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転生はかすり傷に入りますか?――エルフJK、好物は干し芋。  作者: ひなゆづ
ぶら探【エルフのポーション屋編】

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要注意エルフには、要注意。(イラスト付き)

湖畔の街。

フローレンス家へ続く湖畔道。

傾き始めた太陽が水面に反射してキラキラと輝いている。


リオナ(湖を眺めながら)

「湖がお日様の光を反射して……

とても綺麗ですわね。」


ティナ

「ね!

わたしも初めて見た時は感動したけど、でももう見慣れちゃった。」


リオナ(感動)

「いつもはお屋敷の窓からしか見てませんでしたので……

近くで見るとこんなにも美しい湖だったのですね。」


湖から風が吹き抜け、さらさらと少女たちの髪を揺らす。


カレン

「風も気持ちいいよねー!

湖畔周回ランニングとか、たまんないよ?」


ティナ

「わたしはいいや。

学校から家までのウォーキングで十分。」


カレン

「えー……

相変わらずだなぁ。

そういえばリオナは運動好き?」


リオナ

「運動は得意ではありませんが、体を動かすのは好きですわ!」


ティナ

「え!?

リオナはてっきり“こっち側”の人間だと思ってたのに!」


リオナ

「わたくし、ダンスを習ってますの。

体を動かした後はすっきりしますのよ?」


カレン

「おっ!いいね!

一緒に筋トレしない?

良い汗かいてめっちゃスッキリするよ?」


リオナ(にっこり)

「ええ、ぜひ♪」


ティナ

「リオナ大丈夫?

カレンに付き合ったら残機いくつあっても足りないよ?」


リオナ

「大丈夫ですわ!

わたくし、色々な事に挑戦してみたいのです!」


カレン

「よしっ!

じゃぁ早速、今からあたしとトレーニングッ!」


リオナ

「ですわ!」


ティナ(嘆き)

「あぁ……おしとやか系お嬢様だと思ってたのに……」


カレン

「とりあえずティナん家まで全力疾走ね!」


ティナ

「え?」


リオナ

「承知しました!では行きましょう!」


――タッタッタッ!


1人、置いていかれたエルフの少女。


ティナ

「……行っちゃったよ。」


ティナ

「このままリオナがゴリマッチョ系お嬢様になっちゃったらどうしよ……」


妄想リオナ(キレッキレポージング)

「グレイッ!

わたくしの“ダブルバイセップス”はいかがかしらッ!」


挿絵(By みてみん)


妄想グレイ(小さく拍手)

「お嬢様、“背中に鬼神オーガ”が宿っておられます。」


妄想リオナ

「見てくださいましッ!この広背筋!

わたくし、街の平和を背負う準備が出来ましたわッ!」


妄想グレイ

「素晴らしい意気込みです。」


妄想リオナ

「ふふッ!

わたくし、ビルダー系お嬢様にジョブチェンジですわぁ!!」


ティナ

「……」


ティナ

「……ビルダー系お嬢様って新ジャンルすぎるだろ。」


――サァーー……

風が吹き抜ける。草木が揺れティナの髪がなびく。


ティナ

「とりあえず、家帰ろ。」


---


フローレンス家前。


カレン(爽!)

「あ!やっとティナ来た!」


ティナ

「お待たせ〜。

ってリオナ大丈夫!?」


リオナ、膝に手をつき、息が上がっている。


リオナ(汗だく)

「ハァ――ハァ――

ティ、ティナ様……お、お待ちしておりましたわ……」


ティナ

「ちょっと大丈夫!?

すっごい汗かいてるよ!?」


リオナ(ぜぇ……ぜぇ……)

「あ……お飲み物……

何かお飲み物をくださいまし……」


カレン

「ちょっと無理させすぎちゃったかなー!

ほら、あたしの水筒分けてあげる!」


カレン、バッグの中から水筒を取り出す。


リオナ

「ありがとうございますわ……」


カレン

「中身はあたし特製プロテイン!

運動した後これ飲めばすぐ筋肉つくよ!」


リオナ(過去の記憶が遡る)

「プ、プロテイン!?

うぅっ……」


ティナ

「あんた水筒にまでプロテイン入れてきてんの!?」


カレン

「え?水筒にプロテインって普通じゃない?」


ティナ

「普通のJKは水筒に麦茶だから。」


カレン(カルチャーショック)

「……え?」


ティナ

「自分が普通みたいなリアクションやめてもろて。」


ティナ

「リオナ、早くうちあがりな?

冷たいお茶出してあげるから。」


リオナ

「申し訳ございませんわ……

お邪魔いたします……」


カレン(後に続く)

「(……水筒に、麦茶……?)」


――ガチャ。


ティナ

「ただいま〜!

リリサ、冷たいお茶用意して!」


リリサ(キッチンから顔を出して)

「おかえり。冷たいお茶?」


リリサ(カレンとリオナをロックオン)

「――って、あらぁぁ♡

カレンちゃん、久しぶり♪」


カレン

「あ、えっと――

お久しぶりです!お邪魔します!」


リリサ(舐め回す様な視線送り)

「そして、あなたがリオナちゃんね?

白銀ウェーブに透き通るような肌……

いかにもお嬢様って感じで――」


リリサ(キリッ)

「有りだわ。」


リオナ(汗だく顔真っ青)

「お、お邪魔しますわ……」


ティナ

「そういうの後でいいから!

リオナが全力で走ったせいで死にそうになってるの!

早く飲み物用意してあげて!!」


リリサ

「あ、そうなの?

ちょっと待ってて、すぐ用意するわ。

ソファに座ってて。」


リリサ、グラスに氷入りアイスティーを用意。


リオナ

「ゴクッ――ゴクッ――

ふぅ……落ち着きましたわ……」


ティナ

「大丈夫?

だからカレンに付き合ったら残機足りないって言ったのに。」


カレン

「無理させてごめん……!」


リオナ

「謝らないでくださいまし。

わたくしがはしゃぎすぎたせいですわ。」


リリサ

「落ち着いた?

良かったらこれ、

“疲労回復のポーション”の水割り、飲んでみて?」


ティナ

「あ!それわたしと作ったやつ?」


リリサ

「そうよ。

ちょうど2週間経ったから完成したの。」


カレン

「へぇー!

ティナってポーション作れるんだ!すごいね!」


ティナ

「これ、めっちゃ簡単だったよ?

梅シロ――」


リリサ(ギロッ)

「ティナ?」


ティナ

「ひっ……」


リリサ

「ごめんなさい。作り方は企業秘密なの。

良かったらカレンちゃんも飲んでみる?」


カレン

「え!?いいんですか!?

いただきます!」


ティナ

「てか、ポーション作りからまだ2週間しか経ってなかったんだ……

2ヶ月くらい経った気分なんだけど。」


リリサ

「こっちに来てから色々あったからね。

濃い1日を過ごしてるせいよ。」


ティナ

「そういうもんなのか……」


リリサ

「さ、2人とも飲んでみて?」


リオナ

「いただきますわ。」


カレン

「いただきまーす!」


カレンとリオナ、グラスに入った琥珀色のポーション水割りを飲む。


2人

「「ゴクッ――」」


ティナ

「(ドキドキ……)」


カレン

「……ッ!?

何これめっちゃ美味しい!」


リオナ

「ええ!

まるで、初夏の新緑生い茂る芝生の上を駆け抜ける風のような清涼感――」


ティナ

「また詩的感想始まった。」


リリサ

「ふふっ。

どう?疲れは取れた?」


カレン

「はい!

なんか頭の中がスッキリした感じがします!」


リオナ

「ええ!

今ならカレン様の全力疾走にもついて行けそうですわ!」


リリサ

「効いたみたいで良かったわ。」


ティナ

「リリサのポーション、ちゃんと効果はあるんだよなぁ……」


リオナ(スっと立ち上がり)

「改めまして。

わたくし、リオナ・ヴァレンシュタインと申します。」


リリサ

「あら、お行儀のいい子……!

私はリリサ・フローレンスよ。

よろしくね、リオナちゃん。」


リオナ(にこっ♪)

「よろしくお願いしますわ。

リリサお姉様。」


――ズギューーンッ!ドォォォォンッ!!


その時、リリサの胸はリオナの一言に撃ち抜かれ、彼女の中でビッグバンが発生した。


リリサ(硬直)

「(リリサお姉様……!

リリサお姉様……!!

リリサお姉様……!!!

お姉様ッ!!!!)」


リオナ

「あら……?」


カレン

「リリサさん……?」


ティナ

「あ、やばい……2人とも逃げ――」


リリサ、テーブルを激しく叩く。

――バァンッ!!


3人

「(ビクゥッ!)」


リリサ(覚醒)

「……これよッ……!これだったのよッ……!

私が求めていたものはッ……!」


リリサ、ゆっくりと立ち上がる。


カレン

「えっ!?なに!?なにが起きたの!?」


リオナ

「まぁぁ!?

わたくし、なにかまずい事でも仰いましたか!?」


リリサ(鼻息なのか吐息なのか、呼吸が荒い)

「ハァハァ――

お姉様……お姉様……

なんて素敵な響きなのッ!?」


ティナ

「ヤバいヤバいッ!誰か助けて――」


その時、玄関の扉が激しく開いた。

――バァァァァンッ!!


リリサ(玄関へ振り返り)

「あん?

……あなた、ヴァレンシュタインさんの所の執事――」


グレイ

「フローレンス様。

失礼いたします。」


グレイ、リリサの背後に周って首チョップ。


リリサ

「うッ……(ドサッ)」


ティナ

「助かった……」


カレン(ドキドキ)

「ち、ちょっと怖かった……」


リオナ

「グレイ、助かりましたわ……」


グレイ

「お嬢様、言葉選びにはお気をつけください。

今後フローレンス様を“お姉様”呼びしないこと。

よろしいですね?」


リオナ

「わかりましたわ……」


ティナ

「リリサ死んだ?」


グレイ

「いえ、気を失わせただけです。」


カレン

「とりあえず、床のままじゃ可哀想だからソファに移動させてあげよ?」


ティナ

「いや、このままでいいんじゃない?

自分が悪いんだし。」


リオナ

「いえ……

元はと言えばわたくしの不注意のせいですし……」


ティナ

「そう?2人とも優しいなぁ。」


リリサ、3人に抱えられソファに横にされる。


リリサ(気を失いながら)

「ふふっ……ふふふ……」


カレン

「リリサさん、幸せそうな寝顔してる。」


ティナ(手のひらを合わせて)

「どうか、安らかに……」


リオナ

「リリサ様、まだ亡くなってませんわよ。」


ティナ

「このまま目を覚まさない方が安全じゃん?」


グレイ(小さくお辞儀)

「それではワタクシは潜伏に戻ります。」


ティナ

「ありがとうございます!」


グレイ、フローレンス家から退出。


ティナ

「とりあえずどうしよっか?」


カレン

「レポート用にポーションの取材もしなきゃだけど、

リリサさん気絶しちゃってるし……」


リオナ

「リリサ様が目を覚ますまで、お話でもしてましょうか?」


ティナ

「だね!

じゃぁわたし、おやつとお茶持ってくる!」


カレン

「お!ありがとー!」


リオナ

「お茶でしたら、手土産用に用意したハーブティーがございますわ!」


ティナ

「お、じゃぁそれ淹れよっか!

緑茶と同じ感じでいいのかな?」


カレン

「多分いいんじゃない?」


リオナ

「わたくしも存じませんわ。」


ティナ

「とりあえずやってみるよ。

2人は待ってて!」


――こうして、気絶したリリサの傍らで女子会が開幕した。

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