047 ホムラは逃げだした
◇ ◇ 6月20日 砂鉄の大地 ヒュルリ砂鉄山周辺 ◇ ◇
「ホムラちゃん・・・・・・それは・・・・・・」
「分かってるよ。そういう考えを持っていても受け入れてくれると信じてはいる。でもそういう考えを持ってしまう自分が許せないんだよ」
最も、イティア辺りにはそういう考えを持って暗示を掛けてるのは完全にばれてるみたいだけどね。
シャウラは体質のことは把握してるけど私が暗示を掛けてることまでは気付いてない。
イティアにばれるのは仕方ないだろうね。
彼女もまた私と同じようにある種の呪いとも言える体質を持っている人なんだしね。
シャウラも呪いとも言える体質は持ってるけど何とかできるぶん遙かにマシだからね。
「だから私はそういう考えを抱けないように自分に暗示を掛けてるんだよ。多分、今後もずっと続けるんだろうなとは思ってる」
自分が怖いからね。
どこまでいっても自分が信用できない。
記憶が無いというのはそれほど自分の信頼材料がないってことだからね。
「ホムラちゃんって、体質とかいろいろあっても皆のこと大切に思ってるんだね」
「大切だからこそ傷つけるかもしれない自分が怖くなるんだよ」
正直、嫉妬する心は止められない。
理解してしまうとどんどん膨らんでくるんだよ。
私の体は自分の体がボロボロなのに他の人はまともなのを見て嫉妬する。
そういう嫉妬する心を増幅するようにこの体は出来ている。
そしてその嫉妬心に呼応するように私の力は強まっていく。
そんな醜い身体なんだよ。
「ホムラはホムラのままでいればいいと思うよ」
「でも・・・・・・」
悪い考えは止められない。
私は私自身を信用できない。
「すぐには無理かもしれないけど、いつかはきっと暗示に頼らなくても済むようになるよ。皆ホムラの思いを受け止めてくれるよ」
「・・・・・・・」
その言い方はずるいと思う。
もしそれで拒否したら私は皆を信用してないって事になるよね。
信用してるならいつか私自身の思いをぶちまけろって事でしょ?
・・・・・・・・・
「いつかね。私自身が記憶を取り戻したそのあとでね」
私はそのままオボロの返答も聞かず暗示をかけ直した。
逃げだとは思うけどね。
正直、すぐに結論を出せる気はしなかったからね。
「ちょ、ホムラちゃん!?」
「ん~っと、うん。これでよし」
さっきの対話も禄に思い出せない。
しばらくすれば暗示を掛けたこと自体も分からなくなるだろうね。
「はぁ、まあすぐに結論を出せというのは酷な話でござったな」
「何の結論かは分からないけど、すぐに暗示を掛け直す辺り私に取っては酷だったのかもね。まあ、暗示のこともしばらくしたら思い出せなくなるからさっきの話題は控えてね」
既に思い出せないけど暗示を掛けるあたり重大な代物だというのはわかってるからね。
「さて、それじゃあ素材をもっと集めてからコクウ達の所に戻ろうか」
「って、まだ集めるのでござるか!?」
そりゃそうだよ。
だってまだそんなに量を集められてないんだしね。
オリハルコンパウダーを沢山手に入れたいからあと数時間は採取し続けるよ。
サンドフィッシュがうっとうしくなるだろうけどね。
コクウ「こっちまで聞こえてるんだけどな・・・・・・」
レクト「何の話だ?」
コクウ「何でも無いよ」




