5話 ミレオの訓練
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ミレオはへとへとになっていた。ノクトとライナによる厳しい訓練が数日と続いたからだ。
今日もミレオはライナに魔法の発動の仕方を習っている。
「うーん……頭で考えすぎ! 火ってのはさ、出すぞ!って気持ちが一番大事なんだよ!」
「えっ、気持ち? 魔力の流れとか詠唱のタイミングとかじゃないの?」
「そーいうの後なの!! まずは心にボッて火をつけるの! 胸の奥が熱くなる感じ分かる? その熱を手に集めて外に押し出すの!」
「熱……?押し出す……?」
「うん、そうそう!でも力んだら駄目だよ!燃えろ!って叫ぶより、燃えて!ってお願いする方が上手くいくからね!」
「お願いする……?」
「そう! 火はね、仲良くしてくれた人のところにしか来てくれないんだよ。怒らせたら、逆に爆発しちゃうんだから!」
「魔法の発動ってこんなに難しいんだ……」
「あははっ! じゃあ感じるしかないねっ!」
ノクトはライナの超感覚的指導を見てられなくなって口出しをした。
「……火を出したいなら、まず火を作ろうとしたら駄目だ。」
「え? 作らないの?」
「火は結果だ。原因は魔力の流れと温度の上昇。まず胸のあたりに流れるマナを感じるんだ。体の中心に熱を集めるように意識する。」
「……感じるかも。少し、温かいや。」
「いい調子だ。そのまま息を吐きながら、熱を手の先に送ってみるんだ。勢いじゃなく、静かに。川の流れを細く、強くするイメージだ。」
「……! 指先が熱い……!」
「それが火の素だ。あとは空気に触れさせる。空気は魔力に反応して燃える。強く押し出せば炎になる。
でも焦らず。少しずつでいい。」
「こうやって、……! 出た……!」
「悪くない。でも安定していないかな。炎は感情じゃなくて意志で制御するんだ。ミレオが燃やしたいものを明確に想わないと。」
「燃やしたいもの……僕は、あの魔王軍を……!」
「その想いでいいよ。でも覚えていて欲しい。火は敵を焼くためのものじゃない。道を照らすために使うんだ。」
「……はい!」
ライナがノクトの指導に感心する。
「ノクトって何属性の魔法を使うの?」
ノクトは一瞬黙ったが、すぐに口を開いた。
「俺にマナは流れていないよ。だから剣術を極めたんだ。」
「魔法が使えない割には教え方が上手すぎるような……」
「魔法を使えないからこそ伝えられることがあるんだ!ミレオ!次は体術だ!ライナが専門家だから教えて貰ったらいい!」
こうして次はライナによる体術の授業が始まった。
「ほらミレオ、足が遅いっ! 体で覚えるって言ったでしょー!」
地の砂が舞う。ライナの拳が空を切り、すぐ目の前で止まった。その風圧だけでミレオの髪が揺れる。
「い、今の見えなかった……!」
「そりゃそうでしょ!考えながら動くからだよ!」
ライナは腰に手を当てて笑う。陽の光を浴びた赤い髪が、揺れるたびに火花みたいにきらめいた。
「武道はね、相手を見るんじゃなくて動きを感じるの。目より先に体が動くようになったら一人前!」
「感覚で……?」
「そっ! あたしの超得意分野!」
ライナは軽く跳び、片足で地面を蹴ると、空気を裂くように拳を繰り出した。
火花が一瞬散る。拳にわずかに炎が宿っている。
「火の魔力はね、力じゃなくて勢いに乗せるの。拳のスピードと呼吸が合った瞬間にボッて燃える!」
ノクトはライナの体術授業がいつの間にか近距離魔法の発動授業になっていることに気がついた。
ミレオはおそるおそる真似をした。拳を突き出すが、空を切るだけ。
「うーん、まだ硬い! 体全体で前に流れるイメージ!」
ライナはミレオの背中に手を当て、軽く押した。
「ほら、重心を前に。怖がらなくていいよ! 転んでもアタシが受け止めるからね!」
「……うん!」
ミレオがもう一度踏み込む。その瞬間、小さな火花が拳の先で弾けた。
「おっ、今の! 今の感じ! 凄いよのミレオ!」
ライナが笑顔で親指を立てる。ミレオは息を切らしながら、でも嬉しそうに笑った。
「さっきの教え方凄く分かりやすかった!
「えっ? そう? 嬉しい〜! でもね、アタシ教科書とか嫌いだから、理屈はノクトに聞いてね!」
ノクトは感心していた。ミレオにはかなり魔法使いの素質があると感じたからだ。
三人が訓練をしていると、ゼルマンが近寄ってきた。
「今日も遅い時間までお疲れ様です。夕食の準備ができましたよ。」
「やったぁ!ゼルマンさんの作るご飯は物凄く美味しいんだよね!」
ライナが目をキラキラと輝かせる。彼らは食事を取ることにした。
焚き火の火がパチパチと音を立てていた。夜風が吹き抜ける中、ゼルマンは黙々と鍋をかき回している。
木のスプーンを持つ手は無駄がなく、慣れた動きだった。
鍋の中では、ほのかに甘い香りが立ち上る。
乾燥肉と野菜を刻み、香草をひとつまみ入れるだけの簡単な煮込み。それなのに、不思議と豊かな匂いが辺りを包んだ。
「……すごい匂い。これ、本当にあの干し肉から?」
ライナが目を輝かせる。
「焦らず、弱火で旨味を引き出せば肉は生き返るんです。」
ゼルマンは小さく笑い、木のスプーンで味を確かめた。
「……もう少し塩を。」
焚き火の光が彼の顔を照らした。
「ゼルマンさんのご飯って、なんだか落ち着くんですよね。」
ノクトがぽつりと言う。
「味が……優しいというか。」
皆がゼルマンの作る料理を楽しみに待ち侘びていた。




