ゆめとまろんが首を傾げた。

 それに対して,キャサリンが苦笑しながら説明を付け加える。

「他人を優先するか,自分を優先するかの二択ってこと」

「なるほどー」

「ほどー」

 かなり噛み砕いた説明に,ベリーも密(ひそ)かに感嘆の表情になった。


 それから数分考え込んでいたベリーが,不意に顔を上げる。

「一個さ,天才的なこと言って良い?」

 かなり自信に溢れる態度だ。

 全員の視線が向く中で,ベリーが右手の人差し指を立てる。

「まずゼーデルさんが,魔族どこだー? ってしてたんでしょ?」

「はい」

 ベリーが人差し指を動かして表現した。

「気配が消えた? ってことは,魔族が関係してるのは確定でー」

 そう言いながら,今度は左手の指を二本立てる。

 恐らく,四天王二人を表しているのだろう。

「ここで,『ドパーン』か『ずがーん』か『ピララー』があったわけ」

「どぱーんかずがーんかぴららー……?」

 まろんの首が九十度傾いていた。

 それを見なかったことにして,ベリーの説明は続く。

「んで,ドパーンとずがーんだったら諦めるしか無いけど,ピララーだったらどうだと思う?」

 突然の問いかけ。

 だが,その場にいる半数以上が擬音を理解していない。

 ゆめとまろんが疑問符で頭を埋め,キャサリンとミーシアは諦観の笑み。

 リオンは立ったまま微睡(まどろ)み始めていた。

「……前の二つは攻撃魔法ですね? 後ろのそれは……見た目が綺麗な魔法?」

「せいかーい!」

 慎重に答えたリリーナに,ベリーが拍手する。

 ちなみに『ドパーン』は四天王ルシフェリオの毒魔法で,『ずがーん』は四天王グロースの自然魔法のことだ。

 それを正確に当てたリリーナだったが,最後の『ピララー』の正体はいまいちわからない。

「でね。ピララーだったら,ゼーデルさんは生きてるの。ここからいなくなっちゃっただけで」

「……それってまさか」

 キャサリンがハッとしたように呟くと,ベリーが少し真剣な表情になった。

「うん。ゼーデルさんは,どこかに連れて行かれたんじゃないかな」


 一向に納得の空気が流れる中で,ハッとしたようにゆめが口を開く。

「べりーが言いたいことわかった!」

「ゆっちゃん天才だね」

 何度も頷くキャサリンは,ベリーの言葉の意味がわかっていない。

 ベリーの期待に満ちた視線を受けて,ゆめは得意気に胸を張る。

「まぞくたちがぜーでるさんを連れて行ったのって,魔王領じゃないかな? それだったら,ゆめ達は普通に魔王領に行けばおっけー!」

「あー……!」

 リリーナとミーシアが驚いたように声を上げた。

 その答えに,ベリーが満足そうに首を縦に振る。

「つまり! 私達はふつーに魔王領に行けば,ついでにゼーデルさんも探せるのです!」

「です!」

 内容を半分も理解していないまろんが笑顔で真似た。

「……じゃあ,村長さんにそう伝えてきます?」

 疑問形にしつつ,リリーナは返事を待たずに身を翻す。


 それを見送って,ベリーは笑みを浮かべた。

「魔王領に向かって,ローズ姉の言ってた謎を解いて,ついでにゼーデルさんも探す!」

「やること多い……」

 リオンは苦笑気味に呟くが,瞳は楽しげに輝いている。


「がんばるぞー!」

「「おー!!」」

 ゆめの掛け声に,一行が答えた。

 日の昇り始めた空は,ベリー達を祝福するように輝く。



最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:あ,これ第二章最終話です。

   次回からは登場人物一覧を投稿します。

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