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転生概念における願望空想論  作者: coll
ニライカナイ編
96/97

表裏一体

はい。また1ヶ月ほど開きました。ですが投稿しました!!しましたよ!!

実は最近リアルがとんでもないことになっておりまして、そのせいで色々できなくなっております...。申し訳ないです。今後もこの状態が続く可能性があります。本当に申し訳ないです。


転生概念豆知識 33

魔法使いは普通の人間とは違う体質ゆえか、普通の人がならない病気になったりすることも多々ある。

「さて...。様子見だね」


停止した世界の中、ソロモンはカラを見つめる。この子はこの世界で動くことができるのか。いや、今すぐには無理かもしれないが、そう成長するのかと。


「...それにしても、懐かしいな...」


自身の作った世界を見て、懐かしむ。20万年と生きた人間が懐かしむということは、相当前なのだろう。


「まぁ思い出話はナシだ。この世界に、ボクの話を聞いてる人なんていないからね...」


そうしてたった1人、無駄な話を続けるソロモン。それはカラがこの世界に適応するのを待っているのだろうか。


「......どうやら、まだその領域じゃないみたいだね...」


しばらく待った後、実力を見誤ったことを悔いて解こうとした時、ソロモンは何か視線を感じた。


(...視線?もしや......いや、この止まっている世界でそんな事...。)


ソロモンはその視線がどこから来るものなのかを魔流感知で探る。しかし誰も動いていない。もしやカラが?とも思ったが、いや気のせいだと心の中で言い、構築魔法を解く。


「な、何が起きた...の?」


「ごめんごめん。実力を見誤っちゃった...。まだこの魔法は君には早かったね...」


困惑しているカラを見て、ソロモンはこれで終わりだと言うように、シフィたちの所へと戻っていく。それもカラの冒険の話を聞きながら。



「──っていうことがあって...」


「それは...すごいね...。...おや、もうここまで来たか」


ソロモンはシフィがハデスとの特訓で、魔力の質が先程とは違い、研ぎ澄まされつつある上に、シフィの魔力量が先程までと比べ、かなり増大している。更にいえば、今にも習得しそうな程。


「復元魔法覚えられるんじゃないかな。それくらい成長してる」


「うん、あれならもう...」


すると、魔法の質が激変する。全く違う魔法に変わったような、そんな感覚。クゥロはそれを直で初めて見る。神聖化の瞬間である。


「なんか変わった...ような気がする...」


カラは魔法を扱えないため、魔力を感じない。何かが変容した雰囲気を肌で感じるのみ。


「あれが神聖化...なんだ......」


「魔法としての本質は同じ、だけど解釈を広げる。それが神聖化」


「魔法はイメージの世界。例え同じ種類の魔法でも、人によって少し異なる。だからボクの扱う記憶魔法、復元魔法も君たちとは少し違う」


クゥロは気になり、ソロモンが手に出している魔法を見つめる。確かに言った通り、少しだけ魔法の質が違う。


「ボクの普段出している魔法はこれだけど...クゥロ、キミの出す魔法はこっちだろう?」


もう片方の手で、ソロモンはクゥロの魔法と全く同じ構造の魔法を出す。


「...え、え?」


カラはどちらも一緒に見えるが、クゥロは困惑する。何故こんなことが可能なのか分かっていない。


「カラ君は魔法が使えないから分からないのも仕方ないね。実はこの2つ少しだけ構造が違うんだ。魔法という物は面白くて、人によって内部構造が少しばかり違う」


「...いや、何でそれをこの場で見て出せるの何で......?」


ソロモンが当たり前のようにクゥロの出す構造の記憶魔法を出しているのを見て、困惑が止まらないクゥロ。


ソロモンのやっていることは異次元すぎてクゥロと同じ感情になるだろう。即座に構造を理解し、完全コピーを可能としている。あまりにも理解不能。


「長年の経験かな...っと、どうやら訓練は終わったようだよ」


ソロモンの答えにクゥロはさらに困惑する中、シフィが3人が話している所へやってくる。


〝習得しました...!!復元魔法!〟


「うんうん!良かった!!これでお母さん戻せるね!!」


カラがそう言うと、シフィはハッとする。そう。シフィの旅の目的はお母さんを治療する何かを獲得すること。そしてそれを手にした今、シフィは旅をする理由がない。


〝シフィ...〟


何かを言い淀むと、顔を俯かせる。カラ達はそんな様子が気になり、少しばかり心配する。


「どうした?」


「どこか具合悪い?」


〝シフィの旅の目的は終わりました...。シフィはこれから一緒にいて良いのでしょうか...〟


少々躊躇いながら聞くシフィ。ずっと一緒に旅をしてきたからか、離れたくないのが目に見えてわかる。


「...え、あ......。もしかして今、帰ろうかどうか悩んでるって感じ?」


カラが優しく聞くと、小さく頷く。そんな様子のシフィを見て、クゥロは微笑むと


「それはシフィが決めないとね。私たちと別れて帰るか、最後まで一緒に行くか。私たちとしては魔王を倒すまで来て欲しいけどもね」


と、優しく撫でながら答える。シフィはクゥロのその言葉を聞き、決意を固める。


「シフィ...。い...行きます......!着いて、行きます...!!」


久々に聞いたシフィの地声。それに一瞬驚くが、喜びを抑えて2人は笑みを浮かべる。


「...んで、ハデス。君はどーすんの」


そんな3人の会話を見つめながら、ソロモンはハデスにそう質問すると、ハデスは体を翻し、その場から離れ始める。


「......ワシはとっくの前に主の座を追放された身。行く場所は何処もない。それにこの場所はワシにとって居心地の良い場所となっている。ここ以外に行くことも無い」


そう言いながら、ハデスは奥へ奥へと消えていく。


「...じゃあ、カラ達も帰る?」


「うん。そうしよう...」


どこかへ消えていくハデスを見送りながら、4人は元来た道を辿る。帰り道は特段何かある訳ではなかった為、普通に帰って来ることに成功した。


だが事件はそこで発生した。


「ただいま...ってどうしたの!?リノア!!」


カラ達は具合の悪そうな様子のリノアを見て、酷く心配する。


「だ、大丈夫です...。わたくしは......何も心配いらない...ので......」


そんなわけがない。その様子はただの体調不良では無いことは素人にも分かるほどであった。ソロモンは大慌てで何が起きているのか調べる。


「リノア、今は黙って安静にした方がいい...」


「魔力出力の不具合か...。しかもただの出力不調じゃない......。これはまさか...」


ソロモンは魔流感知でリノアの具合を探り、事態が芳しくないことを理解する。


「君たち、リノア君が何らかの不調を訴えたことはあった?」


「ティル・ナ・ノーグで一回、変だと訴えたことがある。その時は様々なことが重なった影響で、診てもらうことができんかった。そのせいでこうなってしまったのやもしれん...」


アヴァロンは答える。どうやら体調が悪くなってさほど時間は経っていない様子。タイミングが悪くなくてよかったと安堵する一同。しかし。


「...大まかな原因はわかった。けれど、ボクは光魔法を扱えないから治すことができない...」


「...え、そうなの!?」


ここに来てソロモンは光魔法が扱えないという初出し情報。魔法帝と呼ばれているから全ての魔法を扱えるのだと、一同誤解していた。


「...今はソレを深堀している場合ではない...。どうするソロモン。光魔法を扱えるものなどこの場にはおらんぞ」


「...そうだね......」


ソロモンは顳顬こめかみを人差し指でトントンとして、脳をフル回転させている。かなり焦っている様子。


「その様子、復元魔法でも無理な症状っぽいね」


「うん...。これは病気じゃなくて、突発的な魔力出力の不調なんだ。そしてこれは光魔法特有の魔力出力の不調。光魔法の場合、体内の魔粒子が無秩序状態になってるから、復元魔法では無理なんだよね...」


「さらに、この状態を放置すれば、普通の魔力出力不調とはかけ離れた異常状態へと悪化していく...」


そう話しながら自身の魔力を限りなく0に近い状態にまで抑え込むソロモン。


「...ねぇ、ソロモン。まさかとは思うけどこの状態って魔力による接触が出来なくなったりする?」


クゥロは、突如魔力を抑え込むソロモンを見て、そう推察する。尚もソロモンはリノアを見つめながら


「そうだよ」


と一言だけ答える。


「...やっぱりか」


〝じゃ、じゃあシフィも危ないのでは...〟


「うん、危ない。けれどボクが魔力を抑えてるのはリノア君に触れているから。君たちは抑える必要はないよ」


すると、リノアを背中に乗せ、立ち上がる。


「カラ君。メタトロンを呼んで欲しい」


「あ、うん。分かった。メタトロン?来て?」


カラが空に向けて言うと、唐突にメタトロンは現れる。寝ているのか起きているのか分からない天使だ。


「......なに?」


「お願いメタトロン。ティル・ナ・ノーグに向かう空間を出してくれない?」


相も変わらず眠そうに目を擦りながら現れるメタトロンに、ソロモンはそう提案する。


「ティル・ナ・ノーグ...?」


「もしかしてムシュフシュさんの所へ...?」


「うん。これはムシュフシュしか解決できないからね...」


メタトロンはその言葉に承諾したのか、皆の前に空間が展開される。


「はい、てぃるなのーぐのくーかん」


「...行こうか」


リノアを抱えるソロモンはそのまま空間へ入っていく。カラ達もその後に続いて入っていく。



「ま、まさか早速ティル・ナ・ノーグに戻ってくるとは...」


皆がティル・ナ・ノーグへと入ったのを確認すると、空間を閉じ、またその場から消えるメタトロン。そんなメタトロンに頭を撫でて見送るカラ。


「...え」


いきなり目の前に現れたソロモン達に呆然とするリャナンシー。状況が把握できていない。


「.....え、先生!?」


やっと状況を飲み込めたのか、少し大きめの声でそういうが、喜ぶ間もなかった。次に目の前に飛び込んだのは、ソロモンに背負われたリノアだったからだ。


「え、ど、どうしたんですか?リノアさんが...」


「今は説明してる暇は無いよ。ムシュフシュの所に行く...いや、ムシュフシュをここに呼んできて欲しい」


その真剣な様子のソロモンを見て、リャナンシーは緊急事態だということを察し、即座に動き出し、すぐさま妖精の丘(シー)に知らせる。


「少しの間だけ待っていてください...」


そうして、刻一刻と時は過ぎていく。実際はそこまで経っていないのだろうが、焦燥感によってか、まるで雨で岩が削れてしまうほどの時間が経ったのでは、と思えるほどに長く感じる一同。


「...ソロモン先生。用は......」


ムシュフシュは一瞬で理解した。横たわっているリノアの具合を見て即座に近くによる。


「...ここにいる魔法使いは、皆、この子から離れてほしい」


ムシュフシュの言葉を聞いて、皆、一定距離にまで離れる。


「何があったのですか...?」


「魔力出力不調...それも光魔法のね」


その言葉を聞き、リャナンシーは目を開き驚愕する。ソロモンの弟子だ、聞いたことがあるに決まっている。その状態の事を。




「ま、まさかまたティル・ナ・ノーグに来るとは思いませんでした...」


まぁでも仕方ないよ。リノアの魔力出力の不和だからね。


「光魔法の出力不和は、通常とは全く違い、復元魔法でも治すことはできない...」


同種の魔法を持つ者だけが治せる...。だけど光魔法魔法を扱う者は世界で最も少ない...。


「...なんとも難しいものですね......」

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