012 次の段階へ
4月22日、今日ついにレクト達が木刀を卒業した。
ようやく次のステップに進めるだけの技術力を身につけたのだ。
次の月までかかると思ったけど早かったね。
「レクトは、指示があるまで木刀作り続けてて、君たち二人は量産したコンポジッド・ボウの仕上げを任せることにするよ中央部分のハンドルと出来上がったリムの最終調整がこれから行うことだよ」
午前中に徹底的に仕込んで教えた。
リムの最終調整は結構滞ってたし、ロギロスがアップグレードしてスピードを引き上げたから1.5時間で一対のリムが出来上がるようになった。
片方45分だからかなり大幅に短縮できたね。
なんでも魔術基板を組み込んだからスピードアップ出来たらしい。
リムの品質も大幅向上してるしかなり良い感じに仕上がったんじゃ無いかな。
にしても、もう既にロギロスは既存の機械に組み込めるくらいに技術力を上げてるんだね。
まあ、私は人に色々教えながら資料を読み漁りながら基盤の施策とか行っているから仕方ないんだけどね。
「さて、次はレクトだよ。木刀作りは・・・・・・丁度終わったみたいだね」
「ああ、それで僕は何を作るんだい? 弓では無いみたいだが・・・・・・」
「そりゃそうだよ。あれは出来上がっているものを仕上げるだから君が求める技術とは別物。君が今からやるのは矢を作ることだよ。と言うわけで」
私はシャウラに集めて貰っていた大量の枝をレクトの前に置いた。
そして私は言い放った。
「この枝を矢として使えるように加工してある程度加工したら向こうにある試射場で矢を撃って」
「え!? ちょっとまって!? この枝で真っ直ぐの矢はとてもじゃないけど・・・・・・」
「これは間に合わせの矢を現地で作ってそれを扱う為の訓練だからね。今は工房にあるどの道具を使っても良いけどそのうちナイフとかだけで加工して貰うことになるよ」
冒険中に矢が尽きるなんて普通にあり得るだろう。
そりゃそうだ。もともと弓にしろ銃にしろ戦闘し続けながら移動するなんてほとんどあり得ない状況だ。
だからどこかで補給しなければ戦えなくなるなんてことが当たり前のように起こる。
矢は銃と違って撃った矢を回収できるが使えるかどうかは回収してみるまで分からない。
回収率、そして回収した矢が使える可能性それらを考えていくと戦闘を終えるごとに回収してもいずれは矢がつきる。
ならどこかで補充するしか無い。
そうなるとどうやって補充する?
そんなものは簡単だ。現地で作れば良い。
森とか木とかがある場所で無い限りは補充できないけど冒険中に補充できるというのは大きなメリットだ。
「だからといって、矢に向いてない枝で作るのは・・・・・・」
「まあ、シャウラがそれで的の中心を当てられるようになれっていってるからね。多分何か考えがあるんだと思うよ」
「・・・・・・分かった」
なんか納得のいかない表情でレクトは作業を始めた。
まあ、そりゃこんな直線にならないような枝でつくった矢を当てろというのは曲がった矢で的を射貫けと言ってるような物だからね。
そりゃそうなるよ。
でも、レクトが次のステージに行くには必要なことらしいんだよね。
なんでもいろんな形状の矢を飛ばして目的の位置に当てることがどうのこうのらしいからね。
ちなみにこれは自力で気がつくまで黙ってろと言われたから言ってない。
なんでもそういう発想力を鍛える訓練でもあるだとか言ってたしね。
さてと、レクトは上手いこと矢を作り始めたし、ファウリス兄妹は弓を作り始めた。
あとは安定すればいったんここから離れられるかな。
さてそしたら次は金属だよね。
確かオボロちゃんだよね。
彼女はまあ、メンテナンスだけ教えれば良いかな。
といっても彼女の扱う刀が出来上がってないんだけどね。
さて、安定するまでは何を作ってようかな?
う~ん・・・・・・いま思ったんだけど、弓に魔法薬品ツカったらどうなるんだろうね?
とりあえず自動機械で商品に出来なさそうな失敗リムをつかって確かめてみよう。
たしかコーティングするんだったよね。
失敗リムを手直しして使えるようにしてからハンドルを作り、この三つをコーティングしてから組み合わせる。
あとは弦をつけて完成っと。
とりあえず弓を引いてはじいてみよう。
グイーとひっぱって離す。
あ~リム側のコーティングが逝かれたね。
まあ引き絞られるから形状の変化が激しいもんね。
仕方がない。
でも、これ、ハンドル部分だけならいける?
矢を完成させて的に命中させようと悪戦苦闘しているレクトの元に向かう。
「レクト。この弓どう思う?」
「どうって・・・・・・魔法の杖みたいに全体がコーティングされてるな。だが、リムの部分が破損してる。そもそも矢が産み出されるタイプの弓でも無いのに必要ないだろうに・・・・・・」
「あ~リムの部分は気にしないで。この矢とセットで使うとどんな感じになる?」
「どんな感じって・・・・・・この矢、コーティングされてる?」
大正解。
名付けて魔法の矢だね。
使い捨てにするのがもったいない代物だよ。
「ひょっとしてこの仕組みだと魔法を矢に乗せられるのか!? この安い弓で!?」
「安い弓とは失礼だね。いいから射って」
私がせかすとレクトは指示に従って弓を射った。
しっかり魔法も乗せたようで矢からは風が吹き纏っていた。
そして的を思いっきり破壊して貫いていった。
「おお! 凄いね」
「普通に魔法を使うよりも威力が高い。そしてこの弓自体にマナストーンを搭載すれば魔法の杖として扱えるから更に威力が上がる可能性がある。普通の矢に乗せられないという難点はあれどかなり凄まじい弓だ」
凄まじいね。
本当に凄まじい。
でも・・・・・・
「これは完全に失敗だね」
「どういうことだ? 成功では・・・・・・あぁ、これは確かに・・・・・・」
コーティングが完全に逝かれた。
魔法の杖は間にマナストーンが挟まっているのに対してこっちは直に魔法が載ってるからね。
しかも射出の際に思いっきりすれるからかなりコーティングに負担が大きすぎたんだろう。
これは失敗だね。
でも、良い感じの設計が思いついた。
魔力基板とか必須になるけどうまくいけばある程度の耐久力を持つ矢であればどんな矢でも魔法を乗せることが出来る弓が作れるかもしれない。
その時の為に色々とその辺の研究を重ねていくことにしよう。
ソニス「ついに三人が次の段階に・・・・・・オボロちゃんは刀を手にすることが出来るのか?」




