19.エイダ村 ※レノ視点
聖地より東北へ数十キロ進んだところにある小さな村_エイダ村
レノの足取りでも、聖地から休憩を挟みながらおよそ5時間ほどかかってようやく到着した。
「おっと嬢ちゃん、こんなところに何の用だ?」
村の入り口に近づくと、門番のような人が立っていた。
『こんにちは、鉱石採取を専門に行っているレノと申します。珍しい鉱石を求めて聖地付近へ向かうところなのですが、食料が尽きかけてきたので補充したくて…。』
「へぇー、鉱石採取家なのか。若いのにすごいなぁ!何もない村だけど、ゆっくり休んでってくれ!」
『ありがとうございます!』
レオナの見た目は成人したての可愛らしいお嬢さん。
冒険者をしている時は舐められないよう口調も格好も強気な感じにしていたが、身なりを綺麗にして口調も柔らかくすればどこから見ても良家の娘にしか見えない。
こういう僻地の村は本来"よそ者"にかなり警戒するのだが、見た目のおかげですんなり通してくれた。
「そうだ、レノだっけか、今から森に入るんじゃ遅いだろ?この村で一泊するんなら村長の家に声をかけるといい。村の奥にある背の高い建物が村長の家だ。」
『分かりました!教えてくださりありがとうございます。』
親切な門番さんに一礼をして村の奥へ進んでいく。
道中、畑で作業をする村人を何人か見かけたが、皆こちらに気づくと笑顔で手を振ってくれた。
コンコン
「は〜い…あら、可愛らしいお嬢さんね!旅人さんかしら?」
家から出てきたのは、白くなった髪の毛を綺麗にお団子に束ねた、優しそうなおばあさま。
『突然すみません、レノと申します。聖地にある鉱石を採取するために旅をしているのですが、食料が尽きてしまいそうでしたので、こちらの村で補充できればと思い寄らせていただきました。今夜一晩泊まるなら村長さんのお家に声かけると良いと、門番の方に教えてもらったのですが…。』
「あら、そうだったの!この村で空き部屋があるのがここくらいだから、いつも旅人さんがいらした時は、うちに泊めてるのよね。さぁ、入って入って、今夜美味しいものをご馳走するわ!」
おばあさまはそういうと、中へ迎え入れてくれた。
食卓へ案内してくれて、お茶まで入れてくれたので、ありがたく一休みさてもらう。
『ーー…ありがとうございます。おかげさまで旅の疲れが大分和らぎました。実は先日、とある冒険者パーティが聖地付近で珍しい鉱石を発見したそうで、鉱石採取を本業にしている身としては居ても立っても居られず街を飛び出してきたのです。…ですが準備が十分ではなかったので途中で食料が尽きてしまい…それで食料を補充するためにエイダ村へ寄った次第です。』
「あらまぁ、若いのに大変ねぇ。でもそういう職人気質がある人の方がきっと成功するのでしょうね。応援してるわ!」
『ありがとうございます!…それで早速ですがこの後食料を買いに行こうと思っておりまして…どちらへ行けば手に入れられるのでしょうか?』
一休みついでに、おばあさまに食料の入手方法を伺う。先ほど村の中を通ってきた感じ売店のようなものは見当たらなかったので、もしかしたら村人から直接買い取るしかないのかもしれない。
そうなると、食料以外のものを入手しづらくなってしまう。なんせこんな辺鄙な村で衣類や食器などを買うのはそれなりの理由がないとおかしいからだ。
「それなら、ちょうど今収穫の時期だからみんな作物を余らせていると思うわ。この時間なら畑にいると思うから、声かけてみるといいわよ。」
親切に情報をくれたおばあさまにお礼を伝えて早速買い出しに向かう。
とりあえず食料だけでもと思い村人と交渉しに畑へ向かった結果、今年豊作だったこともありかなり上手く行った。
エイダ村では物々交換を基本としているのだが、月1で来る商人とは硬貨での売り買いもできるそうなので、快く硬貨での買取に応じてくれた。
手持ちの所持金でどれくらい食料を買えるか心配だったが、農家と直接やりとりしてることもありかなりの安く売ってくれたようで、持てるだけ食料を買っても結局銅貨十数枚で済んでしまったのだ。
その際耳にした情報で、どうやらあと2、3日で月に一度エイダ村に行商人が来る日だとか。いつも今頃はここからさらに東へ牛車で1日ほど進んだ別の村に滞在しているらしい。
洋服を作る布も調理用の調味料も全て行商人頼りとのことで、どちらも今まさに欲しいもの。どうにかして行商人から買い取りたいが、あまりエイダ村に長居する訳にも行かない。
…明日東の村へ行ってみようかな。




