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召喚の書と共に異世界生活  作者: くるみ


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7.聖獣_クー・シー ※別視点




「ーーー……いたぞ!あそこだ!逃すな、追え!」


…油断した。よもや聖獣である我を、捕まえて売り捌こうとする奴らがいるとは思いもしなかった。


聖獣_クー・シー

獣人が治る王国_オクトナシアで、神の使いとして(あが)められている犬型の精霊。

本来、オクトナシア南部の森に棲息しており、滅多に人里に姿を現すことはないが、オクトナシア王家の祖先と交わした契約により、次代の継承者が決まった時のみ、加護を与える為に姿を現す。


今回も、オクトナシア王太子が決まったことにより、加護を与えるため姿を現したのだが、森へ帰るところを密猟者に付けられていたらしく、無防備なところを襲われたのだった。


風魔法に(たけ)ていたため、何とか聖地へ逃げ込むことができたのだが、魔力を使い果たしてしまったせいで魔力枯渇を起こしてしまい、そのまま倒れ込んでしまった。


幸い、密猟者達は聖地に入り込めるほどの魔力は持っていないらしく、追手は途切れたのだが、魔力枯渇を起こしてしまった以上、魔力を分け与えて貰えなければこのまま消滅してしまう。


…我はもう、ここまでということか。

…だが、奴らの手に渡るぐらいならば、聖地の一部となるのも本望だ。思い残すこともあるまい…。


もう助からないだろうと、重い瞼を閉じ、じっと消滅の時を待つ。

しばらくすると、身体に何かが触れる感覚がした。

そのまま持ち上げられ、どこかへ運ばれていることがわかる。


抵抗どころか、目を開けることもできない。

どの道もう長くは持たないだろう。たとえ密猟者に捕らえられたとしても、精霊は消滅と共に、魂も身体も全てが魔素に還る。あの者達が持ち帰れるものなど何も無い。


進んでいる内に違和感を覚え始めた。

密猟者に捕えられたのであれば、聖地から離れていくはず…だが、先ほどからあたりの魔素が段々濃くなっていくのが感じられた。

まるで、聖地の中心部に段々と近づいているかのようだ。


何が起きている…?我を連れ去ったのは、一体何者だというのだ。


聖地の中心部にかなり近づいたところで、ようやく止まった感じがした。

しばらくすると、何やら暖かい魔力が身体に流れ込んできたのがわかった。


何だこの魔力は、こんなにも純粋な魔力は感じたことがない。


少し、消滅までの時が長引いたような気がした。

だがこの量の魔力では、入り込んだ魔力と消散していく魔力が拮抗するだけで、消滅を遅らせることしかできない。



魔力を送ってくれている者が何者なのかはわからないが、我を救おうとしているであろう事は伝わってきた。

消滅する運命は変わらないが、入り込んできた魔力のおかげで、身体の苦しみがいくらか和らいだ。


あのまま消滅してしまっていたら、きっと密猟者どもへの恨みが残ったまま消えることになっていただろう。

だが今は、どこの誰かもわからないが、我を救おうと努力する者がいた。最後にそれを知ることができたのなら、悪くない終わりだと言えるものだ。


受けた施しを返す機会はもう無いかもしれないが、叶うものならば恩人の顔を一目見てから消滅したい…そう思い必死に瞼を動かそうとしたその時、

流れてくる魔力がいきなり数倍にも膨れ上がった。


急な出来事に思考が停止した。

その間にも、流れてくる膨大な量の魔力により、身体中が満たされていく。


それから10分程度で、魔力は全盛期まで回復することができた。先程まであんなにも重かった瞼もすんなり開いた。

状況が理解できず、意味もなく辺りを見回す。

すると、1人の人間が目に留まった。


まだ年若い人間の娘が、風の精霊をたくさん引き連れて近づいてくる。

直感でこの者が我を救ったのだろうと理解した。

だがそれよりも、衝撃を受けたのは、我とこの者の間に契約のような繋がりを感じたことだ。


詳しいことは我にもわからないが、魔力が枯渇した状態から、短期間で完全に満たされるまで魔力が送られたということは、今我を満たす魔力は全て目の前の娘のものである。

元々従魔契約の一つに、産まれたての魔獣に契約者の魔力を流し、まだ定着していない魔力を完全に書き換えることによって強制的に結ぶ方法がある。


今回、治療の一環で魔力の書き換えに似たことが行われたのだろう。

そのため、意図せずとはいえ従魔契約が出来てしまったのだ。

驚きはしたが、元はと言えばこの者がいなければ消滅していたのだ、不満などはない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「…*****、******?****、*****?」


…先ほどから、ご主人は何やらこちらに話しかけてきているようだ。しかし、ご主人の話されている言葉は、我の知る言語ではないため理解ができない。


何を言っているかは理解できないが、従魔となった以上、とりあえずご主人のそばに付き従う。


しばらくすると諦めたのか、ご主人はこちらに話しかけるのをやめた。


…かと思ったら、いきなり目の前で服を脱ぎ出した。


な、なんと、まだ年若い娘が白昼堂々と脱ぐとは何事か!


ご主人を諌めようと声をかけるが、当然こちらの言葉も通じない。

大きなカゴのようなものに入って、身体を清め始めたようだ。


諦めて少し離れたところで、うつ伏せになって目を覆う。…我は何も見ていないぞ。


しばらく物音が落ち着くまで、そのまま前脚で目を覆ってやり過ごした…








本文だけでは分かりづらいかと思いましたので、補足させていただきます!


ヒールを使ったのはシルフなのに、クー・シーが主人公と契約された理由は、召喚の書から召喚された子らは、主人公の力を分け与えられた眷属という扱いになるため、シルフ達の魔力も元を辿れば主人公のものだからです!

 

ちなみにお風呂については、キーは女性の声、シフル達も見た目は女性型、クー・シーは犬型だし、トレントは木なので、主人公としても特に裸を見られて恥ずかしいと思う相手はいないみたいです!




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