026 コクウと組み手
◇ ◇ 5月19日 砂鉄の大地 ヒュルリ砂鉄山 ◇ ◇
「ところで、この人達はワイバーン退治とか経験あるの?」
「ないよ」
だけどドラゴン退治の前にワイバーンと戦うのはありかもしれないね。
なにせドラゴンに非常によく似た性質を持っているからね。
ドラゴンよりかは弱いから前段階として戦うのはありかもしれない。
「となるとどこかでワイバーン退治は経験しておいた方が良いと思うね」
「・・・・・・! ワイバーン退治って正気で・・・・・・ござるか・・・・・・・」
「呼吸困難になるなら叫ばない方が良いとボクは思うけどね」
私は既にマスクなしでもこの場所にいられるけどオボロはそういうわけにもいかないからね。
酸素に分解するとはいえど大本の空気が逃げてしまう会話とかは迂闊にすると苦しくなるだけだ。
私は念のため持ち合わせていた空気補充のエアボトルを使ってオボロの体内空気を補充させた。
なにげに私は会話していても体外に空気を漏らしてないんだよね。
どうやっているのかは自分でもよく分からない。
本当に無意識で行っているからね。
記憶失う前なら受動的に行えたのかもだけど・・・・・・
「あまり興奮させないでもらえるとありがたいんだけど・・・・・・」
「ドラゴンを倒そうとするのにワイバーンで驚いてるようじゃダメでしょ。別に群れを相手にさせるわけじゃ無いしね。それに、時間が残されていないなら多少困難でもやらなきゃだめでしょ。単体のワイバーンに苦戦するようじゃドラゴンには絶対勝てないよ」
確かにね。
さっき調べた生物図鑑で知ったけどワイバーンはドラゴンに極めて近い偽竜なんだよね。
ワイバーンは脅威はドラゴンに匹敵するけどその脅威の原因は群れで行動することにある。
だから単体での脅威はドラゴンには遠く及ばないんだ。
だからこの程度のモンスターでびびるようではドラゴンには絶対勝てないというのもまた事実だね。
このままだとコクウの足手まといで終わるだろうね。
「ホムラは妙に感知能力が鋭いんだよね。環境にも適応しているから直接は戦えないというデメリットを補えるくらいには優秀だよ。後ろでドラゴンの様子を見て指揮を執ってくれるだけでもかなり大きいからね」
あ~ワイバーンの群れがさっきもう一組来たけどその時指示したんだよね。
さっきみたいに外野から槍を持って行かれるのを嫌って一気に仕留めずに一匹ずつ仕留めてたときに攻撃くらいそうになるときが多々あったからね。
その時に知られたんだよね。私の感知能力を・・・・・・
しかも的確に状況判断できて指示が出来るともいわれたね。
言われてみれば確かにって感じだよ。
気付いて居るか居ないかを一瞬で判別するってかなり難しいだろうしね。
というか痛覚感知じゃなきゃわからないからかなりとんでもないことだよね。
「それなのに他の奴らは正直ドラゴンに立ち向かうのは厳しいからね。この体たらくでドラゴンに立ち向かうのはどうかと思うよ。普通に死ぬよ」
たしかにね。
生き返れるとはいえど相応のデメリットがあるし何度も死にたくは無いね。
「でも、ゆっくりと鍛えている時間が無いんだよね。残り日数はほとんど残されてないし・・・・・・」
製作期間を考えるともうほとんど時間が残されてないんだよね。
ここが早く済めば後一カ所いけるかって所だろう。
正直これでドラゴンに勝てるのかという疑問は残る。
「・・・・・・そうだね。強欲に行こう。今から一人ずつボクと組み手をしよう」
組み手!?
つまりコクウと戦うって事!?
禄に呼吸も出来ないのに!?
「無茶すぎるよ!?」
「無茶を通さないとドラゴンは倒せないよ。そこにいる魔法使いの子は除外するよ。既に出来ている以上は意味ないしね。死なないように徹底的に鍛えてあげるからそこの弓使いから来い!」
そういってコクウと選ばれてしまったレクトは組み手を始めた。
当然だけど武器は使わない。
素手で格闘戦を行う。
なるほどね。
この状態から体を無理矢理動かさせて強引に覚え込ませる訳ね。
そして強化された体の使い方を強制的に学ばせる。
何とも効率の良い訓練方法なんだろうか。
正直苦しいだけかもしれないけど、賞賛の湖に浸かるよりかは遙かにまともな訓練だろう。
場所が場所だから無呼吸で行っていると言うことに目をつぶればね。
これ、続けてたら普通に死ねる気がするね。
「ほらほら! ちゃんと反撃しないと! こっちはまだ軽い運動レベルだよ!」
「・・・・・・・!」
そんな感じの組み手をしばらく見守っていたらレクトの動きがだんだん良くなってきた。
まともに呼吸できるようになってきたみたいだね。
とはいえかなりきついみたいだけどね。
「よし、レクトはここまで。これ以上やると普通に危ないし次の子に行くよ。じゃあ、次はそこの盾男!」
そんな感じでドルフィスとオボロも組み手を行って多少は動けるようになった。
正直きつそうだね。
「一応ホムラもやっておく? 攻撃の回避の練習とかになるかもよ?」
「皆やってるし折角だからやってみるよ」
私はコクウと組み手を始めた。
まともに呼吸が出来ているというのと感知能力も相まってか結構まともに戦えてるね。
まあ、殴っても向こうには一切のダメージが入ってないから攻撃して止めることが出来ないのが辛いところだけどね。
でも割と攻撃は避けられてる。
感知能力云々じゃ無くて元々私って結構動けてたんだろうね。
だんだん錆が取れていく感じがする。
「・・・・・・本当に攻撃出来ないのが惜しいと思えるくらい強いね。攻撃さえ通れば素のボクと互角以上だよ。ちゃんとした武器もてばワイバーンの群れ狩れそうじゃ無いの?」
いや、流石に記憶失う前なら出来たとしても根本的な戦いの経験が少ないから無理だと思うけどね。
正直、覚えてる感覚に任せてるままだとドラゴン相手には勝てない気がする。
色々あって私達は組み手を終えた。
そして次の日も組み手を行い皆まともに動けるようになった。
その次の日にはこの山でも対話できる程に強くなった。
もう時間も無いから修行はここで切り上げかな。
明日はついにドラゴン退治だ。
果たして倒せるのかどうか・・・・・・
コクウ「さて、武器解禁していいよ」
レクト「武器を使わせたこと後悔するなよ。百射縫い撃ち!」
コクウ「遅い遅い、闘気がしっかりまとえてないから簡単に取れちゃうよ」
レクト「嘘だろ・・・・・・武技を使っても防がれるのか」
ホムラ「え、何あの技・・・・・・初めて見たんだけど・・・・・・」




