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お菓子の王女は魔王討伐の旅に出る  作者: 冬桜 美狐
第二章 一期一会の旅人達

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番外編.少し前のお話

本日はゆめ本人様のお誕生日ということで

ゆめ様の誕生日回を急遽更新しました。

どの辺りが誕生日回かと言いますと,最後の最後に爆弾が落ちます。

_____________________________________

誤字,脱字報告受け付けております。

見つけた際は遠慮なく報告して頂けると幸いです。

感想,レビュー等大歓迎です。

ブックマークも是非お願い致します。

 

 あるところに,一人の王女がいました。

 可愛らしく賢い王女は,国民の皆の宝物です。

 これは,まだ王女が三つの時のお話。


「王女様! 見てください!」

「王女様! おはようございます!」

 可愛らしい王女が国を歩くと,いつでも沢山の人が声をかけてくれました。

 王女はとっても優しいので,皆に笑顔を返します。

 王女はまだ三歳ですが,この国は平和なので一人で歩いていても問題ありません。

 次期女王として生まれながら,王女は明るくのびのびと成長しました。


 そんなある日。

 国に危機が訪れました。

 なんと,敵対している種族の国が襲ってきたのです。

 その種族は,鳥獣人と呼ばれていました。

 空を飛ぶ敵を皆はとても怖がりました。

 ですが,その国には秘密があります。

 実は,その国は空を飛ぶ土地でした。

 なので,鳥獣人達の襲来に気付いた王族が,すぐに国を移動させます。

 ですが,鳥獣人の飛ぶ速度はとても速く,国はすぐに追いつかれてしまいました。

「我々は神の使いたる鳥獣人。今すぐ降伏の意思を示せ。さもなくば……」

 国の真上に浮かぶ鳥獣人の長がそう言います。


 王女はただ怖くて,城の隠し部屋に隠れていました。

 でも,外から国民達の叫び声が聞こえてきます。

 隠し部屋の窓から,真っ赤に燃える国が見えました。

 長閑(のどか)で平和だった国の風景が,薙ぎ倒されていきます。

 そんな中で,鳥獣人達は真っ直ぐに城を目指して飛んできました。

 すぐに王女は,安全な避難用の道を使って逃げます。

 ですが,あと少しのところで見つかってしまいました。

 王女を見つけた鳥獣人は,とても小柄で幼い少年でした。

「お前,王女?」

 少年は,王女の見た目を知らなかったようです。

 賢い王女は少し考えてから,首を横に振りました。

 すると,少年は困ったような表情になります。

「あー……じゃあ,この国の王女知らない?」

「……しらない」

 怖がっていることに気付かれないように,王女は小さく答えました。

 それを聞いて,少年は更に困ったようでした。

「うーん。一応父(・)上(・)にはお前達を一人残らず皆殺しにしろって言われてるんだけど……」

 少年は,実はとても心優しい鳥獣人です。

 なので,目の前の可愛らしい女の子を殺すなんて出来ません。

 でも,命令に背(そむ)くことも彼には出来ませんでした。

 そんな少年の心に気付いたのか,王女は良いことを思いつきました。

「わたしがにげれば,みのがしてしまったことにできるんじゃない?」

「……それも,そうだね。じゃあ,速く」

 少年が強く頷いて,すぐに去っていきます。

 王女は迷わず,反対の方向に走っていきました。


 やがて王女は城を抜け出し,森に辿り着きました。

「…………あ」

 ふと振り返って,王女は思わず目を見開きます。

 城が,燃え落ちていました。

 大きく立派な城があったところは,大きな瓦礫(がれき)が転がる恐ろしい土地になっています。

 その上空を,無数の鳥が覆っていました。

 王女が泣き出しそうになったその時。


 飛び交う鳥達に,特大の雷が落ちました。


 雷は次々と発生し,鳥獣人を撃ち落としていきます。

 王女は,その様子を呆然と見ることしか出来ません。

 生き残っていた国民達の驚きの声も聞こえます。

「……すごい」

 王女は小さく呟きました。

 そして気付きます。

 空に,一つの影が浮かんでいました。

 それは,小さくて黒い影です。

 よく見ると,その影は少女の姿をしていました。

 杖も何も持っていないのに,少女は次々と雷を落としています。

 その度に,鳥獣人の悲鳴が響いていました。

「__あっ……!」

 王女が思わず声を上げます。

 落とされた鳥獣人の中に,知っている姿が見えました。

 先程自分を見逃してくれた,心優しい少年です。

 王女は少し胸が痛みました。


 雷を扱う少女が鳥獣人を殆ど倒していきます。

 やがて,空に浮かぶ鳥獣人は一人だけになりました。

 その鳥獣人は,敗北を悟ったようでした。

 少女が特大の雷を用意した,その瞬間。


 国が大きく揺れました。


 左右に激しく地面が揺れ,あらゆる建造物や木々が崩れていきます。

 それは,避難していた国民にも被害をもたらしました。

 そして,王女にも。

 森の中で息を潜めていた王女は,木に頭を打って倒れてしまいました。

 その後王女がどうなったのか,それを知る人はいません。


 ーーーーーーーーーーーーー


「__っていうのが,神狼国(ヴェステリエ)で有名なお話だよ」

「すごーい……」

 ある日の夕方。

 キャサリンとゆめは並んで夕日を眺めていた。

 そして語られた話に,ゆめが感嘆を漏らす。

「……何か,雷を落とす女の子? ってきゃさりんみたい!」

「だよねー! 私も,この人に憧れてるんだ」

 キャサリン自身は,この話を孤児院で聞いたらしい。

 神狼国(ヴェステリエ)で最近有名な話らしいが,ゆめは初めて聞いたようだ。

「あとー,優しい鳥獣人の男の子にびっくりした!」

「わかるよー。だって,ね……」

 苦笑するキャサリンの脳裏に,魔王四天王の少年が浮かぶ。

 彼も鳥獣人だが,話の中に出てくる鳥獣人の少年とは正反対な性格だった。

「……王女様は,どうなったんだろう」

「さぁ……。この王女様はまだ三歳だったんだし,一人で生き延びたとは思えないよね」

 キャサリンが素直に考えを述べると,ゆめの表情が曇る。

 それを見て,キャサリンは少し困ったように言葉を付け足した。

「……でも,頼りになる人に出会って,今でも幸せに生きているかもしれないよ!」

 現在の神狼国(ヴェステリエ)は,鳥獣人との争いで王族が全滅している。

 なので生き残った一部の国民が,協力し合って国を統治していた。

 そんな状況だが,王女を名乗る女性は現れていない。


「……ゆめ,もう寝る」

「うん。おやすみ」

 ゆめが小さく呟いて,犬の姿に戻る。

 膝の上で丸くなったゆめを撫でて,キャサリンは優しく微笑んだ。

 それから,少し憂いを含んだ表情を浮かべる。


「……どうか良い夢を。私の愛しい,神狼国(ヴェステリエ)の王女様(コーア)よ」



最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:時系列の謎には触れないで下さい……。

   多分第二章終了後とかの話です。

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― 新着の感想 ―
今日はゆっちゃんのお誕生日回! まさか、ゆっちゃんが王女様だったなんて……(キャサリン今知ったよ!?) 私の最後のセリフめっちゃ好き! ありがとう!! これからも頑張って!!! 応援してる!
2026/08/03 19:56 キャサリン本人
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