20.食料
『ーーー……ご主人様、レノが帰ってきたようです。』
おっ!やっと帰って来た!
昨日レノから届いた報告によると、エイダ村で大量の食料を入手したらしい。
さらに、今日はエイダ村の村人から聞いた情報をもとに、行商人がいるであろう東の村へも寄るとのこと。
調味料とか色々取り扱っているらしいから、もし手に入れられれば今後の食生活が大幅に改善しそうだ。
異世界に来てから、約一週間近くまともな物を食べていないので、流石に胃袋が限界を訴えている。
レナとの異世界語教室中だったが、居ても立っても居られず家を飛び出した。
外に出た瞬間、そこにはものすごくデカい"何か"があった。
「…え、レノ…その荷物…どうやって持ってきたの…?」
目の前に見えるものをまんま表すなら、高さ約3m横幅約2mの、布で包まれた何か、としか言いようがない。
こんな巨大な"何か"をレノは軽々と両手で抱えているのだ。
目の前の道ほとんど見えてないでしょそれ…
『ただいま戻りました、ご主人様。こう見えてシルフの風魔法で浮かせているので、全く重くはないのです。風魔法だけで運ぶのは操作が難しいようなので、動かすために抱えているだけなんです。』
…そうなんだ。
「…それより!その布の中身、もしかして…」
期待を込めた眼差しでレノを見つめる。
『はい!食料や調味料など手持ちの銅貨で買えるだけ買ってきました。』
おぉー!やっぱり!
「やった!レノありがとう〜!早速中身見せて見せて!」
外側の包んでいる布も洋服や布団など色々な使い道があるようなので、なるべく汚さないよう中身だけを地面に下ろしていく。
本当に全く重さ感じない…風魔法すごいな。
そうこうしている間に、聖地に残っていたトレント、シルフ、レオナとミルクもみんな集まって来た。
レノが買って来た食料は小麦、タマネギ、キャベツ、ラディッシュ、にんじん、ジャガイモ、とうもろこし、干し肉、レモンなど。
調味料は塩、胡椒、ニンニク、酒、バター、チーズ。
胡椒があることには少し驚いた。ラノベや漫画では、よく胡椒が高級品として扱われていたけど、この世界では全然そんなことないらしい。
ただ、砂糖は貴族や一部富裕層しか買えないらしく、なかなか手に入らないんだとか。
…砂糖ないのかぁ。ほぼ全ての料理に砂糖を入れたい私にとってそれは死活問題だ。
なんとか甘さを出せるものはないんだろうか。
あ、そうだ!
「シルア!お願いがあるんだけど、シルフのみんなで聖地の甘い木の実を集めて来てくれない?」
『わかった〜!みんなで探してくるね〜。』
シルアを先頭にシルフ達が四方に散らばって行った。
ここ数日食料がない代わりに、聖地周辺になっている木の実を色々試して回った。
最初は毒があったら怖いから躊躇したけど、レナによると聖地周辺の植物は天敵がいないから、毒を持つ種類はないんだとか。
シルア達も一緒に食べて回ったから、甘い果実の種類を知ってるはず。帰ってくるまでに他の準備も進めちゃおう。
…にしてもこの量の食料、どうやって保存しよう。
地下室に保存できれば長持ちするんだろうけど…そんな動画見たことあったっけ…?
なんか海外のそういう系の動画見たことあった気がするなぁ…なんだっけなぁ…。
首を傾げながらむかし見た動画を思い返す。
なんだか思い出せそうで思い出せないのがモヤモヤする。
思い出すことに集中しているせいで後ろの物音に全く気づかない。
…しばらく考えていたが、やっぱり思い出せないので諦めることにした。




