第9話 豪将軍VSサムライジャパン
昨日の夜、後書き書いて投稿したつもりがボタン押してなかった様です。 なので本日は夜にもう1話投稿予定です。
宜しくお願いします。
「敵司令官が動き出した。マネージャー、皆に即時撤退命令を! 」
『!! イチロー様、何らかを感知されたのですね。了解です。
姫、エルメラ殿、ドーラさん、即時撤退!!敵司令官が出現します。ここからはイチロー様のステージです。』
流石「敏腕マネージャー」 仕事速い。では俺も行こうか。
「ミリアさん、出番なんでちょっと行って来ます。」
「はい、イチロー様。お気をつけて、御武運を!!」
隣に居たミリアさんはそう言うと特濃型のバフ魔法「オールエンハンス」を上掛けしてくれた。ウホッ、体の芯から力が溢れ出てくる。
軽く助走して土魔法のお立ち台の縁でぐっと沈み込んでから蹴り出すと、俺の身体は弾丸の様に戦場に向かって飛び出した。
かなりの飛行スピードが出ているが、姫の飛行と違い完全に物理、ただの大ジャンプである。昨日の戦闘訓練で色々試してみた結果、自分のポテンシャルを把握する事が出来た。神が与えてくれたこの野球専用ボディは想像以上にハイスペックで超人的なパワーとスピードを兼ね備えていたのだ。
加えて先程、情報提供してくれたこちらの女神様からも勇者認定を貰った様で、俺は更なる身体的パワーアップを得ていた。ただ、どの程度パワーアップしたのかはぶっつけ本番実戦での確認になってしまうのだが。
今からやり合う相手は強さの次元が違う。姿さえ見ていないがそれは確信に近い。豪将軍との二つ名から恐らくパワー系なのだろう。そんな相手に大きくパワー負けしていたら勝ち筋など見えはしない。
また、土壇場ではあるが、こちらの女神様よりもう一つ力を授かった。それはサムライマスターのスキルだった。女神様からの申し出に「敏腕マネージャー」さんが選んだスキルだ。
実は昨日の戦闘訓練でもう一つ気付いた事が有る。それは野球スキル縛りの俺の戦闘スタイルの弱点に付いてだ。
「選球眼」で敵の動きを見切り、スローモーション化した時間の中を「盗塁王」で高速移動してバッティングをぶち込む戦闘スタイルなのだが……
バッティングから発生するスキルを発動させるには正確なバッティングフォームで打撃する必要があった。
格下相手なら全く問題無いのだが、相手もスピードが早いと選球眼のスローモーションが相殺されてしまうのだ。
そうなると、正確な構えに入る一瞬の隙が作れずにバッティングの効果が活かせない。
その為、昨日の模擬戦闘でエルメラさんに何度殺されそうになった事か……
エルメラさんの得たジョブ「剣聖」のスキル「超加速」から繰り出される超絶技巧の剣術。 俺の「選球眼」と「盗塁王」の方が僅かに能力的に上だったので、何とか見切れる程のスローの掛かった剣術を「魅惑のバットコントロール(昼)」を使いバットで受けるのが精一杯だった。
だが、それで自分の弱点に気付けたのは大きい。そしてついさっき得たこっちの世界のスキル「サムライマスター」だが「魅惑のバットコントロール(昼)」に合成されて「サムライジャパン」と言う名の新たなスキルへと進化している。
進化したスキル「サムライジャパン」の能力とは……
「バットで「サムライマスター」の技が使える」と言う物だった。
アホなのか?何が何でも野球系スキルに絡めようとするあの野球の神が憎たらしい。普通に勇者やらせてくれたら
俺も魔法や剣術でブイブイ言わせた物を……
だが今更愚痴った所で根本的労働者環境は改善しない。今ある手札で強敵を倒して生き延びるしか無いのだ。そう考えると「サムライジャパン」は有り難い。なんせ俺はバッティングとピッチング以外は武術経験ゼロのバットを振り回すだけの男でしかなかったのだから。
重力に引かれて地面が近付いてきた。飛び出した勢いのまま大地を踏むと最前線に向かって疾走する。そしてそのまま、攻撃しつつ撤退行動に入った姫の元へと向かう。
あっ!?ヤベッ! コイツ早い!「選球眼」と「盗塁王」の超スローモーション世界の中で、ゾワッとする気配が姫に向かって急接近している。
加速した時間の中で2本角の大男が大剣を振り翳して、ゆっくりと後退する姫に襲い掛かる。
「させるかぁー!」
俺は金属バットを召喚し、大男に横間から殴り掛かる。
大男は大剣で俺のバットを受け流すと飛び退って俺から間合いを取った、
超高速空間が解除され突然目の前に現れた俺にマリナ姫が驚きの声を発した。
「イ、イチローさん!?」
「姫、全速でここから離れてミリアさんの所まで下がって下さい!」
「は、はい!」
俺とその向こうに居る敵を見て即座に離脱する姫。いや〜頭良い娘ですわ。一瞬で自分が居ると邪魔になるって分かってる。俺も姫に邪魔だから下がれ!なんて言いたく無いし。その辺、理解早くて助かります。
俺は間合いを取ってから、一瞬たりとも目を離さなかった敵を観察する。
黒いザンバラ髪に額には立派な2本の角。2mを超える巨体に黒銀のゴツい鎧を着込み、身の丈ほどもある大剣を持っている。そしてその身から放たれている闇の闘気が俺の肌をチリチリと刺激して来る。間違いなくコイツが魔王軍四天王の一人だ。選球眼で鑑定してみるが種族ぐらいしか分からない。ちなみに種族はオーガロードだった。
「貴様が召喚された異世界勇者か…… 貴様がここに居るとなると、ゾルゲンを倒したと言う事か。」
以外にも渋いイケボで喋る敵。
「ゾルゲン? もしかしてオークジェネラルの事か?それなら俺がブッ倒して焼いて食ったぞ。」
ちょっと煽ってみた。「平常心」がフルに働いて居るからこその成せる技である。
「クックックッ、そうか……そうか。倒して焼いて食ったか……
見た目では分からん強さの様だな。
俺は魔王軍四天王「豪将軍」ゲパルト ザム バルバロイ。
つまらぬ戦だと思っていたが、最後にこんなサプライズが用意されていたとは。
期待しているぞ。勇者よ。死ぬ前に精々この俺を楽しませてくれ。」
クッ、煽り返された。しかも……コイツ、こんな重装備の鎧と剣であのスピードなのか。ヤベえな。間違いなく俺より強い。
『女神より賜ったイチロー様のパワーアップ分が覚醒すれば……』
ここ迄無言だった「敏腕マネージャー」から申し訳ない感じのコメントが入る。
さっきの姫への攻撃に割り込んだ一撃、自分でも分かる。昨日の模擬戦のバットを振り回していただけとは明らかに違う重さのある一撃だった。
「敏腕マネージャー」さんには正直、感謝しか無い。恐らく「サムライジャパン」のスキルが無ければ、姫を守れたか怪しい所だ。
ここまでの御膳立てをして貰ったのだ。ありとあらゆる手札を使って全身全霊で戦う。任せてくれ。
『イチロー様、御武運を!!』
『おう!!』
俺は軽くバットを素振りしてからゲパルトに向かって先端を向ける。
「俺は…… 4番ピッチャー勇者。 タナカ イチローだ。
貴様ら魔族軍の快進撃も此処で終わりだ。豪将軍だか何だか知らんが、場外までブッ飛ばしてやる!」
「クカカカッ、良いぞ、実に良い。では、これまでのつまらぬ戦で溜まりに溜まった鬱憤を晴らさせて貰おう。
簡単に死んでくれるなよ?異世界からの勇者よ!!」
俺の名乗りにゲパルトが返す。さながら地方大会決勝戦と言える闘いが始まった。
「平常心」のスキルで恐怖心が麻痺した俺は、
召喚されて三日目でボス戦って…… しかも戦うのまだ2回目なんですけど?大丈夫?展開早過ぎない?
そんなどうでも良い事を考えていた。
今回も読んで頂きありがとうございます。面白い、読んだ事無い様なストーリーをと頑張って書いております。
面白かった、先が気になる、と思って頂けたら、ブクマ、星評価、感想お願いいたします。おっさんの励みになりますので。
次回予告!!
遂に激突する豪将軍と野球の勇者! 新たなスキル、サムライジャパンは人族の未来を切り拓けるのか!?
次回 第10話 「俺は君達の為にホームランを打つよ!」
で宜しくどうぞ。




