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魔王殺しノクト  作者: 藤原 光希
雪精王国セレナリア編

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113/141

113話 王都を襲う剣士

いつもお読み頂きありがとうございます!

 エリシアたちは王宮を飛び出し、雪の積もる道を走った。


 進むにつれて、剣がぶつかる音や騎士たちの叫び声が大きくなっていく。


 逃げてくる人々の間を抜け、三人は戦いの起きている大通りへたどり着いた。


 そこには傷ついた騎士たちが何人も倒れていた。


 その先から黒い鎧を身につけた魔王兵の大群が、王宮へ向かって進んでくる。


「ひどい……」


 ノエルが小さくつぶやいた。


 エリシアは聖剣を抜き、魔王兵たちを睨んだ。


「ここから先へは行かせないわ」


 三人に気づいた魔王兵たちが、次々と武器を構えた。


「邪魔をする者は殺せ!」


 何十人もの魔王兵がいっせいに走ってくる。


「ライナは右をお願い!私は左を止めるわ!」


「分かった!」


「ノエルは傷ついた騎士たちをお願い!」


「うん!二人も気をつけて!」


 エリシアとライナが同時に走り出した。


「光華一閃(こうかいっせん)!」


 エリシアが聖剣を横に振る。


 まぶしい光が飛んでいき、先頭にいた魔王兵たちをまとめて吹き飛ばした。


 その右側では、ライナが敵の間へ飛び込んでいた。


「烈焔轟拳(れつえんごうけん)!」


 炎をまとった拳が、魔王兵の鎧に突き刺さる。


 大きな爆発が起こり、周りにいた兵士たちまで雪の上を転がっていった。


 だが、後ろからすぐに新たな魔王兵が押し寄せてくる。


「まだ来るよ!」


 ライナが叫んだ直後、魔王兵たちの後ろから無数の矢が放たれた。


「二人とも、僕の後ろへ!」


 ノエルが両手を前へかざす。


「氷晶障壁(ひょうしょうしょうへき)!」


 三人の前に大きな氷の壁が現れ、飛んできた矢を受け止めた。


「今のうちに!」


「ありがとう、ノエル!」


 エリシアとライナは氷の壁の左右から飛び出し、再び魔王兵へ向かっていった。


 それからも、三人は何度も敵を押し返した。


 エリシアが先頭に立って道を開き、ライナが近づいてくる敵を吹き飛ばす。


 ノエルは二人を守りながら、倒れている騎士たちを一人ずつ治していった。


 戦いが始まってから、かなりの時間がたっていた。


 三人の息は乱れ、服は雪と泥で汚れている。エリシアとライナの頬にも、小さな傷が増えていた。


 それでも、魔王兵は大通りを埋め尽くしたままだった。


「これじゃ、きりがないわ……」


 エリシアは魔王兵を斬りながら、軍の奥へ目を向けた。


 ノクトと別れてから、もうかなりの時間がたっている。


 今ごろは、セラフィーヌのいるところへ着いているかもしれない。


 そのとき、魔王兵たちの間から一人の剣士が歩いてきた。


 淡い銀色の髪。


 その毛先では、翡翠色の炎が静かに揺れている。


 手にした剣からは、赤い血が雪の上へ落ちていた。


「まさか……」


 エリシアが足を止める。


 剣士はエリシアの姿を見つけると、いつもと変わらない笑顔を浮かべた。


「お久しぶりですね、エリシアさん」


 エリシアは聖剣を強く握り直した。


「エル=シェイド……」


 王都を襲っていた剣士は、新たな六魔星となったエルだった。

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