番外編.皆で人狼ゲーム!
本日はミーシアの誕生日でございますので,
ミーシアの誕生日回(?)を急遽更新しました。
何故誕生日回なのかは,最後までご覧頂くと少しだけ掴めるかも……?
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どこまでも広く大きな空を,ベリー一行は眺めていた。
退屈を持て余したのか,ゆめ達がぼんやりと見つめ続けている。
その様子に,キャサリンが少し考え込むように視線を下げた。
「……人狼ゲーム,しない?」
「「人狼ゲーム?」」
大体四つの声が重なる。
「え? ……知らない?」
声を発した,ゆめ以外に尋ねると,全員が頷いた。
流石にゆめも驚いたようで,目を瞬かせている。
「えーとね,人狼ゲームっていうのは……」
簡単に要約すると,人狼陣営の「人狼」「狂人」と市民陣営の「占い師」「騎士」「市民」,そして第三陣営の「猫又」がいる。
人狼陣営と市民陣営の人数が同じになったら人狼陣営の勝利で,市民陣営が一ターンごとに行われる会議で人狼を“追放”出来たら市民陣営の勝利。
「猫又」は自身が会議で追放されたら単独で勝利できる。
「……多分わかった! 面白そう!」
「それはあれですか。犬獣人特有のゲームですか」
ベリーが明るく笑い,リリーナが興味深そうに頷いた。
実はこのゲーム,別に犬獣人しか知らないゲームではない。
ただ,お菓子の国の王女と神官,青の都の神の使いは知らなかっただけだ。
「じゃあ早速始めるよー! カード見てね!」
その場でキャサリンが作成した,役職が書かれた紙を配る。
各々が紙を見て,それぞれの反応を見せた。
「夜だよー! おやすみっ」
ゆめがそう言って顔を伏せる。
全員が真似すると,ゲームが始まった。
人数的に,今回は「狂人」はいない。
そして「猫又」はいるかどうか不明だ。
ちなみに,司会者はキャサリンである。
「えー,人狼さん人狼さん,起きて下さい。貴方は誰を食べますか?」
キャサリンは慣れた様子でそう語った。
ちなみに,人狼はゆめである。
良い笑顔で周囲を見回した後,そっとベリーを指差した。
「この人ですね? わかりました。ゆっくりおやすみなさい」
ゆめが顔を伏せると,キャサリンは言葉を続ける。
「騎士さん騎士さん,起きて下さい。 貴方は誰を守りますか?」
そこで顔を上げたのはリオンだった。
リオンは少し考えてから,ベリーを指差す。
「この人ですね? わかりました。ゆっくりおやすみなさい」
少しだけ驚いたような表情を隠しつつ,キャサリンは厳かに告げた。
「占い師さん占い師さん,起きて下さい。貴方は誰を占いますか?」
リリーナが顔を上げる。
何だか役がはまってるなぁ,と思いつつ,キャサリンは指示を待った。
リリーナは周囲を見回してから,ベリーを指差す。
「えーとですね,この人は__」
そう言ってから,手でバツを作った。
人狼ではない,という意味である。
リリーナは納得したように頷いてから,また顔を伏せた。
何だかベリーが集中攻撃を食らっている。
内心苦笑しつつ,キャサリンは起床の挨拶を述べた。
「皆さん,朝です。可哀想な今日の犠牲者は__なんと,いません! 騎士が誰かを守ったようです」
「えー!?」
「おぉ〜」
あからさまに驚きかけて,ゆめが喜んでいる表情に変える。
「それでは,これから五分間会議を行います。自由に話し合って下さい」
会議は司会者が口を出さない。
「まず役職言うね。騎士なんだけど」
「おー!」
リオンが端的に告げると,ベリーがパチパチと拍手する。
誰守ったの? と言いたげな視線に,リオンは一つ頷いた。
「ベリーを守ったんだよね。だから狙われてたのはベリーかも」
「ぅえ!? じゃあ……リリーナ?」
「何でですか!?」
流れが向かってきたリリーナが驚いたように反論する。
ここで占い師と言ってしまっても良いが,それでは次のターンで人狼に狙われる可能性があるのだ。
人生初の人狼ゲームなのに,賢い彼女はそこまで理解している。
「あー,えーとね! 一応言っとくと,市民です! 王女だけど市民です!」
「あ,私も市民です」
「ゆめもー!」
ベリーが手を挙げると,ミーシアとゆめが賛同した。
それに,賢いリリーナが疑問符を浮かべる。
「ん? 人数的に市民は一人か二人じゃないですか?」
「確定しないの?」
リオンが首を傾げると,リリーナは軽く頷いた。
「猫又はいるかどうかわからないので……」
納得したように頷いてから,リオンは人差し指を立てる。
「じゃあ怪しいのはベリーとゆっちゃんとミーシアとリリーナで,ベリーは狙われてたみたいだし除外しても良さそう?」
「えー……ゆめ怪しくないもん」
「私だって怪しくないですよ〜」
ゆめが頬を膨らませて,ミーシアが苦笑しながら答えた。
それに対して,ベリーが思わせ振りな態度で首を左右に振る。
「いや,犯人はね。絶対に自分は怪しくない! っていうもんなんだよ」
自分が食べられかけていたことを根に持っているのか,ベリーがふふん,とドヤってみせた。
「……でも何となくだけど,リリーナは市民じゃないと思うんだよね」
「え?」
何で? と言いたげな視線を受けて,ベリーは胸を張って答える。
「だってリリーナ,市民アピールしてないじゃん。でも考え方が市民陣営っぽくない?」
「いや,上手くそう見せてる可能性もありますよ?」
ミーシアが反論すると,ベリーは少し視線を逸らしてから「……まぁそうかも知れないけどけど?」と言い訳がましく呟いた。
「さて。投票の時間になりました。皆さん,追放したい人を指差して下さい」
キャサリンが告げると,それぞれが指を指す。
ミーシアはリリーナを,リオンはミーシアを指した。
ベリーとゆめは悩んだ挙げ句,キャサリンを指差す。
「……何で? まぁ,良いけど」
困惑しつつ,結果はそのままになった。
誰も追放されず,次の夜が訪れる。
人狼ゆめは,リリーナを指した。
自分に疑いを向けられたくなくて,判断が鈍ってしまう。
騎士リオンは,悩む素振りを見せてからゆめを指した。
占い師のリリーナは,ミーシアを指す。
結果は,バツだった。
「皆さん,朝です。可哀想な今日の犠牲者は__リリーナです!」
「えー!?」
ベリーが驚いたように声を上げる。
先程人狼はリリーナだとミーシアも,かなり驚いたようだった。
食べられてしまったリリーナは喋れないので,一歩下がる。
「リオンって今回誰を守ったの?」
ベリーが単刀直入に問うと,リオンは軽く頷いてゆめの方を見た。
「なんとなく狙われるかな……って思ってゆっちゃんを守ったんだけど」
「……ゆめ,なんかごめんなさい」
人狼として申し訳なくなったのか,ゆめがペコっと頭を下げる。
勿論その裏は知らないので,そんなことないよ〜 とベリーは明るく笑った。
「えーと,リリーナさんは人狼ではなかったってことですよね」
「そだね。ただまぁ,猫又の可能性はあるかも?」
猫又は第三陣営だが,普通に人狼に食べられることもある。
そういう意図で話したベリーは,前回の会議のことが頭から抜けていた。
それを好機と捉えた人物には気付かない。
「まぁじゃあ,猫又はもういないと考えて良さそうだね」
「そうですね」
猫又がいなければ投票する時に悩む必要も無くなるので,市民陣営に少し有利になる。
勿論,猫又がいなければの話だが。
「うーん……じゃあ,誰怪しい?」
「ミーシアとゆっちゃんじゃない? でも,ゆっちゃんにリリーナを食べれるかな……?」
リオンがうーん,と首を傾げてから,ミーシアの方に視線を向けた。
視線を受けたミーシアは,慌てたように否定する。
「いやいや,違いますよ!? まだまだ新参者の私が,リリーナさんを食べるなんて恐れ多いことをするわけないじゃないですか!」
「怪しいね」
ベリーが何故か真顔になって頷いた。
あからさまにショックを受けたような表情になったミーシアは,助けを求めるようにゆめを見る。
ただ,ゆめとしてはミーシアに疑いがかかった方がありがたいので,「ゆめも,みーしあだと思う」としか言えない。
「そんな,そんなに怪しいですか? 私どう見ても市民じゃないですか!」
「犯人っていうのはね,皆自分は怪しくないって言うんだよ……」
ふっと勝ち誇ったように笑って,ベリーがそう告げた。
「んー……これで終わらなかったら,ゆめさん吊って下さいね!」
投票の時間になり,三人の票がミーシアに集まる。
「それでは,ミーシアが追放されます。最後に言い残すことはありますか?」
キャサリンが尋ねると,ミーシアは少し考え込むように視線を下げた。
「そうですね__」
それから,僅かに口の端を上げる。
「ありがとうございます とだけ」
「……へ?」
ベリーとゆめが,小さく声を漏らした。
早くも気付いたリオンが,ハッと青褪める。
その中で,キャサリンが無慈悲に告げた。
「勝敗が決しました! 勝者は__第三陣営の猫又,ミーシア!」
「うそぉー!?」
「えー!?」
ミーシアが愉しげに笑う中で,ベリーとゆめが驚いたように叫ぶ。
天国ポジションで見学していたリリーナは,何となく察していたのか溜息をついていた。
「え? 人狼は誰だったの?」
「ゆっちゃん。ちなみにリリーナは占い師ね」
キャサリンが答えると,ベリーが納得したように頷く。
「まぁ……楽しかったね」
「うん! 皆でまたやろ!」
リオンが少し表情を緩めて,ベリーが賛同した。
「ねぇ,ミーシアってさ。人狼やったことあるでしょ」
前方を行く四人から離れて,キャサリンがミーシアに問う。
「……あぁ,わかりますか」
ミーシアは隠す気もないのか,軽く頷いて同意した。
「そりゃね。猫又で勝てるなんて,まず初心者じゃないし。何より,最後に“吊る”って言ったでしょ」
“吊る”というのは,追放することを指す。
キャサリンはこのことを説明していないので,それを使ったミーシアは間違いなく未経験ではない。
それから,キャサリンは静かに続けた。
「まだ出会って全然時間も経ってないけど……ミーシアって友達いる?」
巫山戯ているようには聞こえない問いに,ミーシアは少し考えるように視線を遠くに向ける。
「__そうですね。いたかもしれないし,いなかったかもしれません。友達と呼べるような人は,もういないと思います」
自分と同じくらいの年齢に見える少女の曖昧な笑みが,長い時を生きてきた賢者の表情になった。
その言葉の意味は,この時のキャサリンにはわからない。
「……私達が,貴女の友達になれると良いな。多分,ベリーはもう友達だと思ってるよ」
ただ,そんな言葉を紡ぐしか出来なかった。
最後までご覧頂きありがとうございます。
一言:誕生日の形は,人それぞれ。凄く長文になりましたね。
私は先日,リオンとキャサリンに祝って頂きました!
追記:「犬獣人」が「犬獣医人」になっていたようです……!
キャサリン本人様に忠告頂きました。




