12.眷属
「ーー…うぅ〜ん。」
大きな伸びをして起き上がる。
何だかよく寝た気がする。
洞窟の硬い地面でも、暖かい気温ともふもふのおかげで全く気にならなかった。
「…わぁっ!びっくりした〜。」
目を開けると、目の前でケモ耳娘が正座していた。
思ったよりも距離が近かったので、思わずびっくりして声を上げてしまった。
「******、******。」
…うん。全くわからないね。
「*****、******。」
ケモ耳娘は自分のことを指差しながら同じ音を繰り返している。…もしかして名前なのかな?
「…レ…オナ?」
コクコクコク
試しにケモ耳娘を指しながら同じ音を繰り返してみたら、すごい勢いで頷いていた。
どうやらレオナっていう名前らしい。
レオナは先ほどから見た感じ元気に動いているので、怪我は大分よくなっているみたいだ。
念の為シルアにも見てもらったが、やはり怪我はもう大丈夫だそう。
さてどうしようかな。
できれば早めに聖地に戻りたいのだが、レオナをここに置いていくのも心配だし…
これからどうしようか悩んでいると、ミルクが急に立ち上がってカーディガンの裾を咥えながら外へ引っ張り始めた。
「…えなに?どうしたのミルク?」
そのまま外まで引き摺り出されたかと思うと、背中に乗れと言わんばかりの合図をされる。
何がしたいのかわからずきょとんと立ち尽くしていると、痺れを切らしたミルクが無理やり背中に乗せようと足の間に入ってきたので、慌てて体勢を整えてミルクの首に掴まった。
「ど、どうしたの?……うぁっ!?」
訳がわからず混乱していると、ミルクがいきなり聖地の方角へ走り出した。突然のことに思わずミルクの首にしがみついて変な声をあげてしまった。
レオナのこともそうだが、トレントやシルフ達すら着いてきていない。
ミルクを止めようとするも、シルアがそばにいないため風の抵抗をもろに受けており、しがみつくので精一杯で何もできなかった。
しばらくミルクにしがみついていたところ、急に身体の抵抗が軽くなった。
振り返ると、シルア達がようやく追いついたようで、風魔法をかけて抵抗をなくしてくれたのだ。
トレよん達は相変わらずあんな小さい身体なのに、ものすごい勢いで追いついてきている。
根っこを高速で動かして移動してるので、絵面がちょっとホラー。
…だがそんなことよりも、もっと驚く光景が後ろに続いていた。
「れ、レオナ?!」
なんと、トレント達の後ろに続くように、レオナがすごい勢いで走って来ていた。
…なんでついてきてるの!?
「レオナ!もうすぐ聖地に入っちゃうよ!?もう怪我も治ったみたいだし、家に帰った方がいいんじゃ…!」
向こうの言葉が理解できないんだから、こっちの言葉も伝わる訳ないのだが、緊急事態なのでなりふり構っていられず、とにかくついてこないよう声をかける。
召喚の書には近づけないとしか書いておらず、ユノの木にどう近づけないのか、近づいてしまったらどうなるかは書いていない。
ちらちら後ろを振り向きながら心配していると…
『あるじ様。』
「キー?どうしたの?」
『昨日は薄っすら感じるだけで確証がなかったため、お伝えしておりませんでしたが、あるじ様が乗っているこの犬型の獣は、何らかの契約によりあるじ様の眷属に近い形となったようでございます。そして、先ほどあの猫型の獣人からも似たような繋がりを感じました。』
「え?眷属…?どういうこと?」
『本来、召喚された者達があるじ様の眷属となるのですが、この者達は召喚された訳ではないにも関わらず、トレントやシルフのようにあるじ様の眷属となっているようです。』
「…眷属になるとどうなるの?」
『特に悪い影響はないかと思われます。眷属となった者は主人には逆らいませんので、お側に置いても良いのではないでしょうか。眷属であればあの獣人もこのまま聖地までついて来られるかと。』
眷属…いつの間にそんな大層なことが起きたんだろうか。ミルクもレオナも、気付かない内に無理やり眷属にした…とかじゃないよね?
とにかく解放する方法もわからないし、レオナも聖地に入れるのであれば、一旦ついてきてもらった方がいいかな。
…意思疎通ができないと色々面倒だけど…キーがそばに置いても良いって言うんなら、一旦連れて帰るしかないか。




