16.貿易都市 ※レニ視点
貿易都市_サイドポート
「ーー…よっ!そこの嬢ちゃん!串焼きはどうだ??うちの蒲焼は新鮮で美味いぞぉ〜!!」
「エールはいかが〜??地下から取り出したばかりだから、キンキンに冷えてるよ〜!」
…すごい活気だ。やはり貿易都市なだけあって、人の流れがサウスカルディアの比じゃない。
レオナはサイドポートに直接足を踏み入れたことがなかったので、記憶をコピーしたレニにとってもここに来るのは初めてだ。
アンシェールが開催されるまであと1ヶ月ほどある。ひとまず当面の寄宿先を探そうとあたりを見て回った。
「…いらっしゃいませ!料亭ライラへようこそ!…あら可愛らしい獣人のお嬢さんね!お一人かい?空いてるカウンター席に座っておくれ!」
『あぁ、ありがとう。とりあえずエール一杯とサギの蒲焼定食を頼むよ。』
「はいよ!」
レオナのコピーであるレニは、猫獣人としての好みも引き継いでいるため、魚介類が一番の好物だ。
この街は海沿いにあるので、街に入った瞬間から海鮮の良い匂いが漂っており、常にレニの嗅覚を刺激していた。
垂れそうになるヨダレをグッと飲み込み、目の前に出されたサギの蒲焼きを口に運ぶ。
…お、おいし〜い!柔らかい魚の身に少し焦がした甘辛のタレがたまらない!
どんどん食べ進めていき、あっという間にカラになってしまった。
最後に残ったエールを一気に流し込む。
『…ごちそうさまでした。』
「お嬢さんいい食べっぷりね!どうだい、うちの蒲焼は絶品だろう?おかわりはいるかい?」
女将さんは一瞬で食べ終わってしまったレニを見て少し驚いたが、すかさずおかわりを勧めてきた。
『美味しかったよ。残念だけどもうお腹いっぱいで今は食べれそうにないんだ。また来るよ。』
「そうかい、残念だけどお腹いっぱいじゃあ仕方ないね!合計で銅貨5枚だよ!」
レニはポーチから銅貨を5枚取り出し女将さんに渡した。
『…そういえば、サイドポートに来るのは初めてでどこに泊まれるかまだ決まってないんだ。女将さんはどこかいいところ知らないか?』
「泊まるところね…それなら"月の満ち欠け"がいいさ!店を出て左にまっすぐ行くと見えてくるよ!」
『ありがとう女将さん。また食べに来るよ。』
「いつでもいらっしゃい!」
女将さんに言われた通り、料亭を出てから左へと進んで行く。お店を10軒ほど過ぎたところでようやくそれらしき宿が見えてきた。
"宿_月の満ち欠け"
こじんまりとした、少し古めの宿のようだ。
カランカラン
「いらっしゃいませ!」
『1人部屋でひとまず10日間取りたいんだけど、空いてる?』
カウンターに立っていた女性に話しかける。
「1人部屋ですね!一泊食事なしで銅貨12枚、食事付きだと銅貨15枚ですが、どうしますか?」
『なしで大丈夫。』
銀貨1枚と銅貨20枚を渡した。
「お部屋は2階の1番奥です!中庭に井戸があるのでご自由にお使いください。延泊される場合は3日前までにお知らせくださいね!」
鍵をもらい2階へ上がる。
部屋の中も古びてはいるが、綺麗に片付けてあるので印象は悪くない。何より1人部屋でこの値段はかなり安い。
荷物を置いて一息つく。
宿も取れたし、あとはアンシェールが開催されるまで待つのみ。
ただ、先のアンシェールは終わったばかり。
次の開催日までこのままじっとしていても仕方ないので、サイドポートのギルドで何か依頼を受けようかなと考える。
一応手持ちに銀貨10枚あるが、毎日の食事や宿代で減っていく一方なのは心許ない。
ただ、時間のかかる依頼や、サイドポートから離れている場所の依頼は受けられないので、ちょうどいい具合の依頼を見繕わなければ…。
…あとでギルドに行ってみてみようかな。




