表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世の闇魔法  作者: なまけもの先生
冒険の始まり編
9/40

9話 黒翼将ザイモンとの戦い

不定期更新なので、ブックマークお願いします!

 ザイモンは五十代半ば。背が高く、痩せぎすで骨が浮く。肌は乾いた大地のように黒ずみ、首から頬へひびが走る。


 土色の髪を後ろで束ね、泥で固まったまま。濁った琥珀の瞳が熱だけを宿す。笑えば口角が不自然に吊り上がり、乾いた息が鳴る。


 「まさかザイモン様の邪魔をするのが貴様だとはなぁ!冗談だろう?喰い千切ってやろうかぁぁぁ⁉︎」


 ノクトは沈黙した。


「さっきの戦いを見ていたが、どうやら本当に魔法が使えないみたいだなぁ!


魔法も使わずにザイモン様に勝てるわけがないだろぉぉぉ⁉︎絞め殺してやろうかぁぁぁ⁉︎」


 ザイモンの大声とノクトの沈黙が著しいコントラストを作る。


「ライナ。護衛だけ頼む。余りこの戦闘に深入りしすぎるな。」


 ライナは全てを了解した。自分の目の前にいる相手は、これまで相手にしてきた者とはレベルが違う。


 まだ相手の魔法も見ていないのに、ザイモンから漂う異様な殺気で全身が震えていた。


「大丈夫。心配するな。俺が皆を守るから。だから自分を守ることだけを今は考えて。」


 ライナはノクトの優しい言葉に感謝した。私はいったい何に怯えているのか。


 人を助ける。物怖じしない。それがアタシのモットーじゃん!


「任せてノクト。アタシ必ずノクトをサポートするからね!」



 ザイモンの笑い声が響く。彼が笑う様子はまるで狂人だった。


 体がねじれる。顔がゆがむ。その気味の悪い笑い声が響き続けた。


「ザイモン様も舐められたものだなぁ⁉︎殺してやるぅ。殺してやるよぉ!


 どうせ貴様、しょせんは黒翼将だって舐めてるんだろう⁉︎でもなぁ、俺の実力は六魔星に勝るとも劣らないぜぇ⁉︎


 女は殺すぜぇ。ノクトー!貴様は生け捕りにして魔王様に進呈だぁ!ならばザイモン様も出世するもんなぁ⁉︎」



 ライナはザイモンの会話に違和感を抱いた。ザイモンとノクトは面識がある。


 いったいノクトは何者なのか。でも今はそのことを考えずに、目の前のことだけに集中しようと決めた。


 ザイモンの雰囲気がガラッと変わる。ひしひしと伝わる魔力。


「ライナくるぞ!かまえろ!」


土穿血命どせんけつめい地底蠱王ちていこおう


 次の瞬間。地が震えた。


 ザイモンが口を裂けるほどに笑い、両腕を広げる。外套の裾が風に裂け、深紅の内布が血のように翻った。


 大地が悲鳴を上げる。足元の土が泡立ち、ひび割れの中から黒い液体が噴き出した。


それは血でも泥でもなく、地そのものの怨念だった。


 ザイモンの肌がひび割れ、内側から無数の節足が突き破る。骨が軋み、背骨が波打ち、肉が蠢く。

 

 人間の輪郭は崩れ、甲殻が音を立てて生まれ、脚が地面を掴んだ。


 「見ろォ……この姿こそ、大地の真理だァ!」

 

 声はもはや人ではなかった。低く、震え、空気を噛み砕くような咆哮。


 外套の背が裂け、そこから漆黒の脚が百本、千本と溢れ出す。巨体が地を這う。うねる体節は黒鉄のような光沢を放った。


 大地は泣き、風は逃げた。その中心には巨大なムカデに変わり果てたザイモンがいた。


「これはやばすぎじゃないかな?」


 思わずライナが苦笑いをした。ザイモンの魔法が予想を超えていた。


「殺してヤルゥ。殺すゾォ、殺すゾォ!」


 巨大化したザイモンがノクトたちに近づく。


ノクトは冷静だった。勝てる勝てないじゃない。自分には守らないといけないものがある。だからもうやるしかない。


 ノクトは剣を構え、目の前の巨躯を睨みつけた。

 

 巨大なムカデと化したザイモンは、もはや人の形を完全に捨てていた。

 

 節の一つひとつが不気味に蠢き、全身からは土と血の臭いが混じった瘴気が立ちのぼる。


「ハハハハハァ!!剣士ヨォ!!貴様ノ足場ハ、俺ノ体ダァ!!」


 その声が響いた瞬間、大地が爆ぜた。

 

 足元から無数の脚が伸び、ノクトの脚を絡め取ろうとする。


 ノクトは跳躍して回避する。

 

 だが次の瞬間、地中から飛び出した黒い節足が背後を襲った。

 

 反射的に剣で弾く――だが、衝撃は重く、腕に鈍い痛みが走る。


 「クッ……!」


 ノクトは後方に転がり、間合いを取る。だがザイモンの攻撃は止まらない。無限の節足がノクトに襲いかかった。


紅蓮獅霊召喚ぐれんしれいしょうかん焔獅子乱舞ほむらじしらんぶ‼︎」


 ライナの拳が燃え上がり、紅蓮の魔法陣が地を走る。地表が赤く焼け、空気が熱で歪む。


 瞬間、火花が円を描き、地を這うように炎が駆け抜けた。そこから立ち昇るのは、鬣を燃やす紅蓮の獅子。


 咆哮と共に、燃え立つ炎の獣がザイモンに突進する。


 ムカデと化したザイモンの巨体を、炎が呑み込んだ。轟音。閃光。獅子がザイモンに喰らい付く。しかし巨体はピクリともしない。


「ハハハハァァァ!!ヌルイナァァァァァ!!」


 煙の中から、笑い声が響く。炎の中で、黒い巨影が蠢いた。


 なんとザイモンの体表が、黒鉄のように硬化していたのだ。無数の脚がライナを襲う。ライナはその衝撃に吹っ飛ばされた。


 ノクトの剣がザイモンを斬る。しかし黒鎧は硬い。ノクトは連続で斬撃を振るう。すると黒鉛が少し欠けた。


 ザイモンが牙を向ける。ノクトは一瞬距離を取った。


 ザイモンの背から、巨大な岩の棘が噴き出した。それが矢のようにノクトへと降り注ぐ。


 ノクトは剣術でそれらを捌いた。一本の棘だけ彼の頬をかすった。薄い血が流れる。


 ザイモンが地を叩く。大地が爆ぜ、土の波が津波のように押し寄せる。


 ノクトはそれを剣で受け止めるが、爆風の衝撃で後ろに下がる。


 「どうしたタァ⁉︎ノクトォォォ。魔法は使えないノカァ?魔法を使わないとザイモン様ニハァ勝てなイゾォ?」


 剣が閃く。風が裂けた。ザイモンの突き出した脚が、瞬間、半ばで止まる。


 「ナニ……?」


 遅れて斬撃の光が走り、脚が崩れ落ちる。その切り口は鏡のように滑らかだった。


今日もありがとうございました!


ポイントつけて貰えたら最高です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ