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転生はかすり傷に入りますか?――エルフJK、好物は干し芋。  作者: ひなゆづ
お屋敷おつかい編

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26/34

エルフの姉妹喧嘩と、貴族の親子喧嘩。


昼過ぎ。フローレンス家。


リリサはいつもより少し豪華な昼食を作り、ティナの帰りを待っていた。


――ガチャ!バァァァァァン!!


ティナ(憤怒)

「リィ リィ サァァァァ!!」


リリサ

「あら、おかえりなさい♪」


ティナ

「おかえりなさい♪じゃないよ!!

わたしに配達させた理由、身代わりだったんでしょ!!」


リリサ(アセアセ)

「ち、違うわよ。

あなたに少しでもこの世界に慣れてもらおうと思って……」


ティナ(リリサににじり寄る)

「嘘つけ!!

レヴィンおじさんにめっちゃ口説かれたわ!

こんな可愛い女の子を身代わりに出すってどういうつもりよ!」


リリサ

「……バレちゃった?」


リリサ(ちょい引き)

「……というかあの人、現役女子高生にも手を出そうとしたのね……

見さかい無いわね……」


ティナ(リリサの胸元をポカポカ叩く)

「もぉー!!

めっちゃ気まずかったんだから!!

どうしていいか分かんなくて本気で泣きそうになったんだからッ!!」


リリサ(ティナに叩かれながら)

「痛たっ!痛いって!

ごめんなさい!

まさか、あなたにまで手を出すとは思わなかったのよ!」


ティナ(ため息)

「はぁ……

まぁいいけどさ。

今度からはリリサが行ってよねッ!」


リリサ

「わかったわよ……

ちゃんとお駄賃とご褒美用意したから、それで許して?ね?」


ティナ

「そのご褒美って何?

まさか好きなお昼ご飯くらいじゃないよねッ?」


リリサ

「お昼は少し豪華にしたわよ♪

和食ばっかじゃ飽きるだろうから、

今日はオムライスとコンソメスープ。」


ティナ

「……卵はふわふわタイプ?」


リリサ

「ええ。もちろん。」


ティナ

「ふわふわオムライスも好きだけど……

それだけじゃ割りに合わない。」


リリサ

「わかってるわよ。

あなたが配達に出たあと、ちょっと買い物してきたの。

お昼食べたら見せてあげるから、先にご飯食べましょ?」


ティナ

「……わかったよ。」


リリサ

「それじゃ、手洗ってきなさい。

お昼にしましょ♪」


---


ティナとリリサ、テーブルを囲んで遅めの昼食中。


ティナ(オムライスを食べながら)

「……また美味しいのが少し腹立つ……」


リリサ(苦笑い)

「はいはい。

まだご機嫌斜めね。」


ティナ

「だって、ただ配達しておしまいだと思ったんだもん。

でもリリサの挙動不審っぷりで勘づけなかった自分も悪かった。」


リリサ

「……毎回、配達の度にレヴィンさんの詩を聞かされるとねぇ……

さすがの私もメンタルに来るのよ。」


ティナ

「あのポーションさ、中身見ちゃったんだけど育毛剤でしょ?

ちゃんと効いてんの?」


リリサ

「あら、見ちゃったのね。」


ティナ

「途中、割れてないか確認した時ね。

ついでにレヴィンさんの頭頂部も見ちゃったよ。

あんまり効いてるように見えなかったけど。」


リリサ

「じわじわ効くように調整してるのよ。」


ティナ

「なんで?

リリサなら一気に生やすポーションとか作れそうじゃん。」


リリサ

「作れるわよ?

でもね、それじゃ商売にならないじゃない。

美容系ポーションっていうのは少しづつ効果を出させるものなの。

そうすればリピートしてくれるでしょ?」


ティナ(口に運んだスプーンが固まる)

「……やり方が汚ぇ……!!」


リリサ

「大人っていうのは汚い生き物なのよ。

でも、そのおかげでこうやって美味しいご飯が食べられるんだから。」


ティナ(複雑な気持ち)

「……資本主義の闇を見た……」


ティナ

「それとさ、お屋敷でリオナってお嬢様と友達になったよ。」


リリサ(手が止まる)

「……お嬢様?」


ティナ

「うん。

屋敷から出たことない箱入り娘なんだって。

だから学校誘っといた!」


リリサ

「……ちょっと待って。

私、その子に会ったことないんだけど。

何度もお屋敷に訪れてるのに……」


ティナ

「あー。

執事さん有能だったから、リリサが来た時はかくまってたんじゃない?

『危険人物が来てますので、部屋から出ないように。』ってさ!」


リリサ

「なによそれッ!?」


---


リリサ訪問時。


ヴァレンシュタイン邸、リオナの部屋。


グレイ

「お嬢様、現在危険な魔法使いが来訪中です。

決して自室から出ぬよう、お願いします。」


リオナ

「……そう言われましてもわたくし、お手洗いに行きたいのですが……」


グレイ

「ダメです。

我慢してください。

最悪の場合、バケツをご用意しますのでそちらへお願いします。」


リオナ(顔真っ赤)

「バケツ!?

嫌ですわ!!

早く……帰っていただくことは出来ませんの……?」


グレイ

「現在、ご主人様が“恋の詩”を詠われています。

あと30分程はかかるかと。」


リオナ

「あ の 親父ぃぃぃ……!!

グレイ、わたくし間に合いそうにありませんわ……!!」


グレイ

「かしこまりました。

バケツを用意いたします。」


リオナ(涙目)

「嫌ですわぁぁぁ……!!」


---


ティナ

「なんか、おっとりしてるけど芯のある感じの子で可愛かったよ。」


リリサ(目が輝く)

「……お嬢様……

ぜひ、お会いしてみたいわね。」


ティナ(呆れ顔)

「……また新しい妹枠見つけようとしてる。」


ティナ(ため息)

「はぁ〜……

こんな可愛い妹いるのにさ〜

ポーション作りや配達だって手伝ってあげてるいい子がいるのにさ〜」


リリサ

「あら?やきもち?

ティナにはティナの良さがあるわよ。

ただ、ガサツじゃなければ完璧な妹なのにね。」


ティナ(きっぱり)

「この性格はDNAに刻まれてるのでどうしようも出来ません。」


リリサ

「なら諦めなさい。

私は理想の妹を追い求め続けるわ。」


ティナ

「ひどッ!!」


リリサ

「はいはい。

酷いお姉ちゃんで結構ですよ〜」


ティナ(ほっぺを膨らませて)

「……むぅ〜……」


リリサ

「あら!

その顔可愛いじゃないッ!

ちょっと写真撮らせて?」


ティナ

「絶対やだッ!!」


---


昼食後。


ティナ

「ご馳走様でした!

それで、ご褒美って何?」


リリサ

「今用意するから、ちょっと待ってて。」


リリサ、自室から紙袋を持ってくる。


リリサ

「はいこれ。

あなた、この世界に来てからずっと欲しがってたでしょ?」


ティナ

「何これ……服……?

もしかしてッ!」


ティナ、紙袋から一着の服を取り出し、広げる。


ティナ(一瞬、目が輝く)

「ジャージ!!

――だけど……」


淡い水色に、肩から袖まで白いラインが入ったジャージ。

ラインに沿って白いフリルもついている。

ボトムはトップスと同じ水色で、フリルがついたミニスカート型。


ティナ

「ジャージ……っぽいけど何か違う!!

何これッ!?姫ジャージ!?」


リリサ

「これなら可愛いし、あなたに似合うと思って♪」


ティナ

「女子力ッ!

ジャージに女子力求めてどうすんの!?」


リリサ

「ボトムの方はインナーパンツ付きだから、

ミニでも安心して履けるわよ?」


ティナ

「そういう事じゃねぇ!

こんなの恥ずかしくて外出れないじゃん!」


リリサ

「ジャージはルームウェアでしょ?

外出る時はおしゃれしなさい。」


ティナ(涙目)

「こんなのジャージじゃないよぉ……

もっと機能性溢れたジャージ買ってきてよぉ……」


リリサ

「まぁそう言わずに、着てみてごらんなさいよ。」


――数分後。


ティナ(水色フリルジャージ姿)

「……意外と、着心地良いな……」


リリサ

「でしょ?私のチョイスに失敗はありえないの。」


ティナ

「クソっ……また負けた気がする……」


---


同日夜。ヴァレンシュタイン邸。


豪華すぎる食堂。

長いテーブルの端と端で、父と娘が静かに食事をとっている。

リオナの専属執事、グレイはリオナの背後でキリッ!と待機中。


リオナ

「……お父様。」


レヴィン

「なんだね、愛しのリオナ。

フォークの持ち方が少し変わったかい?新しい流行かね?」


リオナ

「違いますの。

……お話がありますの。」


レヴィン

「なんと!?

まさか結婚の申し込みか!?

早い!父はまだ心の準備が!」


リオナ(バンッとテーブルを叩く)

「違いますのっ!!」


グレイ(少しビクッとする)

「……」


リオナ

「わたくし、学校へ行きたいのですわ。」


レヴィン

「が、がっこう……?

“がっこう”とはあの、“庶民が朝から机に囚われる修行場”のことかね!?」


リオナ

「修行場ではありませんの!

勉強をしたり、お友達と過ごしたりする場所ですの!」


レヴィン

「ふむ……“友達”か……

私は君の最良の友だと思っていたのだが……」


リオナ(顔真っ赤)

「お父様は……お父様ですわ!」


リオナ

「今日、ティナ様とカレン様とお話をしました。

お二人とも学校はお友達がたくさんいて楽しいところだとおっしゃってましたわ。」


レヴィン

「そうか……

あの後、ティナ殿とそのご友人と話をされたのだな。」


リオナ

「お二人ともおっしゃっていましたの。

学校では嫌なこともあるけど毎日笑って過ごしていると。

わたくしも、そんな日々を過ごしてみたいのです!」


レヴィン

「むぅ……しかしリオナ……

外の世界は危険に満ちている。紫外線、埃、男子生徒……!」


リオナ

「男子生徒は埃と同列ではありませんの!」


グレイ(思わず共感)

「……お嬢様、言葉のチョイスが適格です。」


レヴィン

「しかし、君は純粋すぎる!

もし男子が“リオナ様、今日もお美しい”などと口説いたらどうするね!?」


リオナ

「お礼を申し上げますわ!」


レヴィン

「違う!“父に報告します”と言うのだ!!」


リオナ

「わたくしは密告装置ではございませんの!」


グレイ(静かにひと言)

「ご主人様。

お嬢様の社交経験としても、外の学びは有意義かと存じます。」


レヴィン

「うっ……グレイまで!?」


グレイ

「なお、護衛兼登校監視としてワタクシが同行いたしますので。」


レヴィン

「……むぅぅ……

完璧な包囲網ではないか……」


リオナ、椅子から立ち上がる。


リオナ(真っ直ぐレヴィンを見つめて)

「お父様。

どうかわたくしを信じてくださいまし。

この屋敷の外の世界を、わたくしの目で見てみたいのです!」



レヴィン(一瞬、目を伏せる)

「……リオナが、そんな顔をするようになったとはな……」


レヴィン(ふっと微笑んで)

「……その顔、お母様に似てきたな。」


レヴィン

「わかった。

だが――男子に触れたら即刻退学だ!」


リオナ

「さわれませんの!?」


レヴィン

「“目が合ったら”も退学だ!」


リオナ

「理不尽ですわ!!」


――食堂にリオナの声がこだました。


レヴィン

「そうと決まれば早速、入学手続きが必要だな。」


グレイ(キリッ)

「既に手続きは完了しております。」


リオナ

「まぁ!

さすがグレイ!仕事が早いですわね!」


レヴィン

「なんと!

では、制服などの準備も済んでおるのか?」


グレイ

「はい。

衣装仕立て部の方へ、既に声を掛けております。

魔王国産最高級の布地を使用した制服を仕立てあげました。

週明けから登校可能です。」


レヴィン(にやり)

「グレイ……お前、私が折れることを読んでいたな?」


グレイ(静かに礼)

「……滅相もありません。

どちらに転んでも良いように準備をしたまでです。」


レヴィン

「ふっ……

そういう事にしておこう。

そうと決まれば今夜はパーティだ!

娘の旅立ちに向けてな!」


リオナ(涙目)

「お父様ッ!グレイッ!

ありがとうございますわッ……!」


――週明け、お嬢様の初めての学校生活が始まろうとしていた。


どうも、作者のひなゆづです。

リリサがティナに用意した姫ジャージ、

『こんなのあったらリリサがプレゼントするだろうな〜』と思っていたところ、本当に実在する事にびっくりしました(笑)


もし、気になる方がいましたら「フリル付きジャージ」で検索してみてください。女子力って凄い……

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