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クリスマス休暇を迎えると同時にエーベルがフリードハイムを去ってから、早4ヶ月が経とうとしていた。
彼からは約束どおり手紙が届いた。いや、1週間に1通という取り決めだったんだから、3日とあけず寄こしてくるのは約束どおりとはいえないだろう。
新しい生活のつまびらかな知らせは、もちろんありがたくもあったけど、大丈夫なのかと不安ばかりが先に立つ。
エーベルには真剣に取り組まなければならない大仕事があるのだから。
でも、彼の頑固さは穏やかな相貌にまるでそぐわない手強さで、折れるのはいつだって、おれのほうなんだ。
シャルに手紙を出している様子はなさそうだった。でも、あいつと連絡をとりたくなったら、エーベルはおれを介してくる。それだけは絶対だ。
1月が終わり、2月も見送った。
シャルの近況を尋ねるばかりで決して「会いたい」とは綴ってこない手紙だけがたまっていく。行間にこれほどの想いを詰めこんでおきながら、やせ我慢もたいがいにしろと腹が立つ。といって、勝手にシャルを連れて押しかけたなら、大目玉をくらうのは間違いない。
3月を迎え、4月に入った。
そして2週目の今日、ついにその1通が届く。
昼休みの教務室でエーベルからの封書を受け取ったおれは、その足で10学年の宿舎へ駆けこみ、シャルを呼び出した。
「今から神学校へ? 何言ってるんだ、オイゲン」
シャルは面食らっていた。無理もない。が、この場で立ち話をする余裕もなかったおれは、シャルの腕を引っ張り、早くも歩き出していた。
「ちょっと、オイゲン、待てったら。僕は――」
「外出許可なら2人分取ってある」
「そうじゃなくて! 僕には何の連絡もきていない。それも平日の昼休みに呼び出しなんて何様のつもりだよ。神学生って、そんなに偉いわけ?」
「おれは、おまえがどれだけ反発しても、殴ってでも、連れてくつもりだ。以前、やられた礼も、まだだったしな。ちょうどいいや」
シャルは慌てて言葉を継いだ。
「オイゲンは唐突すぎるんだ。ちゃんと理由を――」
「特別授賞式。招待状がきた」
おれは例の封筒を上着のポケットから取りだし、振ってみせた。
「ふぅん……でも、オイゲン宛なんだろう」
「すねるなって。おまえの名前もちゃんとあったさ。でなきゃ声かけないよ。エーベルはギムナジウム入学以来、ずっと学年首席だった。あっちでも何かすごいことをやってくれたんだろうさ。エーベルが来て欲しいって言ってるんだ。行ってやろうぜ」




