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032 襲いかかる焼き鳥

 ◇ ◇ 6月2日 炎の大地 ◇ ◇


「クェェェェェ!」


 目の前に巨大な良いにおいを放つ鳥が降り立った。

 それも勢いよく。


「クェ?」


「幻影の札の効果で先制攻撃を思いっきり外したみたいだね」


 幻影の札、それは奇襲を避けるためのアイテムだ。

 奇襲をかけようとするモンスターに反応して幻影を産み出し攻撃をはずさせるという効果を持っている。

 空高くからの奇襲攻撃には対応できないから作った代物だったりする。


「なんだ、こいつ・・・・・・なんか腹が空くような匂いがするぞ」


「ヤキトリックスだ。解体するとかなり焼き鳥が美味しい肉が手に入るんだよね」


 良い獲物を見つけたという顔でコクウは言う。

 焼き鳥ね・・・・・・


「くそ、この匂いを嗅ぐと凄く腹が減る」


「でござるな。狩らせて貰うでござる」


「耐熱性の矢で全力で攻撃する【砲撃矢】!」


 まるで大砲のような力を纏った矢をレクトは放った。

 それに続いてオボロも攻撃をし始めた。

 オボロに襲う攻撃はドルフィスが盾で防ぎつつシールドバッシュで攻撃していた。


 ドルフィスの動き見てて思ったけどやっぱりナックル系が良い気がするね。

 変形武器を作るならナックル系にした方が良さそうだ。

 ほとんど戦い方を変えなくて良いからね。

 万が一の時には両腕の小手でガード出来るから変形の隙が無くても問題ないしね。


「うんうん、結構動けるようになってきたね。ボクも手加減しつつ参戦しよう」


 そう言ってコクウも槍を取り出して戦い始めた。

 ちなみに槍はコクウの元々持っていた砕けた槍の破片を光の槍にした物では無く私が作った槍だ。

 スキル習得の加速空間で鍛えた技術を用いて作ったから光の槍より強い。


 当然だよね。砕けた槍の一部を取り込んでるからね。

 流石に強度の問題で全ての欠片を取り込めさせれなかったけど強度を強化していけばそのうち全ての欠片を埋め込んであの槍の本来の姿へと戻るだろうね。


「コケェェェェ!?」


「なんか、鶏みたいな鳴き声を上げてるよ・・・・・」


 私はおとなしくここで待つよ。

 援護しようにも爆発ポーションとか使えないからね。

 こんなところで使ったら手元で爆発しちゃうから。

 ビュウスの使ってた槍みたいなのは現状では材料不足で作れなかったからね。

 そのうち作りたいところだね。


「とどめでござる【居合一閃】!」


「【砲撃矢】!」


「【パワーシュート】!」


「それ!」


 そして焼き鳥になる運命を背負った焼き鳥・・・・・・なんとかというモンスターは倒された。

 う~ん、実に良い匂いだね。


「今更だが、倒し方を工夫するともっと美味しくなるんだよね。食材系モンスターはそういうのが多いから覚えておいた方が良いよ」


「それ、早く言えよ!?」


「言ったところでそういう風に仕留められなければ意味ないよ。そんなこと言ってフォーメーション崩して討伐失敗されても困るし・・・・・・」


 倒し方の工夫をするにはオボロ達はまだ弱すぎるってことね。

 それはしょうが無いよね。

 地形を克服出来てないから動きがいつもよりも鈍いしね。

 特にオボロとレクトはコクウにサポートされてこれだからね・・・・・あれ?


「サポートしてるのに動けてない?」


「あ・・・・・・食欲に負けてつい・・・・・・」


「嘘かよ!?」


 この程度の曲芸なら問題ないってことね。

 自分が何とかしてるんだからその分頑張れとやりたかったんだろうね。

 食欲に負けて動いちゃったみたいだけど・・・・・・


「あ~どうにもあそこに閉じ込められてた時にろくなもの食べられなかったから美味しい物をみるとつい動いちゃうんだよね。昔はこんな事無かったのに・・・・・・」


 どうやらコクウは砂鉄の砂漠のヒュルリ砂鉄山に閉じ込められたのは大きく響いているらしい。

 まあ、かなり長いこと閉じ込められてたみたいだし仕方ないよね。


「まあいいや、ホムラ。お願いできる?」


「分かってるよ」


 料理はクラフターの出番だからね。

 皆に解体を手伝って貰って焼き鳥・・・す?を解体した。


「それじゃあいくよ。【クラフティングキッチン】!」


 私はいつでも何処でも料理が出来るスキルを使った。

 まあシンプルに言えば自分の周囲に調理場を展開するだけだ。

 難しい理屈なんて無い。


 これの取得は大前提となるクラフティングテーブルの取得難度が高いから結構大変だったけどね。

 しかもクラフティングテーブルの習得試練中に習得しないといけないからなおさらだよ。


「おお! 工房に戻らなくても本格的な調理が行えるのか!?」


「そうでもないよ。最近は工房の調理場のレベルが凄い勢いで上がってるからね」


 大体暴食魔のイティアのせいだけどね。

 工房の食堂はシャウラの作ったゴーレムで運用されていたらしいんだけど追いつかなくなってNPCを雇ったらしいからね。

 ちなみに技術を磨かせるためにクラフティングテーブルの試練にまた潜らされた。

 まあ、プレイヤー五人と料理人NPC一人だけなのに割と短期間で工房を作って条件を達成できたから結構慣れた感じがするけどね。

 試行錯誤しなくてすんだというのが大きい気がするけど・・・・・・


 そのあとは鍛治場とか金属加工場とか色々フル稼働して調理場の調理器具などをイティアが取ってきた素材で徹底的にアップグレードしたんだよ。

 まあ、試練で使ってた調理場より劣るけどね。あそこは本当に色々と便利な素材が多すぎた。

 代用品が未だに見つかってないものとかあるからね。

 コネクトグラスとかね。アクターメタルは割と最近になってようやくみつかったけど。


「はい、出来たよ。塩とタレだよ」


 ももとかかわとか結構種類あるよ。

 どういうわけか体の部位にネギに相当する部分があったからねきまなんかも作れた。

 多分焼き鳥で作れるものこの鳥一匹で全部を網羅できるんじゃないかな?


「うま!? 酒が欲しくなるくらいにうまいな」


「冒険中だから飲酒は厳禁ね」


「分かってるよ」


 そもそもこの環境で酒を出すと燃える。

 クラフティングキッチンのエリア内だと大丈夫なんだけどね。

 展開している本人に耐性があればその耐性内なら平気って感じだからね。


「う~ん、予想通りかなり美味しいね。白飯とかが欲しくなるよ。まあこの環境じゃ出しても燃えちゃうからね・・・・・・」


 だね。閃光火山で耐性を鍛えてなかったら全身発火しててもおかしくない熱さだしね。

 ここで手に入れたもので作った料理以外は特殊な空間でも作らない限りは食べることすらままならないよ。


「まあ、肉は量残ってるし、帰ったら作るよ」


「でも、皆に分ける程残ってはいないだろう」


 あ~たしかにね。

 なんせ結構な量食べてるもんね。

 人数増えるから足りるかどうか・・・・・・


「そうなると何匹か・・・・・・・」


「クェェェェェェ!」


 ズドンとまた幻影の札で騙される焼き鳥が一匹現れた。

 うん、ある意味最悪のタイミングで出てきたね。


「クェ!?」


「よし、狩るぞ!」


「【砲撃矢】!」


「【居合一閃】!」


「【パワーシュート】」


「コケェェェェ!?」


 そして哀れな焼き鳥はこの後も何匹も現れた。

 その後、工房にこれを持ち帰った後、イティアが何かをしたらしく(予想は付くけど)一時期は焼き鳥が人を襲わなくなったとか何とか・・・・・・

 でもしばらくしたらまた襲い始めた辺り物事を忘れやすい鳥頭なんだろうね。


 私は焼き鳥を倒しながら炎の大地にある砂鉄の大地のリスリウムの湖や閃光火山に相当する場所に向かう。

 そこにアクターメタルがあるからね。

イティア「絶滅はしない程に~ほどほどにしないとね~」

焼き鳥「コケェェェェェェ!?」

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