ホイル包みハンバーグ
すっかり春本番となり王都も暖かい日差しが降り注ぐ。
とはいえたまには雨が降ったりする日もあり、そういう日は客足も減る。
異世界と言うだけあり、傘を差したりする文化もないという。
雨の日はレインコートが普通というのが異世界らしい。
「また来てしまいましたね、ここは肉料理が美味しいからいいんですよ」
「あんなに美味しい肉が安価で食べられるのはどこから仕入れているのか」
「牛豚鶏、どれも美味しいから困るんですよね」
「さて、行きますか」
彼の名はアトロム、田舎で畜産をしている家の息子だ。
親に卸しに行く事を任されているようで、王都に来た時は立ち寄るようになったという。
「この扉の仕組みは面白いものですね、二重扉なら食い逃げもしにくいでしょうし」
「賑やかだ、今は食事時だからですね」
「いらっしゃいませ!何名様ですか!」
「一人ですよ」
「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」
「いえ、吸いません」
「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」
「スタッフが若いのは見ていて元気になりますね」
そうして席に案内される。
説明は理解しているのでスムーズに進む。
簡単に説明を受けそのまま次へ。
タブレットの使い方も理解している様子。
「タブレットの使い方は分かりますね」
「はい、問題ありません」
「分かりました、では何かあればお呼びください」
「さて、先に水を取りに行きますか」
そうして美紗子は一旦下がり別の料理を運びに行く。
忙しい時間帯はキッチンスタッフが席の案内をしたりもする。
「ここの水は飲み放題なのに無料というのはあくまでもサービスだからなのか」
「あとは氷と手拭き、使い捨てだと病気や汚れを防げるのはあるんでしょうね」
「さて、注文を決めてしまいますか」
「肉料理…ふむ、今年も春のフェアメニューにもありますね、何にするか」
「では今回はこれにしますか、これとこれとこれとこれで確定と」
「このタブレットというのはどんな仕組みなんでしょうか」
そうしてアトロムはドリンクバーに飲み物を取りに行く。
迷わずに手を伸ばしたのは炭酸グレープだった。
炭酸飲料を特に気に入っているらしく、その中でも炭酸グレープがお気に入りらしい。
濃厚なぶどうの味がする炭酸飲料というのは驚きもあったようで。
「ふぅ、やはり炭酸グレープは美味しいですね、この甘さがまたいい」
「しかし炭酸水自体は知っていましたが、甘い炭酸水というのは新鮮ですね」
「そこにグレープの味がついて、紫色に着色してあるようで」
「グレープの濃厚な甘さと炭酸の弾ける味が実に美味しいんですよね」
そうしているとホイル包みハンバーグが運ばれてくる。
アルミホイルに包んで焼いたビーフハンバーグだ。
「お待たせしました、ホイル包みハンバーグになります」
「ありがとうございます」
「包みのアルミホイルは食べられないので、ナイフで開いてお食べください」
「分かりました」
「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」
「さて、食べますか」
ホイル包みハンバーグ、アルミホイルに包んで焼いたビーフハンバーグだ。
なお焼くとは言うが、ホイル焼きの場合は蒸し焼きにする事が基本だ。
なので普通のハンバーグより提供に時間がかかるメニューである。
とはいえしっかりと火を通さないと食中毒になるのがハンバーグの怖さでもある。
それもありハンバーグは中まで火が通っている事をしっかり確認して出される。
ホイル焼きともなればそれこそ徹底した管理がされなくてはならない。
ちなみに店のハンバーグは定番メニューは合い挽き肉である。
今回はビーフハンバーグなので牛肉100%である。
期間限定で出されるフェアメニューのハンバーグは基本牛肉100%にするらしい。
定番より少し贅沢感を出すためというのがその理由らしいが。
「うん、これは美味しいですね、肉の美味しさがしっかりと凝縮されている」
「熱を逃さないようにして焼いてあるようで、湯気が凄い」
「ですがソースも美味しいですね、このソースも牛の肉の味がします」
「このアルミホイルというのは調理用の使い捨ての道具みたいですね」
「付け合せの野菜も美味しいですし、こういう食べ方もあるんですね」
「牛の肉を細かい肉にしてそれを成形した料理がハンバーグという事のようです」
「一般的なハンバーグは焼いて料理するが、これはただ焼いただけとは違うようです」
「しかし肉の美味しさをしっかりと固めてあるというからこそ、美味しいんですね」
そうしているうちにホイル包みハンバーグを完食する。
続いてデザートを頼む事に。
「お待たせしました、デザートですか」
「はい、お願いします」
「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」
それから少ししてフルーツヨーグルトが運ばれてくる。
様々なフルーツを加えたヨーグルトだ。
「お待たせしました、フルーツヨーグルトになります」
「ありがとうございます」
「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」
「さて、いただきますか」
フルーツヨーグルト、様々なフルーツを加えたヨーグルトだ。
デザートにはヨーグルト系のものも結構あったりする。
「うん、やはり美味しいですね、様々な果物が使われた牛乳の加工品ですか」
「このヨーグルトというのは山岳地方では食べられていると聞いた気はしますね」
「そのヨーグルトに様々なカットフルーツを加えている、シンプルながらに美味しいですね」
そうしているうちにフルーツヨーグルトを完食する。
飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。
「支払いをお願いします」
「はい!えっと、ホイル包みハンバーグとフルーツヨーグルトとドリンクバーと抹茶大福5つですね」
「全部で銀貨二枚と青銅貨四枚になります」
「これでお願いします」
「ちょうどいただきます」
「あと持ち帰りの抹茶大福5つになります」
「はい、ありがとうございます」
「満足していただけているようデスね」
「これはシェフの方」
「肉料理がお好きのようデスね」
「ええ、家は畜産農家なので」
「なるほど、注文からして牛の肉がお好きなのデスね」
「はい、家は主に牛肉を卸しているので」
「それで牛肉理メニューがお好きなのデスね」
「ええ、あとハンバーグいうのは基本的には焼く料理ですよね」
「ハイ、そうデスよ、ミンチ肉を固めて焼くのがハンバーグなので」
「あのホイル焼きというのはただ焼いてあるだけという事ではなさそうですが」
「ハイ、ホイル焼きは蒸し焼きなのデス、水蒸気で加熱する調理法デスね」
「つまり熱を逃さないようにじっくりと焼いていると」
「ハイ、なので調理時間も長めになるのデスよ」
「あと牛肉が凄く美味しかったんですが、いい肉を使っているんですか?」
「それなりにはいい肉デスね、高級な肉は流石に高いので」
「それなりにいい肉、ミンチというのは肉を細かくしたものを言うんですよね?」
「ハイ、主にハンバーグなどの加工肉料理に使うものデスね」
「おっと、ではそろそろ行きますね、また食べに来ます」
「牛肉を扱う畜産農家か」
「養豚をしている人なども来マスし、王都は生産能力は高くないとは感じマスね」
そうしてアトロムは満足して帰っていった。
牛肉を扱う畜産農家の息子、なので肉の味には多少は造詣もある。
そして王都は生産能力はそこまで高くないとも感じられた。




