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「4番、ピッチャー、勇者」  作者: イベリコ・ザ・ブッチャー


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第8話 チームイチロー 少数精鋭のススメ

第8話です。


ドーラのホーミング攻撃は元ネタ分かる方はニヤリとして頂ければ。

 ドーラの目の覚める先制攻撃が炸裂した。まさに先頭打者初球場外ホームランとでも言うべきエゲツない一撃で、最前線の敵は全滅に近い被害に見えた。だがそれでもその屍を踏み超えて新たな敵が現れる。


 まずは王都グランレイアの城壁正門から200mほど離れた地点に着陸してもらい、ドーラから全員が降りた。流石にあの規模の極大魔法の連発はドーラも無理らしく、ごめんね〜と謝られたがとんでもない。インパクト抜群の反撃の狼煙になったと言えるだろう。さあここからは俺達の出番だ。


 地上に降り立ったミリアさんが「行きます!」の声と共に手にした杖で地面をトンと突く。すると俺達の立つ地面が隆起する。20m四方の地面が競り上がり10m程の高台になる。ドーラに乗っていた時程では無いが充分見渡せた。


 屍の山を乗り超えて、新たな敵影が現れた。「敏腕マネージャー」さんの情報にあった身長10m越えの巨人族の攻城戦部隊だろう。種族は何かは分からないがムキムキボディに軽装ぽい鎧を着ている。そんな巨人の大群が、手には巨大な棍棒や槌を持ち地響きを上げて進撃してくる。


 本来なら歩兵部隊で包囲した後、巨人の攻城戦部隊が城壁を破壊。歩兵部隊が内部へと雪崩れ込んで全てを蹂躙するのだろうが、そうはさせない。


 恐怖を煽る演出だったのかどうか分からないが先鋒のオークやオーガの人型魔物部隊は既にドーラの一撃で壊滅している。


「次は私達の番ですね。」


 マリナ姫がそう言うとエルメラさん、ミリアさんが頷く。初陣だしちょっと心配だったので、俺もウォーミングアップとして攻撃に参加すると告げると……


「「「ダメです。」」」


 と三人から笑顔で断られた。





 みんな大丈夫だろうか?エルメラさんは騎士だから実戦経験もあるだろうけど、マリナ姫は王女だしミリアさんに至ってはお付きの侍女だった訳だし……


 なんてさっきまで心配していた俺が居ましたが、始まった戦いは魔王軍に対する「蹂躙」でした。


 「先ずは私が先制します。その間にミリアはバフを。その後、私とエルメラで突撃します。」


 ええっ?突撃すんの? ちょ、大丈夫? 心の中で心配からのツッコミに「敏腕マネージャー」さんが反応する。


『私がイチロー様のスキルを展開して、三人をナビゲート致します。ご安心ください。』


 そうまで言われると……見守るしか無いんですけど。あ、始まるんですね?


 マリナ姫が掌(てのひら)をパァンと合わせた。そのまま地面に手を付いて錬金術を使いそうなモーションだったが、そうでは無かった。


 姫は合わせた手をゆっくりと離すと手と手の間に熱エネルギーに変換された魔力の赤い光が揺らめいてる。姫がはあああっと気合いを入れるとその赤い光に魔力が注がれていく。


 赤からオレンジ、そして白から青へと変化していく光、

それを姫は腰溜めに構えた、あっ、コレ、か○は○波……


「フレイムアロー!!」


 姫の裂帛の気合いから、両手を前に突きだすと火炎魔法フレイムアローが放たれた。


 一般的なファンタジー世界でフレイムアローとかファイヤーボールとか、その辺の名前の魔法だと炎が飛ぶのが定番なんだが、姫の両手から放たれたのは炎の矢ではなく明らかにビームだった。しかもアセチレンバーナーばりの超高温の青い炎のビームだ。正直「フレイムアロー」なんて初級ぽい魔法名でいいのか?と問いたいぐらいだ。


 更には照射時間も5秒程あり.姫は左右へワインダーさせて、巨人の攻城戦部隊を焼き払う。30体ほどいた巨人族の最前列にいた10体程が蒼い炎に飲み込まれて黒焦げになり倒れて行く。


 だが、それでも巨人の歩みは止まらない。消し炭となった同胞を踏み超えて王都へと迫って来る。


 それにしても…… 魔物や魔人とは言え恐怖を感じないのだろうか?ドーラと姫の極大魔法を目の当たりにしてなお、迫り来る姿には狂気さえ感じる。


「強化魔法行きます!!『オールエンハンス』『プロテクション』!」


 ミリアさんが手を開き掲げ上げると、魔力の波動が放出された。すると体の中から活力が湧き出し力が満ちてゆく。おおっ凄い。体感的に攻撃、防御、素早さのパラメータ1.5倍って感じだろうか? それプラス見えないバリア的な結界に守られている。


「それでは……エルメラさん行きますわよ!」


「はい。姫様!お供いたします!」


 エルメラさんはお立ち台から飛び降りると巨人の軍勢へと向かって走り出す。ミリアさんのバフもあって強烈なスピードだ。


「イチローさん、行って参ります。」


こちらを向いたマリナ姫がそう言うとフワリと身体が宙に浮かんだ。その直後猛スピードて飛行してエルメラさんの後を追いかける。


 えっ……ええええっ? それ武○術やん?いや、ドクター的な魔法使いか? いや良いな、あれ。


「飛べるんだ……」


「はい。私もエルメラさんも飛べますよ?ただ魔力消費が激しいので姫様みたいに飛びながら魔法って訳には行きませんが。」


 俺の呟きがミリアさんに拾われた。彼女の方を見て再び絶句する俺。みんな飛べるんだ…… いいなぁ……


 と、ふと気付いたので、隣で待機していたドーラに話掛ける。


「ドーラ、悪いんだけど、敵の航空戦力が出て来るかもしれない。姫より上空で制空権の確保を頼みたいんだ。


『判った〜!まかせて!敏腕さんに教えてもらったホーミングレイザーで撃墜しちゃうから!』


 ホ、ホーミングレイザー!? レーザーじゃなくて?レイザー!? どんな技か見てはいないが、そんなの空中戦最強なんじゃ……? と言うか、ドラゴンがホーミング攻撃って……ちょっとマネージャーさん?


『はい。イチロー様の記憶の中にあったレトロゲームの攻撃パターンがドーラさんと相性抜群でしたので伝授致しました。』


 いやそうじゃなくて…… 俺の記憶のセキュリティどうなってんのよ?もう完全にフリーアクセスですやん?


『その件に関しましては…… スキルクリエイターである神の許可の基、ガイドラインに添いましてギリギリ合法のラインで記憶へアクセスさせて頂いております。』


 ぐっ、神の名を出されると俺も弱い。しかも合法ギリギリって…… まあ俺の記憶のセキュリティと引き換えに、みんなが魔王軍を圧倒出来る程の力を得たのは「敏腕マネージャー」さんのお陰でもあるのだし。


 何だかな〜?と思いつつ、翼を羽ばたかせて離陸して行くドーラーを見送った。それから姫とエルメラさんの動きを目で追う。「選球眼」のお陰か、かなり離れているがバッチリ見えている。


 高速で走るエルメラさんが、先頭の攻城戦部隊の巨人と接敵する。蹴り飛ばそうと降り出した巨人の右足首に斬撃を放ちそのまま駆け抜けるエルメラさん。


 方や巨人は斬撃で足首を斬り飛ばされて、地面へと倒れ込んだ。そこに上空からマリナ姫が魔法を叩き込む。姫の両手掌に現れた火炎の魔法陣から、コレまた青い火球がバルカン砲の様に倒れた巨人達に降り注ぐ。


 強烈な火炎魔法だった。宙を舞い、空中から魔法の連打を浴びせる。その姿はまるで戦闘ヘリの様だ。


 エルメラさんの方も飛ぶ斬撃波攻撃で巨人を次々と仕留めて行く。すれ違い様に輪切にされる巨人、唐竹割りで真っ二つにされる巨人。剣聖のスキルに恥じない鮮やかなな剣技だった。


 見る間に姫とエルメラさんは巨人の攻城戦部隊を喰らい尽くして、その後ろに控える魔獣軍団に襲い掛かる。


 存在しないのか?と思っていたが、航空戦力は魔獣軍団に所属していた様だ。後方からドーラとは違うシルエットの飛竜の軍勢が飛び立ち始めた。


『敵空戦部隊の出現を確認、ワイバーンです。』


 勤めて冷静な口調でマネージャーからナビが入る。かなりの数のワイバーン部隊…… だが地面から飛び立ち、高度を上げて戦闘体制に入る前に青い光に貫かれ、ワイバーンとその騎手が次々と撃墜されていく。どうやら姫の上空で旋回しているドーラからの「ホーミングレイザー」での攻撃の様だ。


 結構な数の航空部隊だったのだろう。無事離陸したワイバーンがドーラに向かい襲い掛かった。連携して吐き出される火球。だがドーラは鮮やかな機動で難なくそれを回避すると脚の鉤爪を一閃する。


 どうやら鉤爪から風の斬撃魔法を放った様だ。1番近かったワイバーンが一瞬で斬り刻まれて堕ちていく。それを見て距離を取った残りのワイバーンに向かってドーラの口から青い光が6本放たれると、一瞬で残るワイバーン部隊が貫かれて撃墜された。


 うわぁ…… ドーラ最早圧倒的。初手の「プロトンブレイザー」も強烈だったが、ホーミングレイザーも斬撃波も一撃必殺レベルの攻撃だ。


 マネージャーから必殺技を伝授されたのは有るにしても、そもそものポテンシャルが高かったのだろう。

 遺跡神殿での初戦で戦闘にならなくて本当に良かった。心からそう思う俺だった。


 そんな気持ちで空の戦場を見ていたドーラが急に上空へと回避行動を取った。その向こうから一つ3メートルはあろうかと言う無数の岩が空を埋め尽くして飛来してくる。


 投石機では無く土属性の極大魔法なのだろう。敵の魔導士部隊が動いた様だ。放物線を描いて迫るそれは角度的にも王都グランレイアの城壁への直撃コースだ。


 こりゃ流石にマズい。スキル「素振り」の衝撃波で全部落とせるか?数が数だけに本気フルパワーじゃないと無理か?


 瞬時にそう考えてた俺に「敏腕マネージャー」からナビが入る。


『ご安心下さい。大賢者ミリア嬢が対処致します。』


 そう告げられてミリアさんの方を見ると目を閉じて精神統一に勤しんでいた。そして眼を見開き杖を掲げる。


「フォートレスシールド!! 展開!!」


 ミリアさんが掲げた杖の前方上空に虹色の六角形の板の様な何かが現れた。そしてそれは一瞬で増殖し、グランレイアを包み込む程のドーム型防御障壁へと成長する。


 空を埋め尽くし飛来する3mの岩津波はミリアさんのフォートレスシールドに次々とぶつかると砕け散って魔力の粒子となって消えていく。


 いやはや鉄壁防御過ぎる。姫にエルメラさんにドーラのアタッカー陣も単騎で大量破壊兵器ばりの攻撃力だが、ミリアさんの拠点防衛能力も桁外れだ。


 何と無く、凄いな〜と思いミリアさんを見て居たら、


「あまり見つめられると、恥ずかしいのですが……」


 と、頬を赤らめて、はにかむミリアさんから恥ずかしいのお言葉が。


 か、可愛い。可愛い過ぎる。


 正直、この世界ユグドラシアを救う為に送り込まれた俺だが…… この世界の事が全く分かっていない。従って、ぶっちゃけ、ぶっちゃけ言うと救世主だ、勇者だ、と言われてもまだピンと来ていない。


 だが、たかが初戦を突破しただけだが、俺が戦って姫やエルメラさん、そしてミリアさんが笑顔になるならそれで良い。そう思わせてくれるだけでのパワーが彼女達にはある。


 モチベーションが上がるなら理由なんてそれで上等だ。

慕ってくれる女の子の為に戦う勇者。単純明快分かりやすい。男ってのはそんな生き物なのだ。


 改めてミリアさんを見つめ、凄いし、可愛いなぁ、でも俺、昨日の晩この娘とあんな事、こんな事しちゃってんだよな〜。と回想に耽っていた。


 ミリアさんが困った顔をしている。恐らく今の俺の表情は間抜けなスケベ顔なんだろう。


 だが突然、ゾワッと来た。コレは!?いよいよ敵のトップが動き出した様だ。魔王軍四天王が一人、邪神の加護を受けた豪将軍 ゲパルド ザム バルバロイ。


 どうやらやっと俺にも打席が回って来た様だ。


 


 
















 今回も読んで頂きありがとうございます。面白い、読んだ事無い様なストーリーをと頑張って書いております。


 面白かった、先が気になる、と思って頂けたら、ブクマ、星評価、感想お願いいたします。おっさんの励みになりますので。


次回予告!!


動き出した敵将!遂に野球の勇者に打順が回る!!果たして、邪視の祝福を受けたガチの魔族に野球は通用するのか!?


次回第9話話 「豪将軍VSサムライジャパン」

で宜しくどうぞ。

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