113話 王都を襲う剣士
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エリシアたちは王宮を飛び出し、雪の積もる道を走った。
進むにつれて、剣がぶつかる音や騎士たちの叫び声が大きくなっていく。
逃げてくる人々の間を抜け、三人は戦いの起きている大通りへたどり着いた。
そこには傷ついた騎士たちが何人も倒れていた。
その先から黒い鎧を身につけた魔王兵の大群が、王宮へ向かって進んでくる。
「ひどい……」
ノエルが小さくつぶやいた。
エリシアは聖剣を抜き、魔王兵たちを睨んだ。
「ここから先へは行かせないわ」
三人に気づいた魔王兵たちが、次々と武器を構えた。
「邪魔をする者は殺せ!」
何十人もの魔王兵がいっせいに走ってくる。
「ライナは右をお願い!私は左を止めるわ!」
「分かった!」
「ノエルは傷ついた騎士たちをお願い!」
「うん!二人も気をつけて!」
エリシアとライナが同時に走り出した。
「光華一閃!」
エリシアが聖剣を横に振る。
まぶしい光が飛んでいき、先頭にいた魔王兵たちをまとめて吹き飛ばした。
その右側では、ライナが敵の間へ飛び込んでいた。
「烈焔轟拳!」
炎をまとった拳が、魔王兵の鎧に突き刺さる。
大きな爆発が起こり、周りにいた兵士たちまで雪の上を転がっていった。
だが、後ろからすぐに新たな魔王兵が押し寄せてくる。
「まだ来るよ!」
ライナが叫んだ直後、魔王兵たちの後ろから無数の矢が放たれた。
「二人とも、僕の後ろへ!」
ノエルが両手を前へかざす。
「氷晶障壁!」
三人の前に大きな氷の壁が現れ、飛んできた矢を受け止めた。
「今のうちに!」
「ありがとう、ノエル!」
エリシアとライナは氷の壁の左右から飛び出し、再び魔王兵へ向かっていった。
それからも、三人は何度も敵を押し返した。
エリシアが先頭に立って道を開き、ライナが近づいてくる敵を吹き飛ばす。
ノエルは二人を守りながら、倒れている騎士たちを一人ずつ治していった。
戦いが始まってから、かなりの時間がたっていた。
三人の息は乱れ、服は雪と泥で汚れている。エリシアとライナの頬にも、小さな傷が増えていた。
それでも、魔王兵は大通りを埋め尽くしたままだった。
「これじゃ、きりがないわ……」
エリシアは魔王兵を斬りながら、軍の奥へ目を向けた。
ノクトと別れてから、もうかなりの時間がたっている。
今ごろは、セラフィーヌのいるところへ着いているかもしれない。
そのとき、魔王兵たちの間から一人の剣士が歩いてきた。
淡い銀色の髪。
その毛先では、翡翠色の炎が静かに揺れている。
手にした剣からは、赤い血が雪の上へ落ちていた。
「まさか……」
エリシアが足を止める。
剣士はエリシアの姿を見つけると、いつもと変わらない笑顔を浮かべた。
「お久しぶりですね、エリシアさん」
エリシアは聖剣を強く握り直した。
「エル=シェイド……」
王都を襲っていた剣士は、新たな六魔星となったエルだった。
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