29話 ミレオの夢
第一章のラストです!一章の最終話まで読んで頂きありがとうございました!
ゼルマンはふと気がつけば花畑の中にいた。周辺には色とりどりの花以外には何も見当たらない。ゼルマンはとにかく歩くことにした。一歩。一歩。それでも花畑は果てしなく続いていく。そして彼は再び歩く。一歩。一歩。ゼルマンが自らの足を動かす度に、自分が生き抜いた一生の記憶が順々に浮かび上がってきた。そしてゼルマンは自らの人生を顧みた。
ゼルマンはバルザック王を想った。彼の人生はバルザック王そのものだったからだ。ゼルマンは最後の最後までバルザック王との約束を守った。バルザック王が残したもの。それは王子ミレオ。ゼルマンはミレオを守り抜いた。でもまだ王子の人生は長い。どうか自分がいなくてもご無事でいて下さい。波乱の世の中を生き抜いて下さい。私の愛する王子よ。どうかお幸せに‥‥‥
ゼルマンはミレオのことを考えて涙を流した。どうかミレオ様が幸せになれる世の中でありますように。ゼルマンはそんなことばかり考えていると、ふと背後に人の気配を感じた。
ゼルマンが振り返ると、背後にいたのはバルザック王だった。隣には妻。その間にはミレオの弟もいた。ゼルマンは大変に驚いた。
「バルザック王様!どうしてこんなところにいらっしゃるんですか⁉︎」
ゼルマンが王に質問をすると、バルザック王は静かにゼルマンの両肩に手を置いた。
「ゼルマン。ずっと見ていたよ。本当にありがとう。」
ゼルマンはその言葉だけで自分の人生に悔いがないことを実感できた。
「ゼルマン。最後までミレオを守ってくれてありがとう。この恩は返したくても返せないよ。本当にありがとう。」
バルザック王は深々と頭を下げた。それに続いてバルザック王の妻と子も頭を下げる。
ゼルマンはこの光景を目にできたことだけで、自らの人生に誇りを抱くことができた。バルザック王がいなくなってから本当に辛かった。一人でミレオを守り抜かないといけないという覚悟。決心。彼は死に物狂いでミレオを守り抜いた。そして今日その日々が報われたのだった。
「バルザック王様。どうか頭を上げてください。」
彼らは一緒に花畑を歩いた。そして思い出を語り合う。会話は尽きなかった。皆で過去を懐かしむと、まるで一時間が一分のように感じられる。
「私達もゼルマンも魔王軍に殺されてしまったが、決して不幸な人生であったわけではない。これほどにも語り合える思い出があるのだからな。」
「ええ。さようでございますバルザック王様。」
「私はまだあの日を忘れてないよ。妻が初めての子であるミレオを出産したとき。あの喜びの瞬間だけで、私の人生は幸福と言えるだろう。例え私が魔王軍にどれほど残酷な殺され方をされていたとしてもだ。あの喜びの瞬間は私の人生において何事にもまさっているのだ。」
ゼルマンも自ずからの過去を顧みた。するとどんな不幸でさえもちっぽけに感じられるような、大きすぎる喜びの瞬間というものは確かに存在していた。
「私は幸せだったよ。ゼルマン。幸せすぎる人生だった。ザルベックの王として生きられた日々を誇りに思う。」
二人が会話をしていると、遠くのほうにザルベックが見えた。そしてどことなく心に響き渡るような声が聞こえてくる。それはミレオの声。国葬での演説だった。
バルザック王は成長した我が子を見て静かに涙を流した。そしてミレオの言葉を聞いて、心の底からの言葉を返した。
「頑張れよ。ミレオ。頑張れ。頑張るんだぞ。」
ここにいる皆が同じ気持ちだった。そしてザルベックと我が子の未来に夢と希望を託した。
「頑張れ。ミレオ。いつだって見ているからな。ずっと愛している。だから、頑張るんだぞ。」
「頑張って下さいミレオ様。私はこれからもずっとミレオ様の味方です。どんだけ時が経とうとミレオ様のことを愛しています。応援していますよ。頑張って下さい。ずっと見守っていますからね。」
彼らは花畑の中へ消えていったのだった。
これから時間をかけて、一章を編集していくつもりです!もっと読みやすいようにしたいと思います!
これからもよろしくお願いします!




