表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お菓子の王女は魔王討伐の旅に出る  作者: 冬桜 美狐
第一章 少女達の旅立ち
25/32

【閑話】魔を統べる者達 二

誤字,脱字報告受け付けております。見つけた際は遠慮なく報告して頂けると幸いです。

感想,レビュー等大歓迎です。

ブックマークも是非お願い致します。


「魔王様を除いた【七混魔珠ディアヴェスピル】も揃ってるんじゃない?」

 ふと自分の正面,紅玉ルビー紫玉タンザナイトが座っている辺りを見て,緑玉ペリドットが笑う。

 それに対して,二人は軽く頷いて同意を示した。


七混魔珠ディアヴェスピル】とは,公にはされていない魔王軍の役職の名である。

 四天王と魔王,そしてとある重要な二人で構成されており,実際に魔王領を動かしている統治機関でもあった。


「……ちなみに,魔王様は今日はお掃除だそうよ」

「あー,なら仕方ないね」

 紅玉ルビーがそう呟くと,翠玉エメラルドは軽い口調でそう答えて話を区切る。

「時間はいくらでもあるけど,早く進めるよ? 僕達魔王軍にも,新しい展開が来てるかもしれないらしい」

「新しい展開……?」

 翠玉エメラルドがさらっと告げると,三人は一様に首を傾げた。

 流石に説明が足りないことに気づいたのか,手元に書類を出現させて,テーブルに広げる。

「最近僕達が動向を探っていた,大蛇国シュランゲルンの蛇獣人達がいるだろう?」

「動向を探ってたのは僕だけどね」

 すかさず合いの手を入れつつ,緑玉ペリドットは書類をのぞき込んだ。

 女性陣も玉座から立ち上がり,書類の方に向かう。

 玉座は用意されているものの,正直使い勝手が悪いというのが四人の素直な感想だった。

「何であんなに大胆なことができるのかと思ったけど……どうやらこの国の女王が変わったことをしてるみたいでね」

 “変わったこと”という言葉に,緑玉ペリドットが愉しげに口元をゆがめる。

 偵察や諜報の担当である彼は,すでに知っている情報なのかもしれない。

 そう思いつつ,翠玉エメラルドは書類の一部を指差して続ける。


「……魔王様の四天王を名乗っているらしいよ」

 その場を沈黙が満たした。


 目を丸くしていた紅玉ルビーの表情が,徐々に憤怒ふんぬに変わる。

「……何ですって? そんな,そんなふざけたことを,貴方は黙認していたの?」

 怒りの矛先は,目の前にいない本人ではなく,既に知っていたであろう緑玉ペリドットに向いた。

 彼女にとって四天王をかたるということは,それこそ魔王の名をかたるようなもので,敬愛する主をおとしめられたのと同じくらい,許しがたい侮辱ぶじょくである。

「いやー,知ってはいたけど? 別に良いかなーって。ゼリーちゃんもそんな怒らなくても良いでしょ」

「本名で呼ぶなっていうか,それ以前にそこだけ切り取るんじゃないわよ! この知能鳥以下!」

「鳥以下っていうか鳥なんだけど……」

 賑やかに言い合った後,紅玉ルビーは深く深呼吸をしてから,玉座に腰掛けた。


「それで? 今まで黙っていた理由は?」

 尊大な態度で問われ,楽しそうに成り行きを見守っていた翠玉エメラルドが答える。

「いつ粛清しようか悩んでたんだけど……どうやら先を越されたみたいでね」

 紅玉ルビー柳眉りゅうびを上げると,紫玉タンザナイトも興味深そうに視線を向けた。

「……まず,人間の国のグラッセリアって覚えてる?」

「魔王様があれだけは滅ぼさなければならない,と言っていた国ですね」

 あの国を滅ぼす為に,魔王は四天王さえも使ってあらゆる手段で内情を探っていた。

 それだけ執拗しつように狙っていた国を,忘れるわけがない。

 しかもその国を滅ぼした後,少し面倒になったらしい魔王は,一度も他種族の国を滅ぼしていないのだ。

 長い時を生きる上に,基本的に何に対しても関心が低い四天王達ですら,流石に記憶に残している。


「……まさかとは思うけど」

 不意に,紅玉ルビーが呟いた。

 強い光を放つ薔薇赤ローズピンクの瞳が驚愕したように揺れている。

 沈黙に満ちた空間で,彼女は小さく続けた。

「……王女が生き残っているとか?」

 その言葉に,翠玉エメラルドは目を丸くする。

 書類の内容と同じだったからだ。

 基本的に人間や他種族に疎く,そもそも興味がなさそうな紅玉ルビーにしては珍しい。

 そう思ったところで,ふと思い出したことがあった。

「あぁ,グラッセリアに視察に行ったのは君だっけ?」

「そうよ。私自ら動いたっていうのに,忘れてるなんて正気?」

 冷たく鋭い視線を向けられて,翠玉エメラルドは苦笑を浮かべて流す。

「……それで,生き残った王女……ベリー・グラッセ・ミエルベル? がどうされたので?」

 見かねた紫玉タンザナイトが書類を手に取りながら話を戻すと,既に知っていたらしい緑玉ペリドットが答えた。

「王女さんは,なんか魔法が上手いみたいだね。あと仲間も増やしてる感じ! 狙いは……魔王様討伐!!」

 あははっ! と可笑おかしそうに笑いながら,書類の束を持ち上げ,空いている方の腕で宙を切る。

 小気味よい音を立てて真っ二つになった書類を横目に,緑玉ペリドットは笑いが止まらないといった様子で続けた。

「メンバーは犬の娘を含めて四人! からさっき増えて五人! 基本魔法系だけど,新しく増えた奴は明らかに戦闘系だね!」

 明るく指を折りながら告げると,散らばった書類の残骸ざんがいを拾い上げながら翠玉エメラルドが補足する。

「一応ざっくりとした戦闘力と,戦闘方法はわかってる。そしてさっきの話に戻るんだけど……」

 そこで一度言葉を切って,ニコリと笑みを浮かべた。


「まだ二十にもならないこの少女達が,かつて魔王軍と争ったこともある大蛇国シュランゲルンの女王を倒した」


最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:魔王側第二回!

   今まで出てこなかった分,新情報も沢山です……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ