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召喚の書と共に異世界生活  作者: くるみ


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8.ミルク



ようやく家に着いた。


あのあと、ついでなのでミルクのことも洗っておいた。あ、ミルクっていうのはあの白いもふもふの事。

あんな草むらの中に倒れていたのに、不思議と思ったより汚れていなかった。何でだろう…?


それはともかく、動き出したミルクは、サモエドにそっくりな見た目をしていて本当に可愛い。

どこに行くにも着いてくるので、今は一緒にベッドで横になっている。


布団も毛布もないけど、ミルクがいるだけで寝心地が全然違う。もふもふ最高。

昨日寝不足だったこともあり、まだまだ外は明るいけど、もふもふに埋もれながら段々夢の世界へと誘われる…。







『ーーー……さま。…じさま。…あるじ様。』


「…っは。…え、なに?今誰か呼んだ…?」


気持ちよく寝ていたところ、いきなりキーの声が頭に響いた。


『あるじ様。お休みのところ申し訳ありません。先ほど、トレはちより火石と思われるものを見つけたとの知らせがあったようです。また、シルフの1人シルエが、かなり離れたところに人間の村と思われる場所を発見したようです。』


「え!?村!?…やっぱりこの世界にも人間っていたんだね…。安易に近づくのは危険だと思うから、シルエにはもう少し様子を見てもらうよう伝えてくれない?」


『かしこまりました。では、もう一方の火石ですが、そちらでしたら日が暮れるまでに往復できる距離にあります。まだ召喚することはできませんが、火石は貴重な熱源となりますので、持っておいて損はないかと思います。』


「うーん。そうなんだけど、もう今日結構ヘトヘトなんだよね…。」


なんせ足に履いているのは仕事用のパンプスなので、昨日から散々歩いたせいで、大分靴擦れができていたのだ。

さすがにこの足でまた歩くのはきついものがある…だがミルクがいるとはいえ、夜は冷えるので熱源は欲しい。


「…どうしようかな…」


火石を取りに行くか行かないか迷っていたところ、トレよんが枝で何かを作りながら近づいてきた。

出来上がったのは枝で作った椅子のようなものだった。


ここに乗れば良い、とでも言ってるように、椅子に座らせようとしてくる。

多分、これで運んであげるって言う意味だろうけど…


いや、流石に1メートルもないちびっこトレントに、成人女性の中でも大きめな170cmある自分を運ばせるのは、心が痛むから無理だよ!


トレさんが、トレよんの"椅子"に座らせようと、枝で身体を引っ張ってくる。それに対して断固拒否するために、必死に地面を踏み締める。


しばらく悶着していると、一部始終を見ていたミルクが、トコトコとやってきて、目の前でうつ伏せになった。


…これは、乗れってことなのかな?


ミルクを見て、トレントたちを見る。

トレントたちは体長1mほどのミニマムサイズ。対してミルクは、見た目はサモエドだけど、立ち上がったら私より大きいくらいのサイズ感。


うん。これは後者を選ぶよねそりゃあ。

しかも絶対木の椅子より、もふもふな背中の方が座り心地良さそう。


そう思い、ミルクの背中に跨った。

トレよんも、それをみてようやく諦めたのか、枝を元の形に戻し始めた。







は、速い!ミルク走るのめちゃくちゃ速い!!

…いやそれよりも、トレよんは何でその速さで移動できるの!?


必死にミルクの首に捕まりながら、前方に目をやる。

そこには、ちっちゃなトレントが、ものすごい勢いで進んでいく姿が映っていた。

もはや足?根?は動きが速すぎて目視できなくなっている。折れてしまわないか心配だ…。


しばらく風に煽られていると、さすがに腕が限界に近づいたので一度止まってもらおうとしたところ、シルアが私の考えを察したようで、風の流れを操作して空気抵抗を無くしてくれた。

おかげさまで、猛スピードで森の中を駆け抜けているにも関わらず、景色を堪能する余裕までできた。

…シルアさまさまだね。


走り出してから小一時間ほどして、ようやく目的地に辿り着いた。

ミルクの足でも1時間近くかかる道のりを、私が歩いてこようものなら5時間は最低でもかかるだろう。


…どうやったらこれが"日が暮れるまでに往復できる距離"になるんだよ。全力疾走しても間に合わんわ!


…もしかしてキー、最初からトレよんに運んでもらう想定だったの…?





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