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救世の闇魔法  作者: なまけもの先生
ネフェルナ一族のライナ編

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66/68

65話 会場の人気者

いつも読んで頂きありがとうございます!

できればネットや口コミで当作品を広めて頂ければ、物凄く嬉しいです!

ライナはその後もとんとん拍子で勝ち進んだ。


 二回戦。相手は両腕の長い痩身の男だった。間合いの外から拳を伸ばし、足払いまで絡めてくる技巧派だったが、ライナは一度も真正面から打ち合わない。半歩ずつ軸を外し、最後は脇腹へ鋭い回し蹴りを叩き込んで沈めた。


 三回戦。今度は獣みたいに突進してくる若い戦士。ライナは相手の勢いを見切り、肩口を掴んで体を流す。そのまま足を払って土の上に転がし、首筋すれすれで踵を止めた。勝負は一瞬だった。


 四回戦。巨体の相手が組みつこうとした瞬間、ライナは低く潜り込み、膝への蹴りで体勢を崩す。浮いた顎へもう一撃。男はその場に崩れ落ちた。


 試合を重ねるごとに、会場の熱はどんどん上がっていく。


「また勝ったぞ!」


「なんなんだあの仮面の女!」


「小さいのに強すぎるだろ!」


 最初は色物扱いだった。だが今や誰も笑わない。観客たちの目は完全に変わっていた。あの小柄な仮面の少女が、本気で優勝候補だと理解し始めていたのだ。


 ノクトは観客席から小さく息を吐く。


「やっぱりな。ライナは体術だけでも十分に強い。」


 エリシアも腕を組んだまま頷く。


「ええ。あっという間に会場の人気者ね。」


 ノエルは胸に手を当てて、ほっとしたように微笑んだ。


「よかった……でも、まだ油断できないね。」


 リングの上では、ライナが次の試合へ向けて静かに歩き出していた。


 仮面の奥の瞳は、もう迷っていない。


 勝つ。

 最後まで勝ち残って、レオニルに真実を聞き出す。そのためにライナは、土埃の舞う闘技場を、ひたすら前へ進んでいった。そして5戦目も圧勝。次はとうとう準決勝だった。


 もう一方の山では、レオニルもまた危なげなく勝ち進んでいた。


 市長という立場に似合わず、その戦い方は実戦的だった。無駄がない。相手の攻撃を正面から受けず、半歩だけずらして急所を打つ。拳も蹴りも派手じゃない。だが一発一発が的確で、気づけば相手の体勢が崩れ、そのまま倒れている。


 二回戦では大柄な男の突進を身を翻してかわし、顎への一撃で沈めた。

 三回戦では足技の使い手を相手に、逆に足首を払って勝負を決める。

 四回戦では組みついてきた相手の力を利用して投げ飛ばし、そのまま首元へ拳を止めた。


 観客たちはそのたびに歓声を上げた。


「やっぱりレオニル様は強ぇ!」


「市長は伊達じゃねえな!」


「優勝はレオニルで決まりだ!」


 ライナが“正体不明の仮面の少女”として熱狂を集めるなら、レオニルはこの街の英雄として期待を背負っていた。


 こうして二人は、互いに一度も顔を合わせないまま、順調に勝ち上がっていった。


 そしてライナの準決勝。準決勝の相手は、ここまでの荒くれ者とは格が違った。


 背丈はライナの倍近くあるように見える巨漢。腕も脚も岩みたいに太く、腹ですら分厚い鎧みたいだった。顔中に走る古傷が、この男が何度も修羅場を潜ってきたことを物語っている。


 開始の鐘が鳴る。


 巨漢はこれまでの相手みたいに突っ込んではこなかった。両腕を高く構え、重い足取りでじりじりと間合いを詰めてくる。ライナは右へ回る。だが男は焦らず正面を切らせない。


「うまいね」とライナが小さく呟く。


 次の瞬間、巨漢の拳が飛んだ。


 速くはない。だが重い。風圧だけで仮面が揺れる。ライナは紙一重でかわすが、続く肘打ちがすぐ横をぎ払った。避けても避けても、相手の圧が消えない。土俵際へ押し込まれていく感覚があった。


 観客席が沸く。


「いいぞ!!」


「そのまま押し潰せ!!」


 巨漢が低く踏み込み、今度は体ごとぶつかってきた。ライナは受けずに横へ流れる。だが肩がわずかに触れただけで、体がぐらりと揺れた。


(重い……!)


 ライナは一度距離を取る。ここまで真正面からの圧が強い相手は、この大会でも初めてだった。


 巨漢は鼻を鳴らす。


「チビのくせによく避けるな。」


 ライナは答えない。仮面の奥で、静かに息を整えた。


 (次で決めよう!)


 男がまた前へ出る。今度は左の大振り。ライナはあえて半歩だけ遅らせてかわした。すぐに膝蹴りが来る。そこも読んでいた。身体を捻りながら外へ流れ、巨漢の脇腹へ蹴りを打ち込む。


 ――だが、浅い。


 筋肉の壁に阻まれ、男は止まらない。逆に振り向きざまの裏拳が飛んできた。


 ドッ!!


 ライナの肩をかすめる。小柄な体が弾かれ、土の上を滑った。


 会場がどよめいた。


「初めて当てたぞ!」


「仮面の女、危ない!」


 ライナはすぐに立ち上がる。肩が熱い。少し痺れる。でもまだ目は全然疲れていない。


 巨漢は息を荒くしていた。ライナを捕まえきれないことに苛立ち始めている。


(ここだな!)


 男が怒りのままに踏み込んでくる。拳、肘、肩――重さに任せた連打。ライナはそれを全部、最低限の動きでかわし続けた。


 一発。二発。三発。


 そして四発目。大きく振りかぶった右。


 ライナの瞳が細くなる。


「――もらった!」


 ライナは懐へ潜り込んだ。拳の下を抜け、巨漢の支え足の外側へ回る。そこへ低い蹴りを叩き込んだ。


 ガクン、と巨体が傾く。


 同時にライナは地面を蹴り、浮いた顎めがけて跳ね上がるように足を振り抜いた。


 ――ドゴッ!!


 さっきまでの一蹴りとは違う。積み重ねた駆け引きの末の、渾身の一撃。


 巨漢の頭が跳ね上がり、身体が二歩、三歩とよろめく。そして最後には、地響きを立てて土の上へ倒れ込んだ。


 静寂のあと、歓声が爆発する。


「うおおおおおお!!」


「勝った!!」


「また仮面の女だ!!」


 ライナは荒い息を吐きながら、倒れた男の前へ歩く。


「……大丈夫?」


 巨漢は意識が朦朧としたまま、かすかに笑った。


「……強ぇな、お前……」


 ライナは少しだけ肩をすくめた。


「ありがとう。そっちもすごく強かったよ」


 こうしてライナは、少しだけ時間のかかった激戦を制し――とうとう決勝へ駒を進めたのだった。


そして決勝戦。ライナの相手はレオニルだった。2人が入場すると、会場にはとてつもない歓声が上がった。お互いが睨み合う。レオニルは本当にこの小柄な女性が決勝戦の相手なのか疑問に思った。ライナは久しぶりの再会に少し動揺する気持ちを落ち着かせようと深呼吸した。そしてとうとう覇拳闘宴ハケントウエン最後の戦いが始まる。開始の鐘が鳴った。

今日も読んで頂きありがとうございました!

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