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召喚の書と共に異世界生活  作者: くるみ


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5.新しい仲間



「…うぅ〜ん…」


猛烈な喉の渇きで目が覚める。昨日からまともに水を飲んでいないので、仕方がないことかもしれない。


とりあえずペネの実を食べて、喉の渇きを誤魔化す。

もう目が覚めちゃったし、差し込んでくる光からして夜は明けているみたいだから、このまま起きてしまおう。


…木の板にそのまま寝たようなものだから当たり前なんだけど、身体中バキバキで痛い…マットレス欲しい。


身体をボキボキ鳴らしながら外へ出る。

残っているトレントはみんな、家の近くに根を張って休憩しているようだ。

家から出ると、みんな一斉にこちらへ駆け寄ってきた。…何だか犬っぽくて可愛い。


『おはようございます、あるじ様。』


「おはよー」


『早速ですが、昨晩探索に出ていたトレろくが、水源を見つけたようでございます。いかがなさいますか?』


「え!本当に!?早く行こ早く行こ!もう喉乾きすぎて死にそうだよ〜!」


起きて早々だけど、これを聞いては居ても立っても居られなかった。

トレいちにお願いして、場所まで案内してもらう。

水源はそこそこ離れた場所にあるみたいで、大体3、4kmぐらい歩いてようやく着いた。


そこにあったのは、直径5mぐらいの小さめの泉。

ユノの木からそこそこ離れているので、泉の周りにはパラパラと植物も生えている。

他のトレント達はひと足先に着いていたみたいで、みんな泉に根を付けて水分補給しているみたい。

木だもんね、水分大事だよね。みんなお疲れ様。


昨日からほぼ水分を摂っていないうえ、さらに3km以上歩き続けたので、身体はもう限界に近い。

急いで泉に駆け寄り、水をガブ飲みする。


「ーー…ぷはぁ、生き返るぅ〜!」


これほどまでに水が美味しく感じたことはないだろう。

乾き切った身体に、水が染み渡る。


「…できればお風呂にも入りたいけど…着替えがないのよね。洗っても乾くまでに時間かかっちゃうし…」


『それでしたらあるじ様、昨日トレントの召喚数が10体に達したため、いくつかの召喚が新たに開放されております。今のあるじ様に必要な能力を持つ者もいるようでございますよ。』


「今の私が必要としている能力…?体を綺麗にしてくれる魔法とか?」


漫画とかによく出てくる、クリーンのような魔法でもあるのかなと、少し期待しながら召喚の書を開いた。

そういえば、この召喚の書、使わない時は別空間に収納されて、使いたい時に思い浮かべれば、手元に現れる仕様になっている。持ち運ばなくて良いから便利。


召喚の書を開くと、トレント以外に2枚、新しく顕現しているカードがあった。




《シルフ》


属性:風   種族:精霊    寿命:1年


スキル:風魔法、ヒール


風属性の低位精霊。風に乗って踊るのが大好きで、いつも自由気ままに飛び回っている。滅多に姿を現さない。


召喚素材:

クタの実 / 1個

魔法水 / 10滴


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


《サラマンダー》


属性:火   種族:魔物   寿命:1年


スキル:火魔法


火属性の魔物。常に燃え続けているため、体温がかなり高い。火山地帯に棲息している。


召喚素材:

火石 / 5個

ユノの木(葉)/10枚




おぉ!シルフにサラマンダー、なんかいかにもファンタジーっぽい!

想像していたものではなかったけど、どちらもサバイバル生活には欠かせないようなスキルを持っていた。これはすぐにでも召喚したいところだけど…


問題は召喚素材をどうやって集めるかだ。

とりあえずタップして詳細を確認してみる。



《クタの実》

クタの木が魔素を吸い込んで実らせたもの。真っ黒で果物のような見た目をしているが、実は甘しょっぱいタレのような味。



魔法水(まほうすい)

魔素が濃い場所でよく見かける。魔素を取り込んだことにより、魔力を帯びた水のことを指す。ポーションの素材となることが多い。



火石(ひせき)

火属性の魔力を取り込んだ石。通常の石と同じ形だが、火石は色が赤く、温度が高い。魔素が濃い場所や、温度が高い場所でよく見かける。



「う〜ん、どれもすぐに集まりそうにない感じだなぁ。能力的に、できれば先にシルフを召喚したいところだけど…この魔法水っていうのが全く見当もつかないんだよね。魔力を帯びているかなんて、どうやって判断すればいいんだ…。」


悩んでいてもしょうがないので、とりあえず集められるものを集めようと気持ち切り替える。


トレント達にクタの実、魔法水、火石の詳細を伝えて、またまた総動員で探してもらう。今回もトレよんが伝令役で残っている。


じっと待っていてもつまらないので、私もトレよんを連れて探索を開始した。

植物はパラパラと生えているだが、動物にはまだ出会っていない。どのくらい離れれば動物が棲息できるのかも知りたいので、ユノの木がある方角の反対へ進んでみる。





あれから30分ぐらいは歩いているのだが、今だに動物は見当たらない。


植物はだんだんと増えているんだけどな…





さらに10分ほど進んだ、その時。


ガザガサガサ


!!

…今、草むらから何か物音が聞こえたような気がする!!


音がしたほうへ慎重に近寄る。

草をかき分けようと手を伸ばしたが、その前にトレよんが枝でかき分けてくれた。…なんて気が利く子なんだ、ありがとう。


草むらの中を覗き込んでみると…そこにいたのは、全身真っ白な毛に覆われた、犬のような動物だった。


白い犬のような動物は、横向きで草むらに倒れ込んでいる。そーっと手を伸ばして触れてみると、小刻みに震えているのが伝わってきた。


「大丈夫?どこか痛いの?…どうしよう、下手に動かさない方がいいのかな…」


苦しそうで痛ましい。何とか助けてあげられないのだろうか…


そういえば、先ほど見たシルフのスキルに"ヒール"というのがあった。私の想像が間違っていなければ、これは治療に使うスキルのはず…


ただ、召喚に要する素材が何も集まっていない…どうしよう…


どうすれば良いかと手をこまねいていたら、トレよんが近寄ってきた。


「…どうしたの?」


トレよんが何か伝えようと枝をそわそわ動かしているのだが、残念ながら全く理解できない。


『あるじ様。トレよんによると、トレさんがクタの実と思わしきものを見つけたそうでございます。』


トレよんの今の動きでよくわかったね…さすがはキー。


「…でも、魔法水が見つかってないんだよね…」


『あるじ様。確証はございませんが、先ほどの泉、トレント達が探した経路を考えると、恐らく最もユノの木に近い水源だと思われます。ユノの木に近いほど空気中の摩素濃度も高いため、泉の水が魔法水である確率はかなり高いのではないかと愚考いたします。』


「…そっか!言われてみれば、魔法水の詳細に、"魔素の濃い場所でよく見かける"って書いてあったもんね!」


泉の周辺は動物が棲息できないぐらい魔素が濃い。可能性は全然あるはずだ。


「とりあえず、トレさんにはクタの実をいくつか取ったら、一度泉まで戻るように伝えてもらってもいい?」


トレよんが頷くように枝を前に振った。


「それでトレよん、前にペネの実を取った時みたいに、また枝をカゴみたいな形に変えられたりする?」


すぐにトレよんが枝でカゴを作ってくれた。


草むらに入って、そっと白い犬のような動物を抱き上げる。中型犬くらいの大きさなので、そこそこ重い…落とさないよう慎重に運び、トレよんの枝で作ったカゴに乗せた。


「大丈夫?トレよん、重くない?」


トレよんが大丈夫だと言うように、前へ歩き出した。


泉が本当に魔法水なのかはわからないけど、他に方法もないので、ひとまず来た道を戻ることにした。




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