おやすみの唄。
これで抱えていた物が最後になります。
昨日。夢を見た。
眠る夢。眠る私を見ながら。
誰かが暖かく撫でて居てくれたと言う実感と言うか感触と言えば良いのか。
何かの匂い。ううん。多分空気なのだろうと思う。
私の頭を緩やかに撫で上げながら、私にそっと言葉を掛けつつ。
その人の顔は穏やかで。その人の顔はふんわりしてて。その人の顔はどこか律した様な何かを感じさせてくれて。
だけど、それで居て本能的に自分がその人に甘えても良いのだと。
理解出来る何かを。空気を伝って漂わせて来る何か匂いを運んで来て。
その匂いは別に良い匂いと言う訳でも無いのに、どこか昔きっとその中に居たのじゃないかと。記憶して居る何か。
そう……多分。無意識の領域の部分できっと。分かって居る事なのだろうと思う。
深々と。私はその事に思考を割かれつつも。
残って居る部分で。その人を記憶する様に視て居る。
その人が何かを確認する様に私に語り掛けて来る。
良く眠って居るね。君はまだ。目覚めないのかな? そろそろ時間だよ。
ほら。起きる時間でしょ?
夢の中なのにその人は、律儀にも私を起す為の言葉を掛けてくれて居る。
君は。今を生きて居るかな? 生きようとしてくれてるのかな?
僕はもう、君と一緒には居る事は出来ないけれど。
こうして、こうして。君の奥底で。
起きてしまえば忘れてしまうだろう。そんな所から。忘れずにきちんと。
見守ってるよ。君が泣いて居る時も。苦しんで居る時も。辛い時も悲しい時も。
必ず君の中に居て。支えてあげるよ。
でも、きっと。絶対に。君が起きる時には。
こうして語り掛けて居る事は。忘れて居るのだろうね?
……でも。それで。良いんだと感じるし。それで良いと思うから。
だから、ここに悩みも苦しみも痛さも。廃棄して。
置いて行って、日々を噛み締めて歩くんだよ?
僕の分もさ、そうして欲しい。
君が生きて来た時間の中で、置いて行って捨てて行った成れの果ての様な僕だけれど。
でも、嫌じゃないんだよ? だって、君は僕を本当は忘れてくれて無いんだもの。
だから。……だから。だからさ。
ここの時間の中で、余分な物を捨てて行って。置いて行って。
今の時を生きる為に。綻びが出て居る部分を、繕って行けば良いと思うよ。
だから、ゆっくりとして行きなさい。
そして。そしてね、忘れなさい。
ここで会う時だけで。今迄の事を思い出して。見定めて。
今を生きる為の肥やしの様に。
経験として積み重ねて物事を見計らって行ける様に。
そうして僕の。そう、僕達の積み重なった。
君が取りこぼして行って削って行った何かを確認して。
今の己を築くと良いよ。
僕は……。ううん。
……さて。そろそろ。
そろそろ。時間なのかな?
起きる時間だよ? 君?
さぁ……起きなさい。
起きなさい。何時迄も。此処に居ては駄目なのだから。
行ってらっしゃい。
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誰かに。やさしく。本当に。暖かく。
包まれて居た様な気がする。
目覚ましの音が鳴って、こうして起きたけど。
その誰かは。夢の中で視ていたと言えば良いのか。見させられてたと言えば良いのか。分からないけれど。
とてもとても。静かで。深々と、包まれて居た気がする。
その中身はもう思い出せないけれど。
私にはきっと大切で。大事なモノで。暖かい。
忘れちゃ行けない何かだったのだろうと。感じさせられる。
何度も何度も思い返そうとしても。
やっぱり思い出せないけれど。
でも、私にはきっと。目には見えないのだろうけれど。
私に心の糧をくれる。汚しては成らない、守るべき何かから。
伝えてくれて居たのだろうと思う。
……はぁ。時間かな。
さて、手早く身支度を済ませて。出掛けないと。
……。
……ねぇ?
ねぇ? 思い出せないけれど。何かを伝えてくれたあなた?
ありがとう。何時も何時も、私は忘れてしまうのだろうけれど。
どこかで。見守ってくれてるんだよね?
きっとね。きっと。
またあなたに甘えてしまうと思いますが。
これからもよろしく。
夢の中のあなた? それまでは、ゆっくりと休んで居てね。
じゃぁ。行ってきます。
そしてまた何時か、そうして何かを受け取らせてくれる日迄……。
「 」
ヤフーメッセンジャーで話してたりして居た人から頂いた題材です。
自分自身で浮かべる取り上げる題材と、他者から頂く題材とでは出来上がる物が違うのがホント不思議でした。頂いて遊んでいた当時の話ですが。
では、新しい話が出来上がりましたら次回にお会いしましょう。さようなら。




