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救世の闇魔法  作者: なまけもの先生
打倒ヴァルグラン編

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43話 暁の愉快な仲間たち

いつも読んで頂きありがとうございます!

 革命前日。ノクトたちはリュカに連れられて、暁の拠点をいくつも回っていた。

 ――レンデル。王都から少し離れた、運河と倉庫と工房が絡み合う街。人の流れが多く、荷も多い。だからこそ、紛れる影も多い。


「今日はね、僕が暁ってどんな奴らかちゃんと見せてあげる日!」


 リュカが胸を張る。背丈は小さいのに、足取りだけはやたら速い。路地を曲がるたびに景色が変わり、匂いも音も変わる。


 最初に訪れたのはユリウスがいる暁の主要拠点だった。


 地下へ降りると、湿った空気の中に鉄と油の匂いが混じる。壁や床は地属性の補強が丁寧で、崩れそうな気配がない。

 中央には石の卓。広げられた地図に赤と黒の印。巡回、詰所、徴税、通報の癖まで――書き込みが細かすぎて、ぞっとするほど正確だった。


 静かだ。武器も防具も、手入れが行き届きすぎている。ここは戦場の前に置く頭脳だった。


「ここがご存じの通りユリウスの巣。ね? 空気が違うでしょ」


 リュカが囁く。


 ユリウスは石卓の前で、いつも通り微動だにせず地図を見ていた。顔を上げると、目だけで来訪者を数える。


「革命の前日だっていうのに随分と楽しそうだな。」


ユリウスが微笑んで口を開いた。


「うん。皆に暁のメンバーを覚えて貰わないとね。」


 ユリウスの周りにいた数人が、無言で頷く。誰も声を荒げない。必要な動きだけする。


 その中の一人、背の低い女性が前へ出た。ユリウスが彼女の紹介をする。


「ミラ。情報係。彼女には魔王軍のことを色々と探って貰っている。」


「初めまして。」とミラは最低限の言葉だけで挨拶を済ました。


 もう一人、手が煤だらけの青年が腕を上げた。


「ガストン。工房班。武器の修理などを担当して貰っている。」


 ガストンが指差した奥には、山みたいな金属片と木材が分類されて積まれている。廃材じゃない。全部、兵器の素材だ。


 ノエルが小さく息を呑んだ。


「こんなに……すごい準備だね。」


「準備しないと魔王軍は止まらないからさ。」


ガストンの目は決意に燃えていた。


 「何だか前に行ったもう一つのアジトとは全然雰囲気が違うね。そっちのほうなんて、酔っ払いだらけでお酒の匂いがプンプンしてたよ。」


ライナの発言でユリウスがクスッと笑った。


「確かにレオンのところはいつでもどんちゃん騒ぎだな。だからその雰囲気を苦手とする者がこっちに集まっているんだよ。」


ユリウス率いるアジトは常に静寂を保っていた。誰もが無駄な口を開かない。


「俺たちは明日の革命に向けて着々と準備を進めている。明日は共に頑張ろう。君たち二人の打倒ヴァルグランを祈っているよ。」


 ノクトらは次の場所に向かった。2つ目はレオン率いる拠点。そこには前と同じ酒と怒りの匂いが漂っていた。


 階段を降りる前から、もう酒の匂いが鼻を殴る。扉を開けた瞬間、雑音がぶつかってきた。笑い声、怒号、剣を研ぐ音、瓶が転がる音。生きてる音が多すぎる。


 中心には、あの丸テーブル。粗い木の天板に貼られた地図。石の駒。赤い印、黒い印、金の線。


 壁際には武器がずらり。盗品のような規格違いの剣や槍、斧。包帯、羊皮紙、魔導書の束。


 戦場と学舎と診療所を、無理やり詰め込んだみたいな空間。


「おーい! ザルベックの援軍だぞ!」


 リュカが叫ぶと、何人もが振り向いた。


 酔っ払いのマルクが、瓶を掲げてニヤッとする。


「明日死ぬなら今日飲む。明日勝つなら今日も飲む! ……どっちにしても飲む!」


「飲みすぎ」


 エリシアが即ツッコミを入れると、周りが笑った。


 レオンは、相変わらず不敵な笑みで立っていた。灰金の髪、琥珀の瞳。傷の走る頬。焼け焦げた腕に雷の紋。


 そこに立つだけで空気がピリつくのに、彼は酒臭さまで武器にしてる。


「紹介? やる必要あるか?」


「ある! レオンのところは突っ込んで死ぬ奴が多いから!」


「はは。確かにそうだな。」


 レオンはノクトを見て、肩を竦める。


「こっちは前線班。腹の括り方だけは一流だ。代わりに、繊細な作戦は苦手だ。分担ってやつだな」


 レオンの後ろから、大柄の男が出てきた。顔に古い傷、拳が岩みたいにごつい。


「ブノワ。殴り込み担当。魔法は使えん。彼が殴れば倒れるだろう。」


「めちゃくちゃだな」とノクトが呟いたら、ブノワは豪快に笑った。


「とりあえず殴りに行くんだ。殴りに行ける奴がいなきゃ、誰も前へ進めん。まずは一発かますところから戦いは始まるんだな!」


 その言葉は乱暴で、でも嘘じゃなかった。


 ここは怒りが燃料で、恐怖が酒で流される場所だ。だからみんなが折れない。


クロードという背の高いすらっとした青年がノクトらに歩み寄ってくる。彼も酒を飲んでいるらしく頬を少し赤らめていた。


「今日の夜はここで明日の暁革命の前夜祭なんだ!良かったら君たちもおいでよ!」


「分かった。俺たちみんなで出席するよ。いいよな、みんな?」


「前夜祭か!何だか楽しそうだね!」


「うん!楽しみだよ。」


ライナもノエルも前夜祭の出席に大賛成だった。


 ノクトらはリュカに連れられてあと二つアジトを巡った。そして二つのアジト共に酒臭く、ユリウスがいるアジトだけ秩序が保たれているようだった。


 ノクトらはさんざん酔っ払いに絡まれた。でもどうしてか憎めない人たちばかりだった。そしてノクトらは個性的な暁メンバーを何人も紹介して貰って、何だか凄く暁に溶け込めたような気がしたのだった。

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