ぶら探、要注意エルフの家に訪問する。
翌日の朝。
フローレンス家。朝食後。
ティナ
「はぁ〜……
もたれた胃に優しいお茶漬け、最高だった……!」
リリサ
「梅干しも入れてあげたから、さっぱりしてたでしょ?」
ティナ
「うん!
ありがとうリリサ!」
リリサ
「はいはい。
今日も部活で遅くなるの?」
ティナ
「ん〜、多分そうなると思う。
でもまだ行き先決まってないんだよね〜。」
リリサ
「じゃぁ、うちに来なさいよ。」
ティナ
「え?なんでうちに?」
リリサ
「あなたが創部するって話した時にも言ったでしょ?
私のポーションを宣伝してちょうだい。」
ティナ
「あー、そんな事言ってたね。
一応、カレンとリオナにも聞いてみるよ。」
リリサ
「よろしくね。
久しぶりにカレンちゃんにも会いたいし、
リオナちゃんともお話してみたいし。」
リリサ、若干鼻息が荒くなる。
ティナ
「あ!そっちが本音だな!」
リリサ
「ついでにポーションの紹介もしてもらう予定。」
ティナ
「“本音”と“建前”が逆になってるッ!」
リリサ
「あとこれ、先生用の胃腸に効くポーションね。
忘れずに持って行って。」
リリサ、テーブルにことん、と小瓶を置く。
ティナ
「売り上げあげたいのか、新しい妹枠欲しいのか……
もうわかんない……」
リリサ(にっこり)
「どっちもよ♪」
ティナ
「私欲に貪欲すぎるッ!」
---
学校。昼休み。
ティナ(照り焼きチキンを食べながら)
「――ってことがあってさ、
今日はうちに来ない?」
リオナ(本日はハムサンドですわ)
「まぁ!
ティナ様のお家、ぜひお邪魔させていただきたいですわ!」
カレン(いつもの茶色弁当もぐもぐ)
「あたしもさんせー!
ティナん家行ったことなかったし!」
ティナ
「でも気をつけて?
リリサの奴、隙あらば2人を妹にしようとしてるから。」
リオナ
「そのリリサ様という方は、どのようなお方で?」
ティナ
「んー、
“ポーション作りが趣味”で、
“重度のシスコン”で、
“友達いなさそう”な変なエルフ。」
リオナ
「あら、まぁ……?」
カレン
「酷い言いよう!
リリサさんはティナのお姉さんだよ!
ちょっと変わってるけど普通に良い人だと思う!
この前も『いつでも遊びに来ていい』って言ってたし!」
ティナ
「それただ単にカレン狙いなだけだから!」
リオナ
「ティナ様のお姉様でしたのね!
でしたらなおさら、ご挨拶に伺わねばなりませんわ!」
ティナ
「リオナ落ち着いて!
裸足で地雷原にスキップしに行くようなもんだよ!?」
リオナ(胸ポケットにあるベルを取り出す。)
「そんな事ありませんわ!
ティナ様のお姉様にお会いするのでしたら手土産が必要になりますわね。
――グレイ!」
――チリンチリーン♪
グレイ
「お呼びでしょうか、お嬢様。」
ティナ&カレン(ビクッ!)
「「また瞬間移動してきた!?」」
リオナ
「ええ。
本日の“ぶら探目的地”はティナ様のご自宅に決まりました。
ティナ様のお姉様へ手土産の準備をお願いしますわ。」
グレイ(若干表情が険しくなる)
「……ティナ様のお姉様……
つまりフローレンス様にお会いになるのですか?」
リオナ
「ええ。
何か問題でも?」
グレイ
「……」
グレイ
「かしこまりました。
ワタクシ含め、“ヴァレンシュタイン家護衛隊”を
ティナ様のご自宅周囲15mに配置するよう、指示してまいります。」
ティナ
「(リリサ、完全に要注意人物に指定されてる……)」
リオナ
「その必要はありませんわ。
わたくしの大切なご友人のお姉様ですわよ?」
ティナ
「リオナ、グレイさんの言う通りにしとこ?
暴走モードに入ったリリサはわたしじゃ抑え切れないから。」
リオナ
「まぁ……?」
カレン
「ちょっと心配しすぎな気もするけど……」
ティナ(目のハイライトが消える)
「2人はリリサのヤバさをわかってないんだよ。
昨日の夜、わたしがあいつに何されたか……」
カレン
「どしたの?」
リオナ
「??」
ティナ(ガタガタ)
「昨日の夜……お風呂で……
うッ……トラウマが……」
ティナ(涙目)
「嫌がるわたしを……リリサが強引に……」
カレン(ドキドキ)
「……え?」
リオナ(ドキドキ)
「……まぁ?」
ティナ(遠い目)
「わたし、もうお嫁に行けない体にされちゃったんだ……」
(ただ隅々まで綺麗に洗われただけ。)
カレン(顔真っ赤)
「えッ!?
ちょっと待っていきなりそんな話しないで!?」
リオナ(同じく赤面、口元を両手で押さえて)
「あらまぁッ!?」
カレン
「ちょちょッ!?
ティナとリリサさんってそういう関係だったのッ!?」
ティナ
「ううん、今まではわたしが断ってたんだけど、昨日は無理矢理って感じで……」
リオナ
「まぁぁぁッ!?
そ、そのような刺激的なお話、
お昼にするものじゃありませんわよッ!?」
ティナ
「あ、そうだよね。
ごめんごめん。」
ティナ
「って感じだからグレイさん、2人を守ってあげて?
これ以上犠牲者を増やさないために……」
グレイ(お辞儀をして)
「かしこまりました。
おまかせください。」
グレイ
「なお、フローレンス様に気づかれぬよう、
ワタクシ含め護衛隊は気配を消して潜伏いたします。」
ティナ
「よろしくお願いします!」
---
放課後。ぶら探部室。
ミラ先生
「今日は、どこに行くか決まってる……?」
リオナ
「はい♪
ティナ様のご自宅に伺いますの♪」
ミラ先生
「え……?
(フローレンスさんのお家?
それって、ただ放課後に友達の家に遊びに行くだけじゃ……)」
カレン
「今日はミラ先生も来れますか?」
ミラ先生
「先生行くと……ただの家庭訪問になっちゃうなぁ……
なんで今日はフローレンスさんのお家なの……?」
ティナ
「えっと、わたしの姉がポーション屋もやってて、
宣伝代わりに紹介してほしいみたいです。」
ミラ先生
「あ、なるほどね……
お店の取材に行くのなら有りかなぁ……」
ティナ
「あと、カレンとリオナをロックオンしてて、
新しい妹枠にしようとしてるからです。」
ミラ先生
「へぇ〜……んッ!?
ど、どういうこと!?」
ティナ(悟り顔)
「そういう事ですよ。」
ミラ先生(胃がキリッ……)
「ん?ん〜〜???」
ティナ
「あ、そうだ!」
ティナ、バッグの中からリリサに渡されたポーションを取り出す。
ティナ
「これ、姉から先生にって。
胃腸に効くポーションのサンプルみたいです!」
ミラ先生
「あ、昨日電話で話してたやつ……
ありがとう、フローレンスさん……」
カレン
「それで、先生は今日一緒に来てくれるんですか?」
ミラ先生
「あ、そうだったね……
フローレンスさんのお家だったら危なくないだろうし、
今度、家庭訪問があるから先生はいいかなぁ……」
カレン
「そっかぁ……
じゃぁまた3人で行動だね!」
リオナ
「ですわね!
それでは参りましょうか♪」
ティナ
「あんまり期待しないでねー。」
ミラ先生
「次は先生も一緒に活動するから……
気をつけてね。」
3人
「「「行ってきまーす!」」」
---
3人が出て行った後の教室。
ミラ先生
「(ふぅ……
昨日はマック、今日は自宅訪問……
自分が許可してるとはいえ、
これ、部活動って言えるのかな?)」
……シーン……
ミラ先生
「(今日のレポートには何書かれるのかな……
“お姉さんとみんなでおやつ食べて楽しかった”とか?)」
ミラ先生
「(そんなレポート、教頭先生に見られたら……)」
ミラ先生(胃がキュゥー……)
「う……またお腹が……」
先生、机に置いてあるポーション入り小瓶を見つめる。
ミラ先生
「フローレンスさんのお姉さんのポーション、試してみようかな……」
キュポン、と蓋を開けひと口。
ミラ先生
「――ごくっ……
あ、おいしい。ピーチ味だ。」
食道から胃まで、ポーションが通り抜けた後がスゥーッとする爽快感。
ミラ先生
「す、凄い……!
さっきまで痛かったお腹が、全然痛くない……!」
ミラ先生
「それどころか、何か“やる気”まで出てきたかも!」
ミラ先生
「よぉしッ!
どんなレポートが来てもちゃんと評価してあげるぞッ!
私は“ぶら探の顧問”なんだから!」
ミラ先生、教室の窓を開け身を乗り出す。
ミラ先生(大声)
「3人ともー!!
部活頑張れぇーー!!
私も頑張るぅーー!!」
リリサ製胃腸薬ポーション効能――
・食べ過ぎ、飲み過ぎ時のムカムカに。
爽快感のある成分と消化サポート成分配合。
瞬時に胃の不快感を取り除きます。
・ストレス、緊張等の胃の痛みに。
胃の痛みの根本原因であるストレスを取り除きます。
※一時的に高揚感に包まれ、興奮状態に陥る事があります。
製品に異常はありません。




