複雑な構造
はい。いつもの如く...ですね......。申し訳ない。
転生概念豆知識32
神聖化された魔法は、枠組みとして元々ある魔法に当てはめられるが、使用者によって使い方が大きく変わるため、技だけは固定化されていない。
「復元魔法の神聖化条件は数多くあり、そのうちの一つに主からの許諾が必要とされる。この条件は主がその者を見定め、神聖化に足る者であると判断した者にしか与えられない」
ハデスは手のひらの上で、復元魔法の放つ優しい光を見せながらシフィに語りかける。
「シフィ。お主はアマテラスに認められ、復元魔法への道を辿るに足る者であると認められたということだ」
〝そうなんですね...。シフィはアマテラスさんに認められたという事なんですね......〟
自身の手のひらを見つめるシフィ。しかしシフィはとある疑問が浮かび上がる。
〝あの...ハデスさん〟
「ん?なんだ」
〝シフィは元々、破壊魔法と言う禁忌に限りなく近い魔法でした。それをカラさんが反転させて回復魔法となったのですが...。それでもアマテラスさんからの印を貰っていて大丈夫なのでしょうか...?〟
すると、ハデスは頭の中で話の内容を整理し、自論を立てる。
「先程も言ったように、主は何時如何なる時もその者の動向を記し、見定めている。だからお前が禁忌魔法を持っていようが、お前自体には危険性や危害を加える行為を見受けられなかったんだろうな。そしてこれはワシの推測だが...。お前純粋な人類ではないな」
〝...えっ?〟
その瞬間。辺りの空気が一変し、シフィの方を見つめる。
「人ではない...?クゥロに続いてシフィも...?」
「まさかシフィちゃんまで...?」
しかし今までそういった思い当たる節が全く無く、またシフィには人外特有の人とは違う特徴が存在しない為、疑問のみが脳を支配する。それはその場にいるクゥロさえもそうなってしまうくらいに。
〝シ、シフィが...人じゃない......ですか...。ですが、生まれてからずっとリュグシーラでシフィが人じゃないという記憶は...〟
「なら言い方を変えよう。君の両親の名前は?」
〝両親...ですか?えっと...。お母さんはウィグノで、お父さんは...〟
「お父さんは...?」
言えない。いや、分からない。シフィは自身の父親について何も知らない。その事実を8年経って理解したシフィは段々と謎の焦燥感を抱き始める。
「シフィのお父さん...。そういえばリュグシーラではウィグノさんだけだった...」
「数日だけだけど会ったことは無いし、シフィから話も聞いたことないね...」
カラ達はシフィとの出会いを思い返しながら、シフィの父の存在の有無についてを語る。
〝じゃあシフィもクゥロさんと同じく、本当のお母さんとお父さんがいるのですか...?〟
「可能性はあるね」
そんな話をしている時、ハデスはシフィを見て引っかかる何かがある様な表情をする。
「...どうしたんですか?」
そんな表情を見て疑問に思うカラ。しかし何も言わず、復元魔法の指導へと戻る。
「何かあったのかな...?」
「さぁ...」
すると、ソロモンはシフィを見つめ、微笑みを浮かべる。
「あの感じ、復元魔法になれるね」
「確かに、魔法の質が変わった...」
「うん。やっぱり生死を司るだけある...。教え方が上手い」
ソロモンの言う通り、シフィの魔法の緻密さは教えられる前と比べて段違いに変化しており、その変化はカラやクゥロにも分かるほどであった。
「たった数時間で神聖化できる物なの?」
「あー、うん。復元魔法の神聖化は他の魔法と比べて簡単にしてある。ただ条件が厳重にされているってだけで」
「まぁ、たしかに主の許諾が必要な上に会得難易度が高かったらちょっと絶望しそうだな...」
魔法を極めきったこのソロモンという人は、そこまで配慮が行き届いているのかと驚愕するクゥロ。
「そうだ。暇だし君の実力を見せてくれないかな?カラ君」
「え、カラの...?」
突然の申し出に困惑するカラ。しかしソロモンはやる気満々の様子で、準備をすでに開始している。
「...2人とも、やるならここから離れてやってね」
クゥロはまるでお母さんが注意するような声色で2人にそう告げると、ソロモンはニカッと笑ってカラを連れ、クゥロ達に少し見える程度の距離まで離れる。
「いやぁ...実は君の持つ謎の力をこの目で見てみたかったんだよね」
「この変換の力ですか?」
「君達は力を変換と名付けたのか」
ソロモンのその表情は研究者のソレで、ソロモンが扱ってきた魔法とは全く違う異質の力に興味津々な様子。
「それじゃまず様子見程度に」
そんな言葉を笑顔で言った直後、カラの周りに数多の魔法陣が展開される。
「い、いきなり...!?」
咄嗟に、空いている上へと逃げるがソロモンが不敵な笑みを浮かべ、カラの後ろに魔法陣を展開する。
「しまっ...!!」
気づいた時にはもう遅く。直撃。ソロモンは空中へ逃げるようわざと上だけを空けていたのだ。
「不意打ちを食らったら咄嗟に反対方向へ逃げる。判断は間違ってないけど、もっと周りを見るべきだ。特にこの先はその状況判断能力が必要な場面が増えるはずだよ」
「...修行か何かなの?これ.....」
(それにしても、最近成長した影響か前みたいに力を出し切れない...。まだ慣れていないせいか...?)
傷だらけながら、戦闘態勢へと入るカラ。依然として笑顔のままのソロモン。そんなソロモンを見て、一矢報いようと力を解放する。
「これでも、笑っていられるかな...ソロモン」
「......へぇ。これが」
見とれている間に、刹那すら長く感じる僅かな瞬間でソロモンの顔目掛けて殴り掛かるが、それすらもソロモンは避けていく。
「なっ...!?」
「もっと来な?ボクを本気にさせてよ」
変わらず笑顔でカラの攻撃を対応するソロモン。やはり自分より圧倒的に強いのだとカラは理解する。避けながらも魔法を放つソロモンと、ソロモンの攻撃を避けながら攻撃するカラ。
「この調子だとボクに攻撃が当たることなく終わっちゃうよ?」
(確かにこのままだと俺の攻撃が当たらない...なら...!)
ソロモンが放った魔法を手で受け止め、瞬時に別エネルギーへと変換してソロモンへと打ち返す。
「っと...!!へぇ!それが君の力か!」
カラの力の本質を自身の目で見れたことと、やはり規格外の力であることを理解し、大興奮するソロモン。
「ソロモンが攻撃するなら、こっちはソレをソロモンに返すだけだ」
「...いいね。そう来なくっちゃ」
ソロモンの能力解放の段階が一つ上がったのを肌で感じた。先程と比べ魔力量が大きくなっているように見えるからだ。
「...すげぇ重圧......っ」
その魔力量を目の前で感じ、少し気圧されるカラ。すると、今まで髪で隠れていた黄色に光る右目に宿っている魔法陣がソロモンの放つ風圧によって露になる。
「さて...。ここからが普通の戦いだよ。カラ君」
そう告げた瞬間だった。ソロモンは先程見せた核融合反応を発生させ、再びとてつもない爆発を起こす。しかし、カラも負けじとその超爆発を自身の体内に閉じ込めようとする。
「...っはは!マジかお前!!」
「...ぐっ!!」
そうして、なんとか抑え込むのに成功するも、肩で息をするカラ。その姿はあからさまに疲れている様子。
「...なんか体の中で蠢いてる感がある......」
事実、カラの腹部が太陽の表面にあるフレアのように光っており、服越しでも見えるほどだった。するとソロモンは時でも停めたかのようにカラに近づき、満面の笑みでカラに攻撃を仕掛ける。
「記憶魔法:虚構律憶図」
そんなソロモンの攻撃を相殺するように、カラは自身の体内にある核爆発を吐き出す。その膨大な力のぶつかりによって生じた爆発は果てしなく、辺り1面を消し飛ばすほどであった。
「......うっ...。なんかゲロ吐いたみたいな気分...」
そんな感覚に思わず口を抑えるカラ。その結果か、顔色はあまり優れていない様子。しかし、ただそれだけな様子のカラにソロモンはさらに強い好奇心を抱く。
「大気魔法:アトモスバニッシュ」
(ッ...!!息がっ...!)
ソロモンの魔法によって、カラの周りの気圧が極限までに減り、完全な真空状態となる。その結果、息が一切できなくなり、その場で悶え苦しむ。
「こうすると君ならどうなる...。カラ君...!」
ソロモンのその表情は研究者のそれだった。まるでカラを実験対象として見ているかのような。彼女はどうしても欲には逆らえなかった。
「......っ...!!」
段々と顔色が変化していく。血色の良い色だった色から、どんどんと紫と白のまだら模様に変化していく。抵抗する力が弱まり始め、体が膨張し始めたその時だった。何かを喋ったのをが見えた瞬間、カラはソロモンの所へ一瞬で移動し、攻撃をしかけ始める。
「なっ...!?」
突然の出来事だったが、何とか避けるソロモン。だがその表情は依然驚愕。
「...はぁっ...!はぁっ......!」
「嘘でしょ...。あの秒数真空にいたら本来死ぬはず」
「...ギ、ギリギリ適応出来ただけ...だ......」
大量の汗をかき、肩で息をしながらソロモンに返答するカラ。
「適応...。へぇ適応ねぇ...!」
(それにしてもさっきの大気魔法...。くらえばエネルギー変換もできないし、相性が悪い魔法すぎる...)
「どれほど君の適応が通じるか見たいから、少しだけ本気出すね...?」
ニヤケながら言うと、ソロモンの右目の幾何学魔法陣が強く光り始める。次の瞬間、その魔法陣の周りに大小を問わない複数個の魔法陣が展開されていく。
「な、なんだアレ...」
「神聖・構築魔法:私の世界、私の原理」
何かが展開されると、世界が一瞬、止まったようなそんな感覚がした。カラに長い長い時間を感じさせる。それはまるで時間停止させられたような。
「魔法体系におけるボクの最強の技の1つ。『私の世界、私の原理』。この技の対象者はボクが作った空間に強制的に入れられ、ボクの決めた法則でしか動くことが出来ない。だから君は今何も出来ないんだよ」
そうやってソロモンは自身が展開した停止した世界の中、全てが完全停止しているカラに話しかけながら、今発動している技についてを語る。
「正直、この技を使う日が再び来るとは思わなかった。それほどに君は強い」
「シフィが純粋な人じゃないって信じられないんだけど」
...まぁ、確かに見た目は人間だし、何か特異なところがあるかって言うと無いよね.....
「一体ハデスには何が見えたの...?」
さぁ...それに関しては私にも分からないです
「え、そうなの?」
はい。私この件は関係ないので
「...ふ〜ん?そうなんだ?」
...なんですかその目、本当ですよ!




